JACLaP WIRE No.32 2000.11.30

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   本メールは日本臨床検査医会の発行する電子メール新聞です。なお、配信申込、
  アドレスの変更、配信の停止等は wire@jaclap.org までお知らせください。
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==========================≪ 目 次 ≫==========================
[寄  稿]  ◆臨床検査医と研究
[お知らせ-1]◆日本臨床病理学会が日本臨床検査医学会へ名称変更
[お知らせ-2]◆平成12年度第3回日本臨床検査医会常任幹事・全国幹事会議事要旨
[お知らせ-3]◆第19回日本臨床検査医会総会講演会要旨
[お知らせ-4]◆第20回日本医療情報学会連合大会のご案内
[新規収載-1]◆BAP(骨型アルカリフォスファターゼ)
[新規収載-2]◆インフルエンザA/Bウイルス抗原
[新規収載-3]◆ヘリコバクター・ピロリの検査
[Q&A]   ◆産婦人科検体に見られる幼若顆粒球(訂正)
[Q&A]   ◆骨髄穿刺の際に骨髄液を抗凝固剤入りの採血管に採取する方法
[報  告]  ◆日医外部精度管理調査シリーズ No. 4
[会員の声-1]◆第18回振興会セミナーに参加して
[会員の声-2]◆4大学基準値一覧に思うこと
[会員の声-3]◆テレパソロジーの運用と診療報酬改定上の問題点

 
=========================≪ JACLaP WIRE ≫=========================
[寄 稿]◆臨床検査医と研究
日本臨床検査医会  副会長 渡辺清明
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 臨床検査医の行うべきことに臨床検査の診療・教育・研究があると思われる
が、今までの巻頭言でのご意見は前2者に関するものが圧倒的に多い。研究な
どと言ってる時代ではない、もっと本質的な部分を確固とすべきである、とい
うことで例えば検査医の教育法、あり方、生き残り法などが多く論じられてい
る。私もこの点に関して異議をはさむ者でない。多分、学問や芸術やスポーツ
などは生活の余裕の産物で、ギリシャ時代やルネッサンス時代とか景気の良い
国(アメリカなど)で盛んなのかもしれない。したがって、今の臨床検査業界
では研究はあまり「お呼びでない」のであろう。
 また、臨床検査医会は学会ではないので研究の話など関係ないとの観点もあ
ろう。しかし、親学会の臨床病理学会が巷の噂では必ずしも高い学問レベルに
あるとは言われてないし、大学の講座の教授にしても臨床検査に精通した適任
者がいても研究業績が少ないことで選出されないケースも耳にする。われわれ
にとっては非常に遺憾なことであるが、現実に起こっている。確かに最近臨床
検査医にとって研究は身近なものでなくなりつつある。実際私なども検査部の
マネジャーをやっていると、検査部のみならず種々の検査関連の仕事に忙殺さ
れ、研究をしようにもなかなか困難である。
 しかし、だからといって例えば内科や外科の先生が他の仕事に忙殺されてな
いかと言うとどうであろうか。私も内科医であったが大変忙しい時間を過ごし
たと思う。夜を徹して実験をしたのを覚えている。現状を少しでも打破するに
は、たとえ臨床検査医といえど自分の仕事に関する研究活動は必要であり、学
会を通じ増進すべきと考えるがいかがであろうか。
 確かに研究は日常の検査医業務の中ではマイナーな部分かもしれない。しか
し、研究は医学に対する向上心の現れであり他の領域の医師などにアピールし
やすいものであるから、検査医会でも少しでもよいから盛り上げていただきた
いと願うのであるが、愚考であろうか。
 
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[お知らせ-1]◆日本臨床病理学会が日本臨床検査医学会へ名称変更
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 日本臨床病理学会は、11月2日に開催された定期総会において、11月3日付
けで学会名を日本臨床検査医学会、Japanese Society of Laboratory Medicine
(略称JSLM)に変更することを決めた。なお、機関誌名の「臨床病理」は当面
従来通りのままとなる。
[2000年11月3日 編集委員 西堀 眞弘]
 
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[お知らせ-2]◆平成12年度第3回日本臨床検査医会常任幹事・全国幹事会議事要旨
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平成12年度第3回日本臨床検査医会常任幹事会・全国幹事会議議事要旨
1) 日時:平成12年11月1日 午前10:00 常任幹事会、午前11:00 全国幹事会
2) 場所:ビッグパレットふくしま・小会議室1
3) 議事要旨
1.報告
各種委員会報告
1)情報・出版委員会(森委員長)
・日本衛生検査所協会の広報誌「ラボ」の「検査の分かるページ」について来年
 3月で2年間の契約は終了するが、好評であり、新たに「検査からみた疾患」
 執筆依頼がきている。執筆継続を承認した。
・JACLaP NEWSについて
  隔月、偶数月に順調に発行されている。
・会誌「Lab CP」について
  18巻1号は6月30日に、2号は10月25日に発行された。
  19巻については現在目次、執筆者を委員会で最終決定する予定である。
・JACLaP WIREについて
  月に2回位の割合でメール会員に送付している。
・要覧について
  2000年度版の要覧が完成し、6月に配付された。
2)教育・研修委員会(熊坂委員長)
・教育セミナーについて
・血液・免疫の教育セミナーは日大(3/05)で21人、大阪市立大学(3/19)
で19人、精度管理・検査室管理の教育セミナーは昭和大学(4/15)で45名、
微生物・生化学・一般検査の教育セミナーは順天堂大学(6/04)で58名の参
加で行われた。
・血液・免疫セミナーについては経費の関係もあり、関西在住の検査医会員だ
けで行うことができるかを決めて頂く。
・精度管理・検査室管理セミナーについては日衞協に「指導監督医」に受講す
るように働きかけを持続する。
・GLMワークショップについて
5/20,21日に自治医科大学でGLM ワークショップが14名の参加で行われた。
3)資格審査・会則改定委員会(渡邊委員長)
  全国幹事会で会長選出について審議を御願いする。
4)渉外委員会(村井委員長)
  振興会セミナーは7月7日に「検査室の運営方式の課題と将来展望」のテ
  ーマで行われ、150余名の参加があり、成功裏のうちに終了した。
5)検査医の未来ビジョン委員会(高木委員長)
・ 臨床検査医の未来を模索する「未来ビジョン委員会」が組織され、若手の
委員を中心に検査医の未来をインターネット上で討議している。
6)会計報告(高木会計幹事)
  2000年度会計中間報告がなされた。
7)検査医会春季大会
・第10回春季大会が4月21、22日札幌医大渡邊直樹大会長の主催で行われ、
80余名の参加があった。
・第11回春季大会は平成13年4月20、21日に巽典之(大阪市立大医学部)
大会長のもとで開催される予定である。
・特別講演1:村井哲夫(聖路加国際病院)
・シンポジウム:最近注目されている専門分野での臨床検査
・特別講演2:私のライフワーク
・パネルディスカッション:検体検査管理加算と検査医の役割
2.審議事項
1)会長選出に関する会則改定について
 A. 会則第15条 会長はA会員資格を持つ正会員を被選挙者として、正
会員の選挙により有効投票数の過半数を以て選出し、幹事会の議を経て総会
で承認する。ただし、過半数に達しない場合は上位2者の決選投票とする。
 B. 会則第15条 会長はA会員資格を持つ正会員を被選挙者として、
正会員の選挙により有効投票数の最上位者を以て選出し、幹事会の議を経て
総会で承認する。
 C. 会則第15条 会長はA会員資格を持つ正会員のなかから、A会員
10名以上の推薦を受けた者を立候補者として、正会員の選挙により選出し、
幹事会の議を経て総会で承認する。
 3案の内容に付いて渡邊委員長から趣旨説明があり、A案を採用すること
にした。
この案は総会で承認された。(11月1日付けで会則を改定する)
・有効会員・名誉会員の規定を定める時期にきているので検討して欲しい。
2)平成13年度予算案
  平成13年度の予算案が提出され、承認された。収入の減少と会員増に
よる経費の増大があり、幹事会や事務経費などを切り詰める必要がある。
[昭和大 高木 康 No.217]
 
