JACLaP WIRE No.41 2001.11.09

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   本メールは日本臨床検査医会の電子メール新聞JACLaP WIRE No.41です
   ◇印はJACLaP NEWS No.61に掲載された内容で、◆印は新しい内容です

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[寄    稿] ◇ DRG/PPS対応臨床検査のガイドライン 第三次案
[お知らせ-1] ◇平成13年度第3回日本臨床検査医会常任幹事会・全国幹事会、総会
[お知らせ-2] ◇第22回世界病理学・臨床検査医学会議(WASPaLM)の日程と場所の変更について
[お知らせ-3] ◇第7回アジア臨床病理学会会議の日程について
[お知らせ-4] ◆第9回ISQCが終了して
[お知らせ-5] ◆会員動向
    (2001年11月9日現在数 606名 専門医 430名(今年度の認定試験合格者34名を含む))
[ニュース-1]◆WHOは1200万ユーロの予算で飛行機旅行時に発症する静脈血栓症の研究プロジェクトを決定
     <WHO トピックス Press August 2001 WHO-152>
[ニュース-2]◆各国でたばこ広告の取り締まりが必要
     <WHO トピックス Press November 2001 WHO-153>
[新規収載検査-1]◇インフルエンザA/Bウイルス抗原
[新規収載検査-2]◇HCV核酸同定検査
[新規収載検査-3]◆グリコアルブミン
[新規収載検査-4]◆インフルエンザAウイルス抗原
[新規収載検査-5]◆インフルエンザBウイルス抗原
[新規収載検査-6]◆ノイラミニダーゼ
[新規収載検査-7]◆ループス抗凝固因子
[Q  &  A-1] ◆24時間クレアチニンクリアランスと同時ICGを実施について
[Q  &  A-2] ◆腹部エコーの教育について
[Q  &  A-3] ◆スピロヘータと確定できる抗原検査について
[Q  &  A-4] ◆一般病院での炭疽菌同定法について
[声の広場-1]◇第48回日本臨床検査医学会総会・第41回日本臨床化学会年会連合大会-検査2001-に参加して
[声の広場-2]◇検査医の自戒と光明
[声の広場-3]◇オーダーメイド医療の幻想
[声の広場-4]◇臨床検査専門医認定試験を受験して
[声の広場-5]◇臨床検査専門医の仲間になって

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========================≪ JACLaP WIRE ≫=================
[寄 稿] ◇DRG/PPS対応臨床検査のガイドライン  第三次案
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      日本臨床検査医会  副会長 渡辺清明
 前号の巻頭言で村井先生が述べておられたように、包括化に対応する検体検査の
質を確保するための措置を講ずることは臨床検査領域においては今後の一つの重要
な課題である。
 現状ではDRG/PPSのシステムなどの包括化が我が国で実現するかは未だ明確で
ない。しかし、もし導入されれば臨床検査はかなりの影響をうけ、現場の臨床検査
医もそれに的確に対応せざるをえない。
 そのためには、われわれは患者や健診を受ける人に対する最適な臨床検査が何か
を設定し、ガイドラインを作成しておく必要がある。さもないと、臨床検査は経済
性を追求する医療目的に利用されることになりかねない。
 これに対応して、現在、日本臨床検査医学会の「初期診療における臨床検査の使
い方小委員会」では「DRG/PPS対応臨床検査ガイドライン」を発刊している。
 8月末の横浜での日本臨床検査医学会総会では「DRG/PPS対応臨床検査・Part II」
と題してフォーラムを開催し、主にガイドラインの二次案で加えた疾患の検査の
使い方について論議した。その折りに新たに刊行された「DRG/PPS対応臨床検査の
ガイドライン(第三次案)」をフォーラムの会場に300部ばかりを用意させて頂い
た。最終日であったし、そんなに多くの聴衆は見込んでなかったのでこの数にした
が、あっという間になくなり大変ご迷惑をおかけしてしまった。おそらく本会会員
の先生にもご迷惑をおかけしたと思うが、ここにお詫びをする次第である。
 今回からガイドラインを臨床検査医会の先生方全員に配布することにした。9月末
〜10月上旬頃に配布予定なので、このJACLaP NEWSがでる頃は先生方のお手元
に届いていると思う。
 ガイドライン三次案の特長は1) 従来は入院患者を対象としたが、今回は外来患者
の検査の使い方についても記載したこと、2) 厚生労働省の治療ガイドライン対象疾
患優先順位リストより選択し、本態性高血圧などの頻度の高い疾患を加えたことの2
点である。
 なお、三次案での追加疾患数は13であり、いままでの一次案、二次案の疾患が
22あるので、合計35疾患となった。したがって、質、量とも増しガイドラインは
150頁弱となりかなりボリュームが出てきた。
 今後は専門学会でのチェックを十分行うことが重要となるが、臨床検査医の先生
方からも是非ご意見を頂きたい。何故ならこのガイドラインは臨床検査専門医の意
見を主体として作成するというのが最大の特長だからである。
 ご面倒でも「ガイドライン三次案」をご一読の上、巻末に綴じ込んであるアンケ
ート調査用紙にご意見をお書きの上、ガイドライン事務局宛返送頂きたい。委員会
では先生方のご意見を参考にさせて頂き、さらによりよいものを作成したいと思う
ので、是非宜しくお願いしたい。

 

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[お知らせ-1]◇平成13年度第3回日本臨床検査医会常任幹事会・全国幹事会、総会
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◎日 時:平成13年8月25日、28日
◎場 所:パシフィコ横浜・4階411号室、5階小ホール
◎議 題
1. 報告事項
○各種委員会報告
 1) 情報・出版委員会(森委員長)
 ・会誌、LACLaP NEWSは順調に発刊されている。
 ・JACLaP NEWSの主幹が松野容子先生から満田年宏先生に交代した。
 ・要覧は6月1日に会員に配布した。
 2) 教育・研修委員会(熊坂委員長)
 ・教育セミナーは日大、大阪医大、昭和大、順天堂大で行われ、12から42名の
  参加があった。
 ・GLMワークショップが自治医大で行われた。
 3) 資格審査・会則改定委員会(渡邊委員長)
 ・有効会員、振興会員、選挙管理委員会の明確化について説明・改定文について
  総会で承認を得てほしい。
 第5条 本会の会員は正会員、準会員、有効会員、名誉会員および振興会員とする。
  4 有効会員は満70歳を過ぎた正会員で、幹事会で推薦し、総会で承認された者。
  5 名誉会員は本会に多大な貢献(会長、監事1期以上、全国幹事2期以上、春季
    大会長、その他)をされた者。
  6 振興会員は本会の目的に賛同し、会費年額一口100,000円を一口以上納入する
   者または団体。
 第22条 会長は選挙管理委員若干名を任命し、選挙管理委員会を組織する。
  2 選挙管理委員会は会長ならびに監事の選挙に関する業務を管理する。
 ・総会で承認された。
 4) 渉外委員会(村井委員長)
 ・振興会セミナーは平成13年7月13日(金)に「21世紀の臨床検査を考える」と
  題して開催され、150余名の参加があり、成功裏のうちに終了した。
 5) 検査医の未来ビジョン委員会
 ・5つのワーキンググループが臨床検査医の未来について討議している。
 ・臨床検査医学教育プログラム、遺伝子検査標準化、ISO認証取得支援、健診事業
  参入検討、広報委員会設置提案WGである。
 ・総会でも審議され、名称、他学会との関連なども含めて検討が必要であるが、
  検討委員会の趣旨は理解された。
○その他
 6) 会計報告(高木会計幹事)
 ・平成13年度中間報告が承認された。
 ・会員による寄付や終身会費など収入源の確保を検討してほしい。
 7) 検査医会春季大会
 ・第11回は平成13年4月20、21日に巽典之(大阪市立医大)大会長のもとで開
  催された。100名近くの参加者があり、活発な討論が行われた。
 ・平成15年第13回大会は東北支部で開催されることになった(富永真琴 
  山形大学教授調整)。
 8) 総会・講演会
 ・総会は8月28日16 : 00〜16 : 30、講演会は同日16 : 45〜18 : 00に5階小ホー
  ルで開催されます。
 ・講演会 座長:村井哲夫、渡邊清明
  「臨床検査経済学−原価の概念と役割−」萩野雅司(高崎商科大学)
 9) その他

