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新規収載検査の基本知識

新規収載検査の審査過程、D-1・D-2等の分類、区分、包括化について、基本知識として知っておくべきことを概説してください。(東京都 臨床検査医)

1)新規収載の検査項目導入は、2年毎の改定の際に導入されることもありますが、通常は日本医師会で月2回行われる日本医師会の疑義解釈委員会で審議されます。疑義解釈委員会ではD-1と呼ばれる検査項目と検査法のいずれもが新しい検査と、D-2と呼ばれる測定法だけが新しい検査の2つに分けられます。D-3はゾロ品で、これについてはこの委員会では審査せずに、厚生省の方で、規格に合えば認可しています。D-1とD-2の検査は共に臨床的意義が認められなければ、承認されません。

 疑義解釈委員会では、日本臨床病理学会の代表として、慶応義塾大学の渡辺清明教授と私が出席し、新規収載の検査を中心に検査のことについては、われわれが答申を行なっています。この答申に対し、厚生省から整理案が出され、健康保険への適応の可否と保険点数が決定します。最終案が中医協で承認され、翌月の1日付で保険局医療課長名で全国に通知されます。

 平成4年4月から平成9年3月までの5年間において、疑義解釈委員会で保険に新規収載された件数は84件、1年間平均16.8件になります。この5年間に新規収載の検査で最も多かったのは血液化学検査で21件、次いで感染症血清反応13件、腫瘍マーカー9件、自己抗体検査8件、微生物核酸同定・定量検査8件、肝炎ウイルス関連検査6件などの順になります。

 昭和56年より生化学検査を中心として急速に包括化が実施されましたが、平成10年度でさらに進みました。生化学検査の包括化の推移とその影響を昭和56年と平成10年の17年間についてみると、最初の保険点数から減少し48~64%になりました。

2)新規収載検査の準用先区分については医科点数表の解釈(社会保険研究所出版)を見てください。区分は大別すると下記のようになっています。ここの中で同一のものか、最も類似している検査点数を準用します。

D000  尿中一般物質定性半定量検査
D001 尿中特殊物質定性定量検査
D002 尿中沈渣顕微鏡検査
D003 糞便検査
D004 穿刺・採取液検査
D005 血液形態・機能検査 分泌物の細菌顕微鏡検査
D006 出血・凝固検査
D007 血液化学検査
D008 内分泌学的検査
D009 腫瘍マーカー
D010 特殊分析
D011 免疫血液学的検査
D012 感染症血清反応
D013  肝炎ウィルス関連検査
D014 自己抗体検査
D015 血漿蛋白免疫学的検査
D016 細胞機能検査
D017 排泄物、滲出物又は
D018 細菌培養同定検査
D019 細菌薬剤感受性検査
D020 抗酸菌分離培養検査
D021 抗酸菌同定検査
D022 抗酸菌薬剤感受性検査
D023 微生物核酸同定・定量検査
D024 動物使用検査

3)検査の包括化の中で検査の臨床的意義が類似する複数項目(2~5項)を実施した場合に種々のしばり(制限)がつくようになりました。そのしばりの内容を下記に示しました。

(1) 複数項目を同時に実施しても1項目しか算定できないもの
(2) 複数項目を実施しても2項目しか算定できないもの
(3) 計算すれば値が求められるため2項目しか算定できないもの

(4) 複数の材料では同時に算定できないもの
(5) 測定項目数と点数に上限があるもの
(6) 3項目以上測定しないと算定できないもの

など多様化しています。このような同時測定項目の算定時のしばりがついたものを別表に示しましたのでご利用ください。今後、追加しますので、時々ご覧になってください。

(1998年7月6日 認定臨床検査医 森 三樹雄(No.45))