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[お知らせ-3]◆第19回日本臨床検査医会総会講演会要旨
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第19回臨床検査医会総会特別講演要旨
日時:平成12年11月1日(水)  13:30〜14:45 講演会
場所:ビッグパレットふくしま・コンベンションホールA
演題:「経験とエビデンス:臨床医学の実践」
演者:岡本高宏先生(東京女子医科大学・内分泌疾患総合医療センター内分泌外科)
 臨床医学の原点は経験にあります。私は外科医ですからそのことをいっそう
強く感じるのかもしれません。たとえば甲状腺に腫瘍を訴える患者さんでは触
診や検査の所見などから腫瘍の良悪性を診断し、手術で摘除した腫瘍の割面性
状や病理組織像を観察し、さらに術後の経過をみます。こうしたプロセスを繰
り返して患者さんから多くのことを学ぶのです。ではなぜEBMなのでしょうか?
 第1に、医療の現場では経験のないことにも対処しなければなりません。未
経験でも診察や検査から情報を引き出すことができます。それらを診断や治療
に活用するには信用できるエビデンスが不可欠です。第2に、経験豊富な臨床
医がいつも的確に判断できるとは限りません。経験がどれくらい確かなのかを
知っている必要があります。第3に、情報を数値で示すことによって診断の確
実さや治療・予後の見通しなどを患者さんに、同僚に、そして医療を学ぶ人た
ちに明確に伝えることができ、診療方針を決定することも可能となるのです。
EBMが好き? きらい?
 EBM (Evidence-Based Medicine) という言葉を聞いて、あなたはどう思わ
れるでしょうか?「好き」という声は巷に溢れているように見えます。でも
「きらい」という方もきっとたくさんおられると思うのです。1992年に
McMaster大学のGuyattが使い始めて以来、EBMは医療の流行言葉になった
感があります。しかし、EBMに批判的な声もあるのです。一方、「好き」で
あっても「そんなにうまくはできないよ」というのが多くの方の本音ではな
いでしょうか?忙しくて時間がない。文献検索をしようと思っても道具がな
いし、図書館も身近にはない。外国でのエビデンスを日本でそのまま使える
のか? 経験とエビデンスを臨床の実践に活かす。その実現には臨床医が常
に学ぶ姿勢を持つとともに、社会の協力が不可欠であると考えます。
 
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[お知らせ-4]◆第20回日本医療情報学会連合大会のご案内
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(第1回日本医療情報学会学術大会)
期 日:平成12年11月23日(木)〜25日(土)
会 場:アクトシティー浜松
会 長:菅野剛史(浜松医科大学)
連絡先:事務局 TEL 053-435-2769
E-mail: jcmi2000@mi.hama-med.ac.jp
URL: http: //www.mi.hama-med.ac.jp/jcmi2000.html

 
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[新規収載-1]◆BAP(骨型アルカリフォスファターゼ)
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血液化学検査
BAP(骨型アルカリフォスファターゼ) (準用先区分D007-30) (区分D-2)
保険点数:200点 定量検査
基準範囲:2.0-120ng/mL 
製品名:タンデム-R オスターゼ
製造元:Beckman Coulter, Inc. Fullerton, CA, U.S.A. TEL:714-871-4848
輸入元:(株)エスアールエル TEL:0426-48-4026
発売元:(株)テイエフビー  TEL:03-5951-1183
測定方法:IRMA法  100テスト/キット(100測定)
結果がでるまでの時間:約21時間   自動化:不可
同時再現性:10%以下         日差再現性:10%以下
検体:血清
【特徴】検体とヨウ化抗BAPマウスモノクローナル抗体(125I)と抗BAPマウ
スモノクローナル抗体固相ビーズとを反応させ、洗浄の後、ガンマカウンタを
用いて抗体ビーズのカウント数を測定する、1ステップのIRMA法である。
 BAP(骨型ALP)は、アルカリフォスファターゼの4種類あるアイソザイム
の1種である。BAPの測定は骨芽細胞の機能状態に関係し、骨の形成状態を
知る指標となると考えられている。骨Paget病、甲状腺機能亢進症などの代
謝性疾患、原発性の骨癌、前立腺癌、乳癌、肺癌等の骨転移などで血清中の
BAPが上昇する。また、慢性腎不全に伴う腎性骨異栄養症の診断の指標とし
ての有用性や成長ホルモン投与効果を反映するので、骨回転の異常を伴う疾
患や骨疾患治療薬の治療効果のモニタリングとしても有用である。本法を
EIA法との相関をみたところ、回帰式 y=0.726x-1.587、相関係数 r=0.973
であった。
【保険請求上の注意】D007血液化学検査「30」のBAP(骨型アルカリフォ
スファターゼ)および同区分「30」のアルカリフォスファターゼ・アイソザイム
精密測定と併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。
【文献】Panigrahi K, et al. ; Characteristics of a Two-site
Immunoradiometric Assay for Human Skeletal Alkaline Phosphatase 
in Serum. Clin Chem, 40: 822-828, 1994
[獨協医大越谷病院 森 三樹雄 No.45]