2. 審議事項
 1) 会長選挙について(高木選挙管理委員長)
 ・6月5日に開票を行い、会長選挙では過半数獲得者がおらず、河野均也先生と
    森三樹雄先生の決選投票となった。
 ・決選投票は7月23日に開票し、河野均也先生が当選となった。
 ・監事選挙は会長選挙の結果、河合 忠先生と大場康寛先生が当選となった。
 2) JACLaP News、LabCP印刷・加工・発送業者に関して(高木庶務・会計幹事)
 ・業者については2年ごとの契約となっており、2社から見積もりをとった。
 ・電子媒体への移行、予算の厳守などについて確認を行い、契約は会長一任となった。
 3) 14年度予算について
 ・平成14年度の予算が提示され、承認された。(JACLaP News No. 21参照)
 

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[お知らせ-2]◇第22回世界病理学・臨床検査医学会議(WASPaLM)の日程と場所の変更について
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 2003年8月30日〜9月3日に韓国、プサンのコンベンションセンターで開催されます。
 

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[お知らせ-3]◇第7回アジア臨床病理学会会議の日程について
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2002年12月6日、9日に台湾の高雄(Kao-Hsiung)で開催することが決定しました。
シンポジウムの内容は下記のとおりです。
1) Standardization and Automation  
2) Accreditation  
3) Status and Training of Clinical Pathologists  
4) Molecular Diagnosis  
5) Wellness Testing  
6) Emerging Microbiology Resistant Strains
 

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[お知らせ-4]◆第9回ISQCが終了して
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 2001年11月2〜3日 第9回ISQC国際会議( The 9th International 
Symposium on Quality Control and Management; global standardization and 
advanced quality management)
 本会は1974年に第1回が東京で開催され我国の臨床検査標準化に大きな足跡を
残してきたものであり、その第9回が管野剛史教授(浜松医大)会長の許、2001年
11月3〜4日に大阪千里ライフサイエンス・センターで開催された。当日は海外12
カ国から26名が参加(うち三名の方が世界貿易センター・テロ事件で欠席)され、
わが国の参加者を含めると総計246名が集まる盛況であった。そこでは、菅野教授
が「外部精度管理用生物学的酵素標品」について会長講演、河合忠国際病理センタ
ー長が「臨床検査におけるISO標準」について講演され、カナダのWilkinson I
先生が「臨床検査の経済性」に関して教育講演された。シンポジウムとしては、
「臨床検査における最新精度管理法」として川崎医大市原清教授のご司会で、英国
Shinton先生以下3名の方が、「感染症の管理と標準化」としては京都大学一山智
教授のご司会で、東北大学賀来満夫教授以下3名の先生が、「POCTと関連項目の
精度管理」としては筑波大桑克彦教授のご司会で、Mount Sinai病院のJacob E先
生以下3名の先生と、追加発言として聖ロカ病院の村井哲夫先生がそれぞれお話し
された。ワークショップでは慶応大川合陽子助教授のご司会で東京大北村聖助教授
を含む2名の方がフローサイトメトリーに関しての最近の精度管理事情を話された。
最新トピックスとしては2題が用意され、オランダのIsala KlinikenのMiedema K
先生が「HbA1cの国際標準化」、 Sloan Kettering研究所のSchwarz MK先生が
「遺伝子検査の精度保証」について解説された。一般演題は口演とポスターで計
42題、全てが素晴らしい内容のものであった。本会の盛り上がりは、プログラム
委員長である昭和女子大戸谷誠之教授の企画のよさによるものであると判断された。
有意義で、かつ実り多い2日間の本会議を無事終えることができたのは、ご後援い
ただいた国際試薬株式会社と日本臨床検査標準協議会(JCCLS)のお陰であり、本紙
面をお借りして深謝いたします。
(組織委員長; 大阪市立大学 巽  典之)
 

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[お知らせ-5]◇会員動向
        2001年11月9日現在数 606名
        専門医 430名(今年度の認定試験合格者34名を含む)
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《入会》2名
 鈴木秀郎 紀南病院外科(病理検査室兼務)
 山本智子 国立療養所中部病院研究検査科

 

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[ニュース-1]◆WHOは1200万ユーロの予算で飛行機旅行時に発症する静脈血栓症
               の研究プロジェクトを決定<Press August 2001 WHO-152>
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 最近、フライト後の静脈血栓症の症例が増加している。WHOは飛行機旅行と静脈
血栓症の研究調査をする。飛行機旅行における静脈血栓症の原因、メカニズム、頻
度などを研究調査する。このプロジェクトには1200万ユーロが必要で、完成するの
に2年半が必要である。研究プロトコルは出来上ったので、それに沿って飛行機旅
行と静脈血栓症の関係を検討するための協議会を立ち上げた。そのメンバーは、科
学者、定期航空会社の医療担当者、運輸省の代表、乗客の代表である。各国の政府
がこの資金を出資する。研究の結果が出るまでは、飛行中は飲酒を減らし、適量の
水分を摂取し、ゆるい衣服を着て、着席中に足の運動をすることが効果的と考えて
いる。
(獨協医科大学越谷病院臨床検査部 森  三樹雄)
 