 
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[新規収載-2]◆インフルエンザA/Bウイルス抗原
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感染症血清反応
インフルエンザA/Bウイルス抗原(準用先区分D012-16) (区分D-1)
保険点数:190点-定性検査
基準範囲:陰性
製品名:インフルエンザ OIA
製造元:BioStar Inc., Boulder, Co 80301, USA
輸入発売元:第一化学薬品(株) TEL:03-3272-0681
測定法:光学的免疫測定法(OIA法)  30テスト/キット(シングル測定)
結果がでるまでの時間:約20分 自動化:不可
検体:鼻腔ぬぐい液、鼻腔吸引液、咽頭ぬぐい液、喀痰
【特徴】検体中のインフルエンザ抗原と酵素標識抗体の複合体が、テストデ
バイス上の抗A/B型インフルエンザ゙抗体と免疫複合体を形成する。更に、
基質を反応させると反応生成物がテストデバイス上に埋積して厚みを増し、
紫-青の色調に変化する。この色調の変化を肉眼で判定する。
 本キットは、鼻腔ぬぐい液、鼻腔吸引液、咽頭ぬぐい液等の検体中のA型
またはB型インフルエンザ抗原を、診療の現場で迅速簡便に検査できるキッ
トである。インフルエンザはA型およびB型とも潜伏期が短く、急性の発熱
性ウイルス疾患である。小児では脳炎・脳症を合併することがあり、高齢者
では肺炎を合併して死に至る場合もある。また、インフルエンザは感染力が
強く、時に病院などの施設内で集団発生を起こすことがある。本キットで
インフルエンザを迅速診断することによって、患者への対応のみならず、そ
の家族や施設内への感染拡大防止に対して迅速に対応ができるようになる。
鼻腔吸引液を検体とした場合の本法の性能は、ウイルス分離培養法と比較す
ると、有病正診率は83%(35/42例)、無病正診率は66%(67/101例)
である。
【保険請求上の注意】インフルエンザA/Bウイルス抗原は抗原抗体反応 
(OIA法)により、発症後48時間以内に実施した場合に限り、区分「D012」
感染症血清反応の「16」に準じて算定する。インフルエンザA/Bウイルス
抗原と本区分「9」ウイルス抗体価のインフルエンザウイルスA型または
B型を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。
【文献】山崎雅彦,他:鼻咽頭吸引液を検体としたOptical Immunoassay法
によるインフルエンザ迅速診断.感染症誌,73:1064-1068,1999
[獨協医大越谷病院 森 三樹雄 No.45]
 
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[新規収載-3]◆ヘリコバクター・ピロリの検査
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ヘリコバクター・ピロリの検査
細菌培養同定検査
1)迅速ウレアーゼ試験(準用先区分D018-6) (区分D-1)
保険点数:70点 定性検査
判定:赤色の場合は陽性
製品名:MRウレアS
製造・発売元:(株)特殊免疫研究所 TEL:03-3814-4081
測定法:迅速ウレアーゼ法    30テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:2時間  自動化:不可
検体:胃又は十二指腸粘膜組織
【特徴】基質試薬液に被検検体を加えると、菌が産生するウレアーゼが基質
試薬中の尿素を加水分解し、アンモニアが生じる。生じたアンモニアにより
pHが上昇し指示薬(フェノールレッド)の色調が変化する。この色調の変化
でヘリコバクター・ピロリの有無を目視判定する。
 ウレアーゼ法に基づく、簡便な検査であるが、有病正診率、無病正診率と
も従来の細菌培養同定法に匹敵する。本診断薬を用いると、ヘリコバクター
・ピロリ感染患者の場合、通常20分ほどで判定できる。本法を尿素呼気試験
法と比較したところ、有病正診率は95.2%、無病正診率は85.7%であった。
【保険請求上の注意】当核検査法を含むヘリコバクター・ピロリ感染診断の
保険請求上の取扱いについては、「ヘリコバクター・ピロリ感染の診断およ
び治療に関する取扱いについて」(平成12年10月31日  保険発第180号)
に即して行うこととなっている。
 その内容の要旨は次のようになる。
 除菌前の感染診断については、内視鏡検査又は造影検査において胃潰瘍又
は十二指腸潰瘍の確定判断がなされた患者のうち、ヘリコバクター・ピロリ
感染が疑われる患者に対し、次の5項目の検査法(@迅速ウレアーゼ試験 
A鏡検法 B培養法 C抗体測定 D尿素呼気試験)のうちいずれかの方法を
実施した場合に1項目のみ算定できる。ただし、検査の結果ヘリコバクター
・ピロリ陰性となった患者に対して、異なる検査法により再度検査を実施し
た場合に限り、さらに1回に限り算定できる。
 除菌後の感染診断(除菌判定)については、除菌終了後4週間以上経過し
た患者に対し、ヘリコバクター・ピロリの除菌判定のために上に掲げる検査
法のうちいずれかの方法を実施した場合に1項目のみ算定できる。ただし、
検査の結果ヘリコバクター・ピロリ陰性となった患者に対して、異なる検査
法により再度検査を実施した場合に限り、さらに1回に限り算定できる。除
菌後の感染診断の結果、ヘリコバクター・ピロリ陽性の患者に対し再度除菌
を実施した場合は、1回に限り再除菌に係る費用及び再除菌後の感染診断に
係る費用を算定することができる。
【文献】西川恵子,浅香正博,他:H. pylori感染診断における新しい迅速ウ
レアーゼテスト (MRウレアS) の有用性の検討.臨床と研究,74:
1879-1881, 1997
[獨協医大越谷病院 森 三樹雄 No.45]