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[ニュース-2]◆各国でたばこ広告の取り締まりが必要
        <Press November 2001 WHO-153>
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 WHOによると、1999年には400万人、2000年には420万人がたばこで死亡する。
今世紀には、10億人がたばこが原因で死亡すると予想されている。今世紀の最初の
20年には発展途上国で1億5000万人が死亡し、10人のうち7人がたばこによる死亡
となる。3億人いる中国人0〜29歳の男性の3分の1はたばこにより死亡する。
 British American Tobacco(BAT)会社は、「国際的なたばこ製品マーケティン
グの標準化」というタイトルの新しい広報のグローバルキャンペーンを始めた。同
時に競合するPhilip Morris社や日本たばこ会社もこのキャンペーンに協力してい
る。また、たばこ会社は子供や無喫煙者に対する広告活動を自粛することも合意し
た。しかし、米国、カナダ、英国では、たばこ会社による広告の自主規制では小児
や若年者の喫煙者の増加はくい止められなかった。たばこ会社は、ラジオ、テレビ、
インターネット、映画での広告を再開しようとしており、自浄作用は期待できない。
 そこでWHOは、若年、老人、喫煙者、非喫煙者を問わず、人々の健康を保護す
るために、たばことたばこ製品の広告の取り締まりを世界の191カ国に求めている。
(獨協医科大学越谷病院臨床検査部 森 三樹雄)
 

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[新規収載検査-1]◇インフルエンザA/Bウイルス抗原
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感染症血清反応
1.インフルエンザA/Bウイルス抗原 (準用先区分D012-16)(区分D-2)
保険点数:190点      定性検査
判定:赤いラインの出現した場合を陽性
製品名:ラピッドビューインフルエンザA/B
製造元:Quidel Corp, San Diego, CA, USA
輸入元:住友製薬(株)         TEL:0726-27-8112
発売元:住友製薬バイオメディカル(株) TEL:06-6229-5645
測定法:免疫クロマト法        25テスト/キット(シングル測定) 
結果がでるまでの時間:約12分    自動化:不可
検体:鼻腔ぬぐい液、鼻腔洗浄液
【特徴】検体から抽出されたインフルエンザウイルス抗原が、ストリップ上の着色
微粒子結合抗体と複合体を形成しながら移動し、さらに展開面に固定化された第2
の抗体に捕捉されて、抗体―抗原―標識抗体の複合体が形成されることで現れる赤
色の線を肉眼で検知する。
 インフルエンザは、A型またはB型インフルエンザウイルスの感染による流行性
の急性呼吸器感染症で、その臨床像は、上気道炎症状に加えて、突然の高熱と全身
倦怠感、頭痛、筋肉痛、関節痛などの全身症状を特徴とし、時には入院、死亡に至
ることもある重篤な感染症である。従って、インフルエンザを他のかぜ症候群と正
確に鑑別することは重要である。
 本キットは、ヒトに感染するインフルエンザウイルスであるA型およびB型抗原
を特異的に認識し、かつウイルス表面抗原の各種変異の影響を受けないマウスモノ
クローナル抗体を数種組合せて作製された免疫クロマト法のキットである。本キッ
トは、特別な器具を必要とせず、簡便な操作で短時間に患者鼻腔中のA型及びB型
インフルエンザウイルスを高感度に検出することができる。
 本キットについて、細胞培養によるウイルス分離を基準として実施した臨床評価
の結果は、鼻腔拭い液検体では、有病正診率は73%(79/108例)、無病正診率は96%
(159/166例)、鼻腔洗浄液では、有病正診率は81%(22/27例)、無病正診率は99%
(68/69例)であった。因みにA型とB型インフルエンザの治療薬には「リレンザ」と
「タミフルカプセル75」がある。またA型インフルエンザのみの治療薬には「シン
メトレル」がある。
【保険請求上の注意】発症後48時間以内に実施した場合に限り、感染症血清反応の
「D012−16」に準じて算定する。
【文献】川上千春,他:感染症誌 75(9):792-799, 2001
 

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[新規収載検査-2]◇HCV核酸同定検査
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微生物核酸同定・定量検査
1.HCV核酸同定検査 (準用先区分D023−4) (区分D−2)
保険点数:560点      定性検査
判定:1.00以上は陽性    1.00未満は陰性
製品名:TMAアッセイHCV
製造元:Gen-Probe Incorporated, San Diego, California, U.S.A.
輸入元:中外診断科学(株)     TEL:03-3987-0705
発売元:バイエル メディカル(株) TEL:03-3440-2411
測定法:TMA法  100テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:4時間30分〜5時間   自動化:不可
検体:血清、血漿(EDTA、ACD)
【特徴】本キットは、キャプチャープローブを用いてRNA抽出を行った後、 TMA
 (Transcription Mediated Amplification)法による核酸増幅を行い、増幅された
RNAをHPA(Hybridization Protection Assay)法により化学発光値として検出する。
 本キットは、C型肝炎の治療方法の選択及び治療経過の観察に使用する。特に治
療方法の選択については、HCV抗体陽性でHCV核酸定量検査で検出限界を下回った
症例に使用できる。
 本キットの特徴としては、HCV RNAの5'非翻訳領域をターゲットとし、キャプ
チャープローブを用いたRNA抽出、TMA法による核酸増幅及びHPA法による増幅
RNAの検出を行うことにより血中のHCV RNAを高感度に検出する。
 基準としては、PHA(受身赤血球凝集反応)法にて陽性と判定された血液をEIA法
(HCV・EIA3.0「ダイナボット」)及びin house RT-PCR法を用いて陽性と確認され
た検体を「HCV陽性検体」とし、本法とアンプリコア法との比較検討した。本法と
アンプリコア法の有病正診率はそれぞれ100%(40/40例)、97.5%(39/40例)、無病
正診率は100%(30/30例)、100%(30/30例)と良好であった。
【保険請求上の注意】「4」のHCV核酸同定検査はPCR法又はTMA法により、
C型肝炎の治療方法の選択及び治療経過の観察に用いた場合にのみ算定できる。
治療方法の選択の場合においては、抗体陽性であり、かつ、「7」のHCV核酸定
量検査で検出限界を下回る者について実施した場合に算定できるものとし、治療経
過の観察の場合においては、本検査と「7」のHCV核酸定量検査を併せて実施し
た場合には、いずれか一方に限り算定する。
【文献】Christoph Sarrazin., et al.:Detection of Residual Hepatitis C 
Virus RNA by Transcription Mediated Amplification in Patients With 
Complete Virologic response According to Polymerase Chain Reaction-Based 
Assays. Hepatology 32 (4): 818-823, 2000
 