2)迅速ウレアーゼ試験(準用先区分D018-6) (区分D-1)
保険点数:70点 定性検査
判定:赤色の場合は陽性
製品名:MRウレア
製造・発売元:(株)特殊免疫研究所 TEL:03-3814-4081
測定法:迅速ウレアーゼ法
25テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:2時間  自動化:不可
検体:胃又は十二指腸粘膜組織
【特徴】測定原理は前と同じで指示薬はフェノールレッドである。
他のウレアーゼ法と同じ。本法を培養法と比較したところ、有病正診率は
94.4%、無病正診率は100%と良好であった。
【保険請求上の注意】前と同じ。
【文献】西川恵子,浅香正博,他:改良型迅速ウレアーゼテストであるMR
ウレアの有用性についての検討.臨床と研究,73:1011-1014, 1996
[獨協医大越谷病院 森 三樹雄 No.45]

3)迅速ウレアーゼ試験(準用先区分D018-6) (区分D-1)
保険点数:70点 定性検査
判定:赤色の場合は陽性
製品名:ヘリコチェック
製造元:(株)特殊免疫研究所   TEL:03-3814-4081
発売元:大塚製薬(株)      TEL:03-3292-0021
測定法:迅速ウレアーゼ法    30テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:2時間   自動化:不可
検体:胃又は十二指腸粘膜組織
【特徴】測定原理は前と同じ。本法を尿素呼気試験法と比較したところ、有
病正診率は95.2%、無病正診率は85.7%と良好であった。
【保険請求上の注意】前と同じ。
【文献】松久威史,他:Helicobacter pylori感染診断におけるヘリコチェッ
クの有用性.臨床と研究.75:2279-2282, 1998
[獨協医大越谷病院 森 三樹雄 No.45]

4)迅速ウレアーゼ法 (準用先区分-D018-6) (区分D-1)
保険点数:70点 定性検査
判定:橙色・赤色又は紫紅色の場合は陽性
製品名:CLOテスト「コクサイ」
製造元:Ballard Medical Products-2050 Lone Peak Parkway Draper, 
    Utah 84020 U.S.A.  TEL:+1-801-572-6800
販売元:国際試薬 (株)      TEL:078(231)4151
測定法:迅速ウレアーゼ法
結果がでるまでの時間:2時間  自動化:不可
検体:胃又は十二指腸粘膜組織
【特徴】測定原理は前と同じで、指示薬はフェノールスルホンフタレインである。
従来の培養法に比べて、迅速かつ簡単に検査ができる。
【保険請求上の注意】前と同じ。
【文献】Warren JR, Marshall BJ: Unidentified Curved Bacilli on Gastric 
Epithelium in Active Chronic Gastritis.  Lancet i: 1273-1275, 1983
[獨協医大越谷病院 森 三樹雄 No.45]

5)迅速ウレアーゼ試験(準用先区分-D018-6) (区分D-1)
保険点数:70点 定性検査
判定:青色の場合は陽性
製品名:ピロリテック テスト キット
製造元:Serim Research Corp., 23565 Reedy Dr., Elkhart, Indiana,
    USA Tel:1-219-264-3440
輸入元:サクラ精機(株)  Tel:03-3231-1614
販売元:三共(株)  Tel:03-5255-7111
測定法:ウレアーゼ活性法 25テスト/キット
結果がでるまでの時間:5-60分 (平均約20分)
検体:胃生検組織
【特徴】測定原理は前と同じで、指示薬はブロムフェノールブルーである。
ピロリテックにより、胃・十二指腸潰瘍患者の内視鏡診断時に、ヘリコバク
ター・ピロリ感染のリアルタイム診断ができる。1試薬で胃生検組織3検体
まで同時検査が可能で、部位別にも判定できる。本法と検鏡法・培養法とを
比較すると、有病正診率は98.5%(128/130例)、無病正診率は94.4%
(34/36例)であった。
【保険請求上の注意】前と同じ。
【文献】川村典夫,他:Helicobacter pylori感染診断に於ける高感度rapid 
urease test "PyloriTekィ Test Kit"の評価及び除菌判定への応用. 医学と薬学, 
41: 467-476,1999
[獨協医大越谷病院 森 三樹雄 No.45]

6)尿素呼気試験(準用先区分D018-6)
保険点数:70点 定量検査
判定:呼気ガス中の13CO2比率の変化量2.5‰以上が陽性
製品名:ユービット(体内診断用医薬品)
製造・発売元:大塚製薬(株)  TEL:03-3292-0021
測定法:赤外分光分析法または質量分析法
呼気の採取:服用前と後20分  1包/テスト(シングル測定)
結果が出るまでの時間:25分
検体:呼気
【特徴】13C-尿素呼気試験法は、非放射性の安定同位体13Cで標識された尿素
を服用し、胃内のヘリコバクター・ピロリのウレアーゼ活性により分解され、
呼気中に排出される13CO2を検出し、服用前後の呼気を採取し、ヘリコバク
ター・ピロリの感染診断を行う。本剤を用いて13C-尿素呼気試験を行った結果、
有病正診率、無病正診率、診断効率はそれぞれ98.2%、97.9%及び98.1%で
あった。本法と他の方法(培養法、CLOテスト、組織鏡検法、血清抗体法)を比
較したところ、診断効率はいずれも90%以上であった。また、UBiT-IR300
(大塚電子株式会社)の赤外分光分析装置を用い呼気ガス中の13CO2比率の変化
量(Δ13CO2:単位‰)を測定することもできる。
【保険請求上の注意】前と同じ。
【文献】Ohara,S. et al.:J.Gastroenterol., 33:6, 1998
[獨協医大越谷病院 森 三樹雄 No.45]