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[新規収載検査-3]◆グリコアルブミン
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血液化学検査
1.グリコアルブミン  (準用先区分D007−21) (区分D−2)
保険点数:85点       定量検査
基準範囲:11.6%〜16.4%
製品名:ルシカ GA
製造・発売元:旭化成(株)   TEL 03-3259-5875
測定法:酵素法  82テスト/キット、シングル測定
結果が出るまでの時間 5分  自動化:可
同時再現性:0.45%〜0.67%  日差再現性:0.69%〜1.50%
検体:血清、血漿(EDTA-2Na,EDTA-2K)
【特徴】HbA1cが過去1〜2カ月間の血糖コントロールの指標であるのに対し、グ
リコアルブミンは過去1〜2週間と短期間の血糖コントロール状態の指標とされて
いる。糖尿病治療においては短期間の指標であるグリコアルブミンの測定値が必要
となる場合が多い。例えばインスリンや経口血糖降下剤開始時や効果の判定時、血
糖が不安定な症例などで有用となる。
 従来からのHPLC法に比較し本法は測定時間は5分間と短く、自動化により多数
検体が測定できる。健常者および患者の血清、または血漿(EDTA血漿)を検体と
して、本法と他法(HCPL法)との相関性を求めた結果は、血清検体を用いた場合、
回帰式はY=0.979X+0.362、相関係数r=0.989、血漿検体を用いた場合は、回帰式
はY=0.982X+0.507、相関係数r=0.992で良好な相関を示した。
【保険請求上の注意】特になし
【文献】田中 逸、河盛 隆造:グリコアルブミン:測定の意義と活用のポイント.
プラクティス.12:476〜479,1995
 

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[新規収載検査-4]◆インフルエンザAウイルス抗原
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感染症血清反応
1.インフルエンザAウイルス抗原 (準用先区分D012−16) (区分D−2)
保険点数:190点  定性検査 
製品名:キャピリア Flu A
製造元:(株)タウンズ TEL 0559-25-6200
発売元:日本ベクトン・ディッキンソン(株) TEL 03-5413-8380
測定法:免疫クロマトグラフィー法 5テスト/キット(シングル測定)
結果がでるまでの時間:15分  自動化:不可
検体:その他(鼻腔吸引液、鼻腔ぬぐい液、咽頭ぬぐい液)
【特徴】インフルエンザは、悪寒,戦慄,全身けん怠,筋肉痛,関節炎,頭痛,咽
頭痛などを伴った発熱を特徴とするインフルエンザウイルスに起因する呼吸器感染
症である。さらにインフルエンザは、高齢者,小児,妊婦,呼吸器疾患患者に時と
して重篤な合併症を引き起こし、その進行が極めて早いことから、迅速な診断と治
療が求められる。免疫クロマトグラフィー法によるワンステップの迅速(15分)で
簡便な試薬キットである。
 分離培養及びPCRを基準として本法と比較すると、鼻腔吸引液での有病正診率は
95%(41/43例)、無病正診率は100%(57/57例)であった。鼻腔ぬぐい液について
同様に比較すると、有病正診率は71%(10/14例)、無病正診率は100%(52/52例)
となり、咽頭ぬぐい液では有病正診率は83%(24/29例)、無病正診率は100%(29
/29例)となった。
【保険請求上の注意】インフルエンザAウイルス抗原は、発症後48時間以内に実
施した場合に限り、区分「D012」感染症血清反応の「16」に準じて算定する。
 インフルエンザAウイルス抗原と同区分「9」のウイルス抗体価のインフルエン
ザウイルスA型、インフルエンザウイルスA/Bウイルス抗原またはノイラミニダー
ゼを併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。
【文献】山崎雅彦,他:4種類のA型、B型インフルエンザウイルス迅速診断キッ
トの臨床的検討.日本感染症学会・日本化学療法学会合同学会、講演抄録集.P41,
2001.
 

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[新規収載検査-5]◆インフルエンザBウイルス抗原
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2.インフルエンザBウイルス抗原 (準用先区分D012−16) (区分D−1)
保険点数:190点    定性検査 
製品名:インフルB−AD「生研」
製造・発売元:デンカ生研株式会社  TEL 03-3669-9091
測定法:酵素免疫測定法 96テスト/キット(シングル測定) 
結果がでるまでの時間:150分    自動化:可
検体:鼻腔吸引液、鼻腔拭い液、咽頭拭い液
【特徴】本キットは、患者から採取した咽頭拭い液、鼻腔吸引液、鼻腔拭い液中の
B型インフルエンザウイルス抗原を検出するキットである。ウイルス分離培養法に
比べて短時間で結果が得られ、ウイルス分離培養法を基準として本キットと比較す
ると、鼻腔吸引液を検体とした場合は、有病正診率80.0%(16/20)、無病正診率
96.9%(31/32)、咽頭拭い液を検体とした場合、有病正診率42.5%(17/40)、
無病正診率100%(88/88)であった。治療に際し、既存のA型インフルエンザウ
イルス抗原検出キットと併用して、A型・B型の鑑別を行うことは、抗ウイルス剤
の選択への有効な情報となり、より適切な対応が可能となる。
【保険請求上の注意】インフルエンザBウイルス抗原精密測定は、発症後48時間以
内に実施した場合に限り、区分「D012」感染症血清反応の「16」に準じて算定する。
 インフルエンザBウイルス抗原精密測定と本区分「9」のウイルス抗体価のインフ
ルエンザウイルスB型、インフルエンザウイルスA/Bウイルス抗原またはノイラ
ミニダーゼを併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。
【文献】西川 眞,他:酵素免疫測定法によるB型インフルエンザウイルス抗原検
出用キット(インフルB−AD「生研」)の評価.新潟医学会雑誌.115(9):476
〜479, 2001
 

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[新規収載検査-6]◆ノイラミニダーゼ
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3.ノイラミニダーゼ (準用先区分D012−16) (区分D−1)
保険点数:190点  定性検査
製品名:ジースタットフルー A&Bキット
製造元:ZymeTx Inc. Oklahoma City, U.S.A.
輸入・発売元:(株)ニチレイ TEL03-3248-2207
測定法:酵素化学的測定法 10または20テスト/キット(シングル測定)
結果がでるまでの時間:22分 自動化:不可
検体:咽頭ぬぐい検体
【特徴】本キットはインフルエンザウイルスA型およびB型ウイルスの検出が可能
である (ただし、A型及びB型の鑑別は不可)。簡単にインフルエンザウイルスA型
及びB型を検出でき、臨床現場(開業医、一般病院)で迅速に22分診断できる。イン
フルエンザウイルスA型及びB型に有効な治療薬が市販され、診断キットによる迅
速診断とその後の治療という観点から重要と考えられる。既存の診断キットと比
較して本品は室温での保存が可能で、結果の判定は容易である。
 既存キット(インフルエンザOIA、第一化学薬品)を基準として比較したところ、
本キットの咽頭ぬぐい液における有病正診率は67.4%(29/43)で、無病正診率は
62.7%(37/59)であった。
【保険請求上の注意】前述したインフルエンザAウイルス抗原、インフルエンザB
ウイルス抗原と同じ
【文献】三田村敬子,他:ノイラミニダーゼ活性を利用したA,B型インフルエンザ
ウイルス迅速診断キットの臨床的検討,感染症学雑誌,74(10):12-16, 2000
 