感染症血清反応
7)ヘリコバクター・ピロリ抗体 (準用先区分D012-7) (区分D-1)
保険点数:70点 定性検査
判定:凝集が認められれば陽性
製品名:ピロリセットドライ
製造元:Orion Diagnostica  P.O.Box 83,02101 Espoo, Finland
輸入発売元:第一化学薬品(株)  TEL:03-3272-0681
測定法:ラテックス凝集法    24テスト/キット (シングル測定)
結果がでるまでの時間:約5分  自動化:不可
検体:血清
【特徴】検体中に抗ヘリコバクター・ピロリ抗体が存在すると、ラテックス
上のへリコバクター・ピロリ抗原と抗原抗体反応を起こし凝集する。この凝
集の有無を観察することにより抗ヘリコバクター・ピロリ抗体の存在の有無
を判定する。本キットはラテックス凝集法であるので、特別な機器を必要と
せず判定できる。
【保険請求上の注意】前と同じ。
【文献】山本一成,他:Helicobacter pylori感染診断における血清抗
H.pylori抗体検出キット・ピロリセットドライ(PYLORISET Dry)の有用性の
検討.基礎と臨床,28:2785-2796,1994.
[獨協医大越谷病院 森 三樹雄 No.45]

8)ヘリコバクター・ピロリ抗体 (準用先区分D012-7) (区分D-1)
保険点数:70点 定性検査
判定:赤色のラインを生じた場合は陽性
製品名:ラピラン H.ピロリ抗体
製造・発売元:大塚製薬(株) TEL:03-3292-0021
測定法:イムノクロマトグラフィー法  10テスト/キット(シングル測定)
結果がでるまでの時間:20分    自動化:不可
検体:尿
【特徴】尿検体 (希釈検体) を滴下すると、IgGと金コロイド標識抗ヒトIgG 
 (Fc) ポリクローナル抗体 (ヤギ) が反応し免疫複合体を形成し、ニトロセ
ルロースメンブランを流れ進む。免疫複合体中の抗ヘリコバクター・ピロリ
IgG抗体複合体は、テストライン上に固相化したヘリコバクター・ピロリ抗
原と反応し、それ以外の複合体はコントロールライン上に固相化された抗ヒ
トIgGモノクローナル抗体 (マウス) に捕捉され、赤色のラインとなって現
れる。本キットは、尿中に微量に存在する抗ヘリコバクター・ピロリ抗体
を検出する。本品と血清中の抗ヘリコバクター・ピロリ抗体検出キット (3
品目) と比較すると有病正診率は88.9%-94.6%、無病正診率は56.8%-
83.9%であった。生検組織診断法(培養法、鏡検法、迅速ウレアーゼテス
ト) と比較すると有病正診率は89.2%-89.6%、無病正診率は77.0%-
93.8%であった。
【保険請求上の注意】前と同じ。
【文献】S.Yamamoto, et al.: A New Rapid Test for Detecting 
Anti-Helicobacter Pylori Antibody Excreted into Urine. Helicobacter,
5:160-164,2000
[獨協医大越谷病院 森 三樹雄 No.45]

9)ヘリコバクター・ピロリ抗体 (準用先区分D012-7) (区分D-1)
保険点数:70点 定性検査
判定:赤紫色のラインの場合は陽性
製品名:ミニットリード ピロリ抗体
製造・発売元:(株)特殊免疫研究所  TEL:03-3814-4081
測定法:イムノクロマトグラフィー法 30テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:15分間(反応時間)  自動化:不可
検体:血清又は血漿 (抗凝固剤はヘパリン、EDTA、クエン酸ナトリウム、
シュウ酸ナトリウムいずれも可)
【特徴】メンブレン上を検体が移動して、乾燥H. pylori抗原結合金コロイ
ド粒子を溶解し、検体中のヘリコバクター・ピロリ抗体と複合物を形成する。
クロマトグラフィー法の原理により、移動した複合物がメンブレン上の
H. pylori抗原に捕捉され、赤紫色のラインが現れる。
 イムノクロマトグラフィー法に基づく簡便で非侵襲的な検査である。
本法を尿素呼気試験法と比較したところ、有病正診率は93.8%、無病正診
率は78.3%であった。
【保険請求上の注意】前と同じ。
【文献】奥井雅憲,他:全血を用いた血中抗Helicobacter pylori抗体検出
キットZYC-101の有用性.基礎と臨床,30:2093-2101, 1996 
[獨協医大越谷病院 森 三樹雄 No.45]

10)ヘリコバクター・ピロリ抗体精密測定(準用先区分D012-7)(区分D-1)
保険点数:70点 定性検査
判定:陰性10U/mL未満、陽性10U/mL以上
製品名:イムニス ピロリ抗体EIA
製造・発売元:(株)特殊免疫研究所 TEL:03-3814-4081
測定法:EIA法  96テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:50分    自動化:不可
検体:血清又は血漿(抗凝固剤はヘパリン、EDTA、クエン酸ナトリウム、
シュウ酸ナトリウム)
【特徴】マイクロプレートに固相化されたヘリコバクター・ピロリの精製特異
抗原とペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgGマウスモノクローナル抗体を用いた2
ステップサンドイッチ法である。EIA法に基づく非侵襲的な検査で、感度、特
異性とも尿素呼気試験に匹敵する。本法を尿素呼気試験法と比較したところ、
有病正診率は98.9%、無病正診率は100%と良好であった。
【保険請求上の注意】前と同じ。
【文献】鈴木伸明,他:Helicobacter pylori IgG抗体測定用試薬「イムニス 
ピロリ抗体EIA」によるHelicobacter pylori の存在診断及び除菌治療効果判
定の検討.臨床と研究,75:943-947, 1998
[獨協医大越谷病院 森 三樹雄 No.45]