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[新規収載検査-7]◆ループス抗凝固因子
―――――――――――――――――――――――――――――――
自己抗体検査
1.ループス抗凝固因子(準用先区分D014−19)(保険区分D−2)
保険点数:390点   定性検査
基準範囲: 8秒以上の場合を陽性。
製品名 :スタクロットLA
製造元 :DIAGNOSTICA STAGO Asnieres FRANCE
輸入・発売元:ロシュ・ダイアグノスティックス(株) TEL 03-5443-5277
測定法 :リン脂質中和法  20テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:約16分 自動化:可
検体:血漿(クエン酸ナトリウム)
【特徴】ループス抗凝固因子(LA)は、リン脂質依存症に血液凝固を抑制する抗凝血
素である。LAは抗リン脂質抗体症候群の診断に必須検査である。抗リン脂質抗体症
候群は、静脈血栓症、動脈血栓症、習慣性流産、血小板減少症などをきたす後天性
の血栓性疾患である。現在、LAを検出する試薬の条件は、1)リン脂質依存性の凝
固時間延長が認められること、2)抑制効果は正常プール血漿に及ぼす患者血漿の影
響により証明されること、3)抑制効果はリン脂質依存性により証明されること、4)
抑制効果が凝固因子に対して特異的でないことが挙げられている。本キットは、こ
れらの条件を満たしており、感度よくLA検出することが可能である。LAの早期発
見と病態把握による早期治療に有用である。
 本キットと「LAテスト(グラディボア)」の相関は一致率100%と良好である。
【保険請求上の注意】ループス抗凝固因子は抗リン脂質抗体症候群の診断を目的と
して行った場合に限り、区分「D014」の自己抗体検査の「19」に準じて算定する。
【文献】永井桂純,他:全自動凝固測定装置STAを用いたループスアンチコアグラ
ント検出の検討.医学と薬学,42:809〜815,1999

 

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[Q  &  A-1]◆24時間クレアチニンクリアランスと同時ICGを実施について
―――――――――――――――――――――――――――――――――
(Q)24時間クレアチニンクリアランスと同時にICGを実施しても検査成績に影響
はないでしょうか。
 実際の測定系には相互に影響はないと思いますが、患者さんの体内代謝(クレアチ
ニンの再吸収率の変化等)に関して影響を及ぼさないかどうかが不明です。
また、24時間クレアチニンクリアランスの為の蓄尿中に化学療法を行なっても測定
結果に影響はないのでしょうか? 抗癌剤としてタキソールを使用しています。
(神奈川県 臨床検査技師 経験3年)

(A)糸球体濾過率(GFR)の測定法として、標準法とされているのは、イヌリンクリ
アランスですが、その手技の煩雑さやイヌリン製剤の入手困難などの理由により、
もっぱら内因性クレアチニンクリアランス法が用いられています。クレアチニンは、
腎糸球体からほぼ完全に濾過され、乏尿時を除いて再吸収されないため、GFRの
指標となるとされています。しかしながら、クレアチニンは近位尿細管からも分泌
されているため、GFRを過大評価していることになります。
 近位尿細管でのクレアチニン分泌は、他の陽イオンと輸送路を共有しているため、
抗潰瘍薬のシメチジンや抗アルドステロン薬のスピロノラクトン、尿酸排泄促進薬
のプロベネシド、抗癌剤のトリメトプリムなどの薬物の服用で、クレアチニンの近
位尿細管での分泌を抑制することが知られています。従って、これらの薬剤を使用
している際には、クレアチニンクリアランスが低下します。
 さて、ご質問いただきました件ですが、質問で述べられておりますように、クレ
アチニンの測定は、Jaffe法では様々なものを非特異的に測り込んでしまうために、
薬剤などの影響を受けることもあり得ますが、現在主流となってきた酵素法では、
影響を受けることはほとんどなくなってきたといえます。
 また、我々の調べた範囲では、ICGや抗癌剤のタキソールでは、尿細管の分泌が
低下する可能性示す資料はありませんでした。ICGは肝予備能が正常であれば、数
十分で胆汁中へ排泄されてしまうでしょうし、24時間蓄尿によるクレアチニンク
リアランスの測定には殆ど影響されないと考えられます。また、タキソールでは副
作用として腎機能障害がありますので、尿細管からの分泌低下によるもの(すなわ
ち、GFRの低下がないクレアチニンクリアランスの低下)なのか、糸球体障害によ
るものなのかの判定は難しいと思います。
(参考文献)
大久保充人:血中、尿中検査値の評価。腎と透析35(増刊号「腎機能−その正しい
評価−」):384-390,1993
(日本大学医学部臨床病理学教室 矢内 充)
 

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[Q  &  A-2]◆腹部エコーの教育について
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(Q)臨床工学士に腹部エコーを教育することの可否について教えて下さい。

(A)Q&Aにご質問いただいた件につき、回答します。
まず、臨床工学士法という法律の中で(定義)第2条 この法律で「生命維持管理
装置」とは、人の呼吸、循環又は代謝の機能の一部を代替し、又は補助することが
目的とされている装置をいう。2この法律で「臨床工学技士」とは、厚生労働大臣
の免許を受けて、臨床工学技士の名称を用いて、医師の指示の下に、生命維持管理
装置の操作(生命維持管理装置の先端部の身体への接続又は身体からの除去であっ
て政令で定めるものを含む。以下同じ。)及び保守点検を行うことを業とする者を
いう。
ということで、超音波装置は扱えないことになります。
(獨協医科大学越谷病院臨床検査部 森  三樹雄)
 

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[Q  &  A-3]◆スピロヘータと確定できる抗原検査について
―――――――――――――――――――――――――――――――――
(Q)お忙しい中申し訳ありませんが教えていただきたい事があります。
先日、脳炎の患者が搬送されてきたのですが来院時に髄液検査等を行ったところ
髄液細胞数は198/ulで分類は単核球優位値で蛋白は107mg/dl・糖58mg/dlで検血、
生化学は問題無く、梅毒検査が陽性でRPR(+)・TPHA(+)でした。無菌性髄膜炎
を疑ったのですが墨汁染色を髄液・全血に実施したところ螺旋状の菌体が染め出さ
れスピロヘータと断定できない為、他の施設に検鏡していただいたところスピロヘ
ータと回答をいただいたのですが、スピロヘータと確定できる抗原検査が無いため
何か良い方法があれば教えて頂きたいのですが、宜しくお願いします。
(大阪府 臨床検査技師 経験8年)

(A)ご質問の文面では、この患者さんの梅毒病期(早期、晩期、無症候、先天)、
梅毒治療歴(未治療なのか再感染なのか)、梅毒血清反応の定量値、年齢、性別、
そのほか髄液・血液中にどのくらいの量のスピロヘータが検出されたのか、などの
情報が記載されていませんので適切な回答ができないかも知れませんが、ご了承下
さい。病期によっては組織に潜んでいることがあり、検出が困難となります。
 ご承知のように梅毒の病期は、第一期から第四期に分類され、第三期梅毒ではス
ピロヘータが血管、心臓、神経、脊髄、脳などを侵し、さらに第四期では神経系統
を侵すといわれています。この患者さんは脳炎とありますが、梅毒によるものなら
ば、晩期梅毒で感染からの経過は5〜10年以上と考えられます。
 神経梅毒を疑うときは髄液中の細胞数:リンパ球が4個/μL以上、総蛋白量:
40mg/dL以上、VDRL:陽性(過去の神経梅毒または現在の存在を示す)が診断
の基本1)とされます。また、VDRLを日常検査として実施している施設は稀と
思われますので、凝集法やTPHA法(確立した方法はありませんが、当検査部で
は希釈倍数10倍以上を陽性と判定しています)あるいはFTA−ABS法などの
測定結果が重要になります。なお、髄液中の免疫グロブリンは低濃度であるため、
ガラス板法やRPR法ではほとんど検出できないことが多いので、これらの方法で
の検出は推奨されておりません。ぜひ、髄液中のレアジン抗体もしくは抗
Treponema pallidum(Tp)抗原に対する抗体の検出をお勧めいたします。もし、
抗体が検出されれば、そちらで実施された墨汁染色(暗視野顕微鏡にて油侵で観察)
による髄液・全血から検出された「螺旋状の菌体」はTpの可能性が高いと考えられ
ます(ただし、コンタミがないものとして)。そのほか、髄液中のオリゴクロナー
ルバンド(電気泳動で分離し染色する)の出現を確認することも1つの方法ですが、
神経梅毒のほか髄膜炎、ウイルス性脳炎、多発性硬化症、亜急性硬化性全脳炎、そ
の他膠原病などでも検出され特異度は高くありません。
 通常スピロヘータを確認する方法2)として、病変部位からの分泌物(漿液)な
どを用いて、直接鏡検法、暗視野顕微鏡検査、パーカーインク染色法などが推奨さ
れています。第一期から第二期梅毒に有効です。髄液中のスピロヘータを検出する
場合、数量的に非常に少ない時は、ミリポアフィルターなどで髄液を濾過してスピ
ロヘータを濾過膜に付着させて収集するか、または濃縮した後、次のような方法で
確認することが有効と思われます。必ずスピロヘータが収集できませんと下記の方
法で検出できません。なお、詳細な操作手順は文献等を参考にして下さい。

1.パーカーインク法
2.間接蛍光抗体法
@髄液をスライドガラスに固定する
A梅毒感染ウサギ血清と反応させる(一次反応)
B洗浄
C抗ウサギFITC標識抗体と反応させる(二次反応)
D洗浄、封入
E蛍光顕微鏡による鏡検
梅毒感染ヒト血清でも可能ですが(その場合Cは抗ヒト血清を用いる)、
ウサギを用いた方が染色が鮮明とのことです。
3.直接蛍光抗体法
@髄液をスライドガラスに固定する
Aヒト由来の抗Treponema pallidumFITC標識抗体と反応させる
B洗浄
C洗浄、封入
D蛍光顕微鏡による鏡検
 以上のような方法によって証明できると思います。2、3の場合、Treponema 
pallidumに対する抗体やFITC、ビオチンを標識したものがコスモバイオで輸入
販売しております。なお、2の方法でヒト血清を使用すれば市販のFTA−ABS
キット(日本凍結乾燥研究所)が応用3)できます。すなわち、キット中のTp末塗
抹スライドの代わりに髄液を塗抹固定したものを使用するわけです。またPCR法
などの遺伝子診断4)も文献上報告されていますがキットなどはまだ市販されてい
ないと思いますので実用性に欠けます。
 冒頭にも述べましたが病期によってはスピロヘータを髄液や血中に見いだすこと
は困難です。また、非病原性のスピロヘータも体内にけっこう存在しますので、こ
れらとの鑑別も必要となりますが、蛍光抗体法ですとTpに特異的に反応するため有
用性が高いはずです。
1)松本慶蔵、本間守男監訳:スピロヘータ.グラッドウォール臨床検査学  第「
巻微生物学 618-625,1985
2)望月照次、中村良子:梅毒の検査.検査と技術 24,809-818,1996
3)大谷道広,ほか:皮膚組織中のトレポネーマの検出.厚生省監修 微生物検査必
携(第3版)H34-H46,1987
4)Burstain JME, Grimprel SA, Lukehart MV, etal: Sensitive detection of 
Treponema pallidum by using the polymerase chain reaction. J Clin Microbio
l29: 62-69, 1991
(獨協医科大学越谷病院臨床検査部 森 三樹雄、柴崎 光衛)
 

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[Q  &  A-4]◆一般病院での炭疽菌同定法について
―――――――――――――――――――――――――――――――――
(Q)一般病院でできる炭そ菌の同定方法を教えていただけますか。
(東京 臨床検査技師 経験 15年)

(A)炭疽菌同定法は下記のようになる。
検査材料:喀痰、膿、糞便
培養: 使用培地 血液寒天培地
BTB乳糖寒天培地
チョコレート寒天培地(喀痰のみ)
染色: グラム染色:グラム陽性大桿菌
検体塗布培地を37℃ over night 培養
集落の観察:溶血(−)、巨大・R型のコロニーが見られる。
このコロニーについて
グラム染色:グラム陽性の大桿菌
レシチナーゼテスト:(+)
パールテスト:(+)
運動性:(−)
を確認すればBacillus anthracisと考えられる。
 汚染の強い検体は、60℃位、30分加温した検体も同時に培養した方が検出率が上がる。
 レシチナーゼ反応は、マンニット食塩培地に5%の割合に卵黄を加えた培地を作
っても用いるとよい。食塩耐性、卵黄反応陽性。
 パールテスト:String−of−pearls test:寒天培地中にpenicillin Gを10U/
ml含むものを作製して菌をうえる。真菌のスライドカルチャーのように。3〜4
時間37℃にて培養後、カバーグラスをかけて観察する。Bacillus anthracisは溶菌
して丸い顆粒状になる。他の菌は桿菌の状態のままとなっている。
 運動性は:液体培地で3〜4時間、37℃で培養後、スライドグラスでカバーグ
ラスをかけて観察する。時間があればSIM培地も用いられる。
最も注意するのはBacillus cereusとの鑑別である。運動性・溶血性がある。
 API 50 CHB培地が日本ビオメリュー株式会社から発売されていますが、新
聞報道によると、一般病院には市販しないことになっています。理由はわからない
のですが、数量が足りないことによるのか、または国立感染研究所などの特定な機
関にのみ配布されているのかも知れません。
(東京慈恵会医科大学 臨床検査医学講座    町田 勝彦)
 