11)ヘリコバクター・ピロリ抗体精密測定(準用先区分D012-7)(区分D-1)
保険点数:70点 定性検査
判定:陽性10単位/mL以上 陰性10単位/mL未満
直線性:100単位/mL
製品名:ヘリコG「コクサイ」
製造元:Axis-Shield Diagnostics Limited The Technology Park
Luna Place Dundee DD2  1XA Scotland TEL: +44-(0)1382 422000
販売元:国際試薬(株)  TEL:078(231)4151
測定法:EIA法     96テスト/キット(シングル測定)
結果がでるまでの時間:1時間40分  自動化:可
同時再現性: CV 1.8%-4.0%    日差再現性:CV 2.0-7.3%
検体:血清
【特徴】固相のヘリコバクター・ピロリ抗原に検体中の抗体を反応させて複
合体を形成する。ペルオキシダーゼ(POD)標識抗体を加え、形成した複合体
に基質を加え呈色反応させて吸光度を測定する。検体が血清であるため、培
養法などに必要なバイオプシーが不要である。本法と培養法と比較すると有
病正診率は96.2%(51/53例)、無病正診率は60%(9/14例)であった。
【保険請求上の注意】前と同じ。
【文献】山川 治,他:Helicobacter pylori 感染診断における血中抗体価の
意義.日消病会誌,90:2090-2096,1993
[獨協医大越谷病院 森 三樹雄 No.45]

12)ヘリコバクター・ピロリ抗体精密測定 (準用先区分D012-7)
保険点数:70点 定性検査
判定:陰性1.7EV以下 判定保留域1.8-2.2EV 陽性2.3 EV以上
直線性:0-6.5 EV
製品名:デタミナーH. pylori抗体
製造元:Enteric Products, Inc., 25 East Loop Drive Stony Brook, NY 
    11790-3355, USA   TEL:1-631-444-8872
輸入・発売元:協和メデックス(株) TEL:03-3297-8104
測定法:ELISA法  96テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:1時間  自動化:可
同時再現性:3.8%-9.4%    日差再現性:2.6%-5.5%
検体:血清
【特徴】ウェルに固相されたヘリコバクター・ピロリに特異的な精製高分子
細胞関連蛋白(HM・CAP)により、血清中のヘリコバクター・ピロリ抗体を捕
らえる。ぺルオシダーゼ標識抗ヒトIgG抗体で検出し、TMB発色反応後の吸
光度から計算によりヘリコバクター・ピロリ抗体濃度(EV)を求める。固相抗
原には菌自体ではなく、ヘリコバクター・ピロリに特異的な精製高分子細胞
関連蛋白(HM・CAP)を使用している。全分割式マイクロタイタープレートを
使用しているため、1検体から多量検体まで測定可能である。本法と他法を
比較すると有病正診率は99.5%(190/191例)、無病正診率は96.4%
(163/169例)であった。
【保険請求上の注意】前と同じ。
【文献】Graham D. et al.:  Epidemiology of Campylobacter 
Pylori Infection: Ethinic Considerations. Scand. J. Gastroenterol., 
23 (Suppl 142): 9-13,1988
[獨協医大越谷病院 森 三樹雄 No.45]

13)ヘリコバクター・ピロリ抗体精密測定 (準用先区分D012-7)(区分D-1)
保険点数:70点 定性検査
判定:陰性10U/mL未満 陽性10U/mL以上
直線性:300U/mLまで
製品名:E-プレート‘栄研’H.ピロリ抗体
製造・発売元:栄研化学(株)   TEL:03-3813-5401
測定法:EIA法   96テスト/キット(シングル測定)
結果がでるまでの時間:1時間15分    自動化:可
同時再現性:1.0-3.6%         日差再現性:3.6-4.7%
検体   :血清及び血漿 (抗凝固剤 は特に指定なし)
【特徴】ヘリコバクター・ピロリ抗原固相化プレート内で標準又は検体及び
酵素標識抗体を順次反応させ、抗原抗体結合物を生成させる。この結合物を
基質液との酵素反応により発色させ、プレートリーダーで吸光度を測定し、
ヘリコバクター・ピロリ抗体濃度を求める。
 本品は国内株由来の抗原を使用している。本法と尿素呼気試験を比較すると
有病正診率は90.7% (68/75例) 、無病正診率は91.5% (54/59例) であ
った。
【保険請求上の注意】前と同じ。
【文献】藤岡 利生,他:Helicobacter pylori除菌判定における国内株を用
いた血清抗体価測定キットの評価.医学と薬学,43(3):573-579,2000
[獨協医大越谷病院 森 三樹雄 No.45]

14)ヘリコバクター・ピロリ抗体精密測定(準用先区分D012-7)(区分D-1)
保険点数:70点 定性検査
判定:カットオフインデックス:1.0以上が陽性
製品名:ウリネリザ H.ピロリ抗体
製造・発売元:大塚製薬(株) TEL:03-3292-0021
測定法:ELISA法  96テスト/キット(シングル測定:91検体)
結果がでるまでの時間:2時間30分 自動化:可
同時再現性:6.9-8.5%      日差再現性:2.8-10.4%
検体:尿
【特徴】尿検体中の抗ヘリコバクター・ピロリ抗体が抗原プレートに結合し、
これに酵素標識抗体液を反応させ、基質液を加えて発色させその吸光度を
450nmで測定する。同時に測定した陽性コントロール及び陰性コントロール
の吸光度からカットオフ値を算出し、検体の陽性又は陰性を判定する。本品
キットは、尿中に微量に存在する抗ヘリコバクター・ピロリ抗体を検出する。
本キットと血清中の抗ヘリコバクター・ピロリ抗体検出キット(3品目)とを比
較すると有病正診率は85.7-94.5%、無病正診率は86.0%-94.6%、生検組
織診断法(培養法、鏡検法、迅速ウレアーゼテスト)と比較すると、有病正診率
は94.5-97.0%、無病正診率は67.3%-68.7%であった。
【保険請求上の注意】前と同じ。
【文献】M.Kato, et al. :Clinical Usefulness of Urine-based Enzyme-linked
Immunosorbent Assay for Detection of Antibody to Helicobacter pylori: A
Collaborative Study in Nine Medical Institutions in Japan. 
Helicobacter,5 (2):109-119,2000
[獨協医大越谷病院 森 三樹雄 No.45]