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[声の広場-1]◇第48回日本臨床検査医学会総会・第41回日本臨床化学会年会
連合大会-検査2001-に参加して
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 8月26日から29日までパシフィコ横浜で第48回日本臨床検査医学会総会(総会
長:河野均也教授(日大))と第41回日本臨床化学会年会(年会長:櫻林郁之介教
授(自治医大・大宮センター))との連合大会が開催された。この二つの学会が完
全に同一プログラムで開催されたのは初めてのことであり、プログラム作成から運
営まで両会長とその関連の方々は大変であったことだろうと思われる。ご苦労さま
でした。単純には比較できないにしても、このところ減少傾向にあった参加者の減
少も止まり、大会そのものは盛況で、連合大会の試みは大成功であったと思う。
 この数年間、臨床検査に関連する学会の在り方が論議され、昨年から、論議の産
物としての試みがなされている。昨年は学会としては第40回日本臨床化学会年会
(年会長:後藤順一教授(東北大学))と第47回日本臨床病理学会総会(総会長:
吉田浩教授(福島医大))とが同じ地域(仙台と郡山)で一日の移動日を挟んで
(10月30日、31日と11月2日〜4日)開催されている。昨年、今年と二つの試みに参
加してみての印象はそれぞれに一長一短があると言うことであるが、小生の個人的
な好みとしては、期間が短くてすんだことで今年の連合体会がベターであると感じ
た。ただ、両学会が同一プログラムで開催されたので複数のシンポジウムが同時の
時間帯に重なったりして、聞きたかったが聞けなかった演題が多くあったのは残念
であった。増える一方の学会をこのように同時に開催できるものなら連合して行う
ことは好ましいことで、今回の試みから反省点も具体的に見えてきたはずで、それ
を踏まえて次回の参考にしていただければと願っている。
 来年は国際臨床化学会(ICCC2002)がアジアで初めて京都で開催されるので例外
であるが、その次の年(2003年)は中国地区で神辺真之教授(広島大学)と猪川嗣
朗教授(鳥取大学)とが、今年と同様な連合体会を企画されることが決定した。今
回の経験を踏まえて、また、すばらしい連合大会が開催されるものと期待している。
 このような試みで、まだ、実施していない試みが一つ残っている。それは、臨床
化学会年会と臨床検査医学総会とを隔年ごとに開催する、即ち、両学会は2年に一
回、年会または総会を開催する方式である。例えば、2002年は第49回日本臨床検
査医学会を開催し、2003年は第42回日本臨床化学会年会を開催する方式である。
連合大会は既に述べたように盛会で大成功であったがプログラムが少々窮屈であっ
た。昨年のタンデム方式は開催期間が長くなり過ぎる、それぞれに欠点が感じられ
た。それならば、2年に一回ずつではどうか、と言うわけである。2年に一回は間隔
が空き過ぎて学会の活性化に齟齬を来すと言う意見があると思われるが、臨床化学
会は夏期セミナーがあるし、各地域の支部会が活発に行われている。臨床検査医学
会も同様に各支部の活動は活発なので学会の活性化に齟齬がくるとは考えなくても
良いのではないか。一度、試みてもらいたい方式である。
(九州大学医学部臨床分子医学 濱崎 直孝)
 

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[声の広場-2]◇検査医の自戒と光明
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 最近の検査医は、みんな評論家になっていないだろうか?特に、悲観的な論議に
…。何を、どう実施するのかとの展開への建設的な議論がほしい。opinion leader
や評論家は一部の人でよいのでは?自戒をこめて、できるものから実践し病院検査
部の個性化を進めたい。とは言うものの、検査部門のどんよりと暗い話を反映して
か、今日も長崎の空は梅雨や黄砂ですっきりしない。黄砂の上には、燦々と輝く太
陽があるというのに!
 短い検査医学の歴史の中で先人たちは、中央化・効率化等すばらしい成果をもた
らした。ここにきて、突然、検査自体の必要性は認めつつ、病院検査部の存在意義
さえも問われようとしている。医学は進歩し、病院機能の個性化と疾患ごとの検査
の個性化は進んでいるのに検査部の柔軟性に乏しい体制の遅れで、現実の医療との
ミスマッチが生じてしまったのだろうか。著しく進歩した生命科学の成果を医療の
現場に展開する、いわゆる展開医療が徐々に現実化しようとしている時期に。私の
担当する検査部は、病院検査部であると同時に大学ではなくてはならない存在意義
も問われている。この展開医療を基礎医学と最初に橋渡しする役は、正しく臨床検
査医が臨床検査技師と一体となって担わなくてはならない。また、検体に潜む自然
の実験系から学んだ事実を基礎へフィードバックしなければならない。臨床検査こ
そが、医療の原点である病態の客観的なprimary evidenceを生み出すことができる。
しかし、それを担える検査部や検査医は?と自問するとはなはだ寒々しい。むしろ
大手の衛生検査センターの方が技術の蓄積と関心度は高いのではないだろうか。ゲ
ノム、ポストゲノム、展開医療という分野は、いろいろと議論はあろうが、近未来
の臨床検査医の新たな活躍の場となることに間違いない。しかし、現実的に、検査
医の関心度はどうであろうか。例えば、科学研究費で検査病態分野(項目694)や
展開研究としてこの分野に申し込まれている事実ははなはだ少ないのも気がかりだ。
明るい検査の未来を建設するには、実務に立脚した展開研究、それも一病院単位を
越えた共同の取り組み必要かもしれない。例えば、最もシンプルに振り返ってみて
も、臨床の現場からルチン検査以外の病態解析検査の依頼を受けて、どれだけレス
ポンスできるだろうか。検査医自身がinsight-based medicineを実行できるだろう
か。もし可能とすれば、その臨床検体は貴重な自然の実験系として、そこから再び
科学が始まり周り回ってその成果は、検査へ医療へと還元されるようになる。この
ような枠組みを検査技師とともに構成し、実践することも我々のスタンスであるし、
同時に新しい臨床検査医を生み出す刺激にもなろう。
 最近、国立大学では、改革・改革の名のもとに内容はともかく講座名のみが長っ
たらしいものに変わっている。私の講座も分子統御医学の一領域…と組織替えした
が、患者に有用な検査(=臨床検査医学)は本質的に変わるはずがないと思うのだ
が。繰り返しになるが、病態解釈ひいては医療の原点となるものは、今も未来も検
査によって得られるprimary evidenceに依存することに変化ないだろう。したがっ
て、検査は今後ますます増加し、よりいっそう多様化するものと思われる。今こそ、
医療・医学における検査の「あるべき体制」について、医療界全体で議論する時期
ではないだろうか?自然体で、当たり前のことことが何の憂いもなく専心できる体
制と心意気がほしい。身近な話題からの自戒と希望です。ご容赦ご教授下さい。
(長崎大学医学部臨床検査医学 上平 憲)
 