15)ヘリコバクター・ピロリ抗体精密測定(準用先区分D012-7)(区分D-1)
保険点数:70点 定性検査
判定:50U/mLを超えた場合は陽性  30U/mL未満の場合は陰性
30U/mL-50U/mLの場合は判定保留  直線性:30U/mL-500U/mL
製品名:スマイテストELISA[ヘリコバクター]
製造元:SILENUS Labs. Pty. Ltd.  Boronia, Victria, Australia
    TEL:+61-3-9839-2000
輸入元:(株)ゲノムサイエンス研究所 TEL:03-5833-3451
発売元:(株)医学生物学研究所    TEL:052-971-2081
測定法:ELISA法    82テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:約1時間  自動化:可
同時再現性:7.0〜7.6%       日差再現性:7.5〜11.6%
検体:血清、血漿、ろ紙乾燥全血
【特徴】本試薬は、マイクロカップに固相した不活性化したヘリコバクター
・ピロリ抗原と酵素標識抗ヒトIgGヒツジ抗体を用い、患者血清、血漿若し
くはろ紙乾燥全血中のIgGクラスの抗ヘリコバクター・ピロリ抗体を、酵素
免疫測定法で検出する。本試薬は血清、血漿、ろ紙乾燥全血中の抗ヘリコバ
クター・ピロリ抗体濃度を測定する。本試薬はMAOS、AP960、BEP。の機
器で自動化が可能である。本試薬を培養法と比較したところ、有病正診率は
94%、無病正診率は82%であった。
【保険請求上の注意】前と同じ。
【文献】Schembri M.A., et al; A Comparison of Commercial Diagnostic
 Tests for Helicobacter pylori Antibodies 「th Workshop on 
Gastroduodenal Pathology and Helicobacter pylori. Bologne, 
J Clin Microbiol, 31:2621-2624,1993
[獨協医大越谷病院 森 三樹雄 No.45]
 
=========================≪ JACLaP WIRE ≫=========================
[Q&A] ◆産婦人科検体に見られる幼若顆粒球
  (前号記載の回答者名に誤りがありましたので訂正のうえ再掲します)
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(Q)産婦人科から出てくる血算で、自動血球装置のIMチャンネルで幼若顆
粒球を示すフラグを示す事が多く、念のため血液像をみてみると、正常者では
考えられない割合で幼若顆粒球が見られます。ただ単に造血機能が亢進してい
るためなのか、妊婦には髄外造血が起こっているのか、本当に骨髄の疾患なの
か、教えてください。(群馬県 臨床検査技師)

(A)残念ながら、検体の臨床的な背景が不明ですので、具体的な解答は困難
です。一般的には、標本で幼若球が有るとの事ですので、IMのフラッグは正
しい情報を伝えている事になります。検査室では検体のその結果だけを伝える
ことでその責任は終わることになりますので、その後は医師の方で考える必要
があります。産婦人科といっても産科と婦人科により、また病院の診療背景で
判断の結果が大いに異なります。唯ひとつ言えることは、妊婦で一般的に髄外
造血が起こると結論づけるのは危険であるということです。

回答日:2000年10月15日
回答者:認定臨床検査医 巽 典之(No.387)

[ホームページ/臨床検査ネットQ&A(血液検査)]
 
=========================≪ JACLaP WIRE ≫=========================
[Q & A]◆骨髄穿刺の際に骨髄液を抗凝固剤入りの採血管に採取する方法
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(Q)現在、当院では骨髄穿刺の際、技師がベッドサイドまで行ってその場で
細胞数用の希釈をメランジュールで行い、塗抹標本を作製し、残りの検体は、
病理のクロット標本としてホルマリン固定を行っています。一部の施設では、
骨髄液も抗凝固剤入りの採血管に採取し、標本を作製していると聞きました。
その際の注意点を教えて下さい。(大阪府 臨床検査技師)

(A)ご質問にあるように、通常骨髄像検査は、抗凝固剤を用いずに実施する
のが原則ですが、抗凝固剤によって骨髄液の凝固を阻止して塗抹標本を作
製したり、細胞数の算定をメランジュールを用いて行う施設もあります。
一方、骨髄像の判定や観察ができる医師や技師が減少しており、骨髄穿刺、
塗抹標本作製をその施設で行っても、判定は他の検査施設に依頼する病院も
多くなってきました。また、塗抹標本を作製し検査施設まで搬送するのでは
なく、骨髄液そのものを抗凝固剤入りの試験管で搬送することも行われるよ
うになりました。このような抗凝固剤を用いた骨髄液による骨髄像検査を実
施するときの注意点としては
1. 通常は血液一般検査に用いるEDTA-2K入りの試験管を用いるが、採取し
た骨膵液を2〜3ml以上いれないこと。(凝固してしまいます)
2. 細胞形態に種々の変化を防止するため、なるべく短時間で標本を作製す
ること。
3. 特殊染色を行うときにはできれば抗凝固剤を使用しない方が好ましいが、
ペルオキシダーゼ、ズダンブラック、鉄染色、PAS染色などは短時間の保存
では大きな影響は受けない。
4. クロット標本は作りにくいため、必ず圧挫標本(spicule smear method)
を普通の塗抹以外に作製しておく。
などがあげられます。
 そのほか細かい注意点はいくつかありますが、要は抗凝固剤入りの採血管
を用いてもなるべく短時間の保存で検査を行うことが重要です。

回答日:2000年11月20日
回答者:認定臨床検査医 土屋 達行(No.244)日本大

[ホームページ/臨床検査ネットQ&A(血液検査)]
 
=========================≪ JACLaP WIRE ≫=========================
[報  告]◆日医外部精度管理調査シリーズ No. 4
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血清検査における外部精度管理の目標
 血清反応は定性法から定量法へと変換中であり、抗原または抗体の測定に
ついては、いずれの方法でも抗原抗体反応に特有の問題があることに変わり
はない。外部精度管理調査の目標の一つが施設間差是正であり、そのために
は他検査項目同様、血清検査も施設間変動の目標は5%以下とすべきであろ
う。臨床現場からすれば、測定方法はどんなものでも構わないが、施設間差
があるのは困るということであり、我々もそれに対応しなければならない。
すなわちpeer groupで評価している立場からtarget valueを設定し評価する
方向へ急ぐべきであろう。
 日本医師会精度管理調査(日医)に6年間参加させていただいた経験から、
現状と問題についてふれてみたい。日医では昭和46年度のABOとRho (D)
血液型と梅毒血清反応からスタートし、定性〜半定量法では上述以外、CRP、
HBs抗体、尿妊娠反応、α-フェトプロテイン、リウマトイド因子(RF)、抗
核抗体やHCV抗体が、定量法ではCRP、RF、免疫グロブリン(G, A, M)の
精度管理調査がなされた。これらの中で、抗原測定については、CRPのよう
に基準物質の利用が可能となり、著明な改善をみたものがあるが、抗体測定
については改善傾向が明らかでないものもある。CRPについて、昭和63年
度と平成11年度のCV%の推移をみると51〜124%から3%前後へと著明な
改善がみられた。これはWHO〜準拠基準物質さらにCRM470の利用が99
%以上の施設でなされていることにもよろう。今日、高感度法の利用や心血
管疾患や乳幼児疾患への適用拡大への努力がなされてきているが、日常の治
療では“良好な状態”になっているとも云えよう。一方、抗体の代表として
のRF測定についてみると、相変わらず問題がみられる。平成9年度でも半
定量法で、同一試料が2〜5,120倍と信じられない分布を示し、定量法でも
CV%が19〜38%と大きい。さらにカットオフ値も5U以下〜40Uと幅が
大きい。RFの基準物質作成には難しい問題があるが、現状打破のためには
“暫定的”基準物質の導入も考慮すべきであろう。
[福島医大 吉田 浩 No.295]

 
 ========================≪ JACLaP WIRE ≫======================== 
[会員の声-1]◆第18回振興会セミナーに参加して
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 第18回振興会セミナーが7月7日東京ガーデンパレスで開催された。今
回は「検査室の運営方式の課題と将来展望」のテーマで、“ブランチラボ”
“FMS”“機器リース・システム”の3方式を実際に取り入れた施設からの
発表があり、今日的な興味あるテーマのためか会場は満席であった。それぞ
れの方式の長短や論評は差し控えることにして、昨今の医療行政の中での検
査室の運営がいかに厳しく難しいものかを改めて考えさせられた。
 「経済性の追求」と「良質な医療の保持」という相反する問題は、検査室
の運営のみならず医療全体の問題であり、GRD/PPSが近い将来完全実施され
ればその矛盾はさらに拡大されると思われる。
 しかし、このような状況は米国において20年以上前から既に進行しており、
その結果医療機関の統合や合理化が実施され、検査室もその渦の中で統合や
分離が行われたことは周知のことであり、同時に様々な問題を巻き起こした
ことも事実である。
我が国は何事につけ常に米国の後追いをしていることを考えると、日本の医
療環境がこの問題点を置き去りにして経済性だけを追求することになりかね
ない。
 ここで改めて日本経済の中での医療の位置づけ、高齢化社会を踏まえての
総医療費のあり方等を日本独自の視点で捉え方針を出すことが必要と痛感す
る。現在の総医療費が本当に日本経済の首を締めるほど高いのか? 今後の経
済成長や個人所得の中で医療費負担はどうあるべきか? 銀行やゼネコンの救
済と医療のどちらが大切か? マスコミが大騒ぎする医療ミスも現在の医療行
政の締め付けの中で経済性重視が影を落としていないか? また、さらにこの
現状が今のままではさらに進行しないか? 現在の医療体制の中に無駄や無理
はないか? 等々 問題点は枚挙にいとまがない。
 「現在の検査室をどう運営するか。」の議論と同時に医療関係者がこぞっ
てこれらの問題を提起し、日本独自の「患者のため」の医療システムを作り
上げることを願ってやまない。
[ダイアヤトロン 野儀 英宣]
 
=========================≪ JACLaP WIRE ≫=========================
[会員の声-2]◆4大学基準値一覧に思うこと
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 本紙 No. 54 号の付録として4大学基準値一覧をいただいた。我が国を代
表する4大学病院のご協力で作成されたもので,月刊juniorの本年4月号付
録と書かれていたが、今後に有益な資料となることが期待できる。
 ところで、自らは日本臨床病理学会標準委員会SI単位小委員会を担当する
立場でもあるので、内容を拝見して気づいたことを1、2述べたい。
 まず全般的にであるが、以前は施設間で大きく隔たっていた各検査項目の
数値が、数値範囲の広がりに差異はあるものの、かなり近似値になったこと
を知った。各施設での測定機器や測定法の上での違いはあっても多くの施設
が施設間差の解消を学会活動を含む主要課題の一つとして取り上げてきたこ
との結果と理解できた。喜ばしいことである。
 一方、一時的な盛り上がりはあったが、結果として沈静化してしまった測
定値表示単位の問題つまり、単位の国際表記については、今回の資料で対象
範囲は極めて少ない項目数ではあるが、若干は配慮されていると理解できた。
 具体的には、赤血球数は旧来からのxxx/μlの表記が1施設を除き4.27〜
5.7×1012/l、白血球数がすべての施設で3.5〜5.0×109/lとしているこ
とである。しかし、網状赤血球数はすべての施設で(‰)で表記されていて徹
底したSI単位化に至っていない点は残念であった。また、フルクトサミン、
血液ガスのHCO3、BEはmol/lで濃度表記されていたが、フルクトサミンは
外注先の表記に沿ったところが多く、他の項目も装置の関係からといった理
由と見受けられた。結局のところSI単位化についてはいずれの施設も積極的
には反映していなかった。
 ただここで少々気になる表記が一部にあったので、注意を喚起しておきた
い。それは電解質Na、K、Clについて多くの施設では従来からmeq/lと記載
してきたが、SI単位ではmmol/lと表記することになっている。ところが、
今回示された資料ではmM/lと表記している施設があった。おそらく、mol
と書くことの省略としてM表記をしたと理解する。
 質量はmolと表記する以外にMとも