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[声の広場-3]◇オーダーメイド医療の幻想
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 遺伝子検査が普及しているが、果たして、どれほど役に立っているのであろうか。
糖尿病、高血圧、高脂血症などは生活習慣病の代表である。というよりは、現代人
に多い代表的な疾患といった方が正確である。なぜ多いかと言えば、無数の遺伝子
異常と、さまざまな生活習慣上の不摂生が発症に関わっているからである。
 したがって、このような疾患で遺伝子検査を一つ一つ行っていては仕事にならな
い。単に血糖や血圧やコレステロールの値を測れば済む話であることが多い。
 最近、この問題を克服するという触れ込みで、多種類の遺伝子異常をまとめて判
定できる技術が登場した。現在のところ、きわめて高価なため実用にはならないが、
いずれ医療を根本から変える画期的な技術になると評価されている。各人の遺伝子
異常が完全に判定できるようになれば、個人ごとの治療が可能になるというわけで
ある。これが、オーダーメイド医療である。
 果たして、本当にそうであろうか。第一、各疾患に対して、有効な治療法は数え
るほどしかない。それも、最近の大規模調査によれば、その中のごく一部にしか有
効性が認められていないのである。
 遺伝子研究の進歩により、強力な薬剤が続々と開発されるに違いないという楽観
的な見方もある。しかし、たった一つの薬剤の安全性と有効性を証明するだけでも、
大変な労力を必要とする。各人ごとに異なる治療法を行うようになって、有効性を
証明できるわけがない。
 一方、特にわが国には、医療費の高騰で財政が破綻寸前、という大きな問題があ
る。これまでの医学には、「人の命を救うため」という大義があった。そのため、
経済性を無視して、ありとあらゆる医療がルーチンで行われるようになってしまっ
たのである。そのことによる損失がまったく評価されていない点に大きな問題があ
る。研究と医療の境界を見失っているのである。
 遺伝子の研究によって、確かに学問としての医学は進歩するであろう。しかし、
それが人類の幸福に貢献するかどうかは別問題である。
 これからは、人間にとって何が本質的に大切なのかを考えていかなければならな
い時代である。検査に限っていえば、無駄な項目を淘汰していく努力がまず必要で
ある。そして、真に有効な検査については、万人がその恩恵を享受できるようにす
べきである。
 このような立場から、遺伝子診断がなぜ必要なのか、今、あらためて考えなけれ
ばならない。(新潟大学大学院予防医療学分野  岡田 正彦)
 

========================≪ JACLaP WIRE ≫=================
[声の広場-4]◇臨床検査専門医認定試験を受験して
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 この度、第18回臨床検査専門医認定試験合格に際して受験の体験記を書くように
依頼がありました。大学を卒業し、将来外科を目指そうとして病理学教室に入局し
ましたが、そのままずっと病理に属しています。臨床病理学、臨床検査医学という
分野があり、専門医試験の存在も以前から知っていましたが、専門医試験は自分に
関与しないものと思っていました。しかし、大学の方針で病院病理部と検査部を統
合する形で検査部長兼任となり、にわかに受験の必要性が生じたわけです。いい歳
になって新たに試験を受けるのは、落ちるとみっともなく、気恥ずかしいものでし
た。
 この1年間に臨床病理学、臨床検査医学に関する学会、研究会、セミナーなどに
参加させてもらい、いつくかのことを感じました。これらの会で活動されている臨
床検査医の先生方は真摯に検査学を考え、その発展と学会をいかに盛り上げるかに
努力されています。一方、若い人の数が少なく、彼らが将来に不安を感じているこ
とも知ることができました。臨床検査医学、検査医という言葉が一般社会に知られ
ていないこと、日本では臨床検査医学のidentityが十分確立されていない点が問題
であります。これは私が病理を始めてまもなく病理学の将来に不安を感じたことと
同じ状況でした。親・親戚でさえ、病院で病理は何をやっているのか理解していま
せん。若い時にアメリカ留学の機会を得、教養がそれほどでもない安宿のおばさん
でさえpathologyの言葉と仕事内容を知っており、私がpathologistだと言うと畏敬
の念をもってくれたことに驚きと喜びを感じました。この度、臨床検査医学に身を
置くことになり、専門医となったからには、将来ある若い人たちが安心して活動で
きる環境作りと大学での卒前教育による臨床検査医学への理解、底辺の拡大に微力
ながら努力していきたいと思っています。
 最後にこれから専門医試験を受験される先生方へのアドバイスを僭越ながら述べ
ます。受験して感じたことは、ともかく試験範囲は広く、膨大な知識の獲得が要求
されています。十分に試験勉強をする時間がなく、また、片寄った専門分野で仕事
をしている我々にとっては大変な負担です。試験前に行われる検査医会教育セミナ
ーには是非参加してください。試験の傾向とポイントが分かります。学会、研究会
などで、知識のない分野を一日ボーッと聞いているだけでも、最近のトピックスを
知り、新しい検査や名前になんとなく馴染むことができます。たいした助言ではあ
りませんが、トライあるのみです。末筆ですが、教育セミナーの世話人、講師の先
生方にお世話になりました。親身のご指導ありがとうございました。
(金沢医科大学臨床病理学 野島孝之)
 

========================≪ JACLaP WIRE ≫=================
[声の広場-5]◇臨床検査専門医の仲間になって
――――――――――――――――――――――――――――――――――
 この度、臨床検査専門医の仲間に加えていただきありがとうございました。
 今年の3月から研修セミナーに出席させていただきましたが、その都度、私自身
の臨床検査医としてのあまりの知識のなさに愕然とする日々でした。特に骨髄像や、
微生物は遙か彼方の学生時代のセピア色の記憶しかなく、これではとても間に合わ
ないと思いました。内分泌専門医としてホルモンのデータを見る毎日は、臨床検査
専門医としてはかなり偏っていたことが実感されました。しかし、まあ試験に落ち
ても勉強したことだけは知識として残るわけだからと気持ちを取り直し、少しずつ
勉強を始めました。臨床検査学がカバーする範囲はとても広く、しかも、記憶力が
減退しているので、昨日読んだところも、今日、初めて見るような毎日でした。こ
れは二度目の国試だと思いました。しかし、マルティプルチョイスではなく、筆記
試験、実技、しかも面接まであるとは、こんなハードな試験、誰が考えたと試験官
を恨めしく思いました。図書館ではプレテスト直前の6年生と同じ国試対策の本を
拡げているものですから、同僚からは一体どうしたんだと声をかけられる始末。事
情を説明すると試験問題を作っているのではなく、これから試験を受けるのかと気
の毒がられました。
 試験当日は、間違わないようにと赤字で注意書きされていたにもかかわらず、伊
勢原駅ではなく、東海大学前駅で降りてしまい、あわててタクシーで駆けつけた時
は、筆記試験10分前、試験の説明はとっくに終わっていて、何がなんだか分からな
いうちに試験が始まりました。翌日の実技試験はもっとハードでしたが、最後の面
接の先生は終始和やかにお話ししてくださり、やっと長い試験勉強が終わったと思
いました。
 臨床検査医学会には、家族的な仲間意識があることをセミナーを通して、試験を
通して感じました。今後、臨床検査専門医として臨床検査医学の発展に少しでも貢
献できればと念じています。セミナーを主催してくださった各大学の先生方や、試
験官の先生方に深く感謝いたします。
(東京女子医科大学中央検査部  小田桐 恵美)

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★JACLaP WIRE  No.41 2001年11月9日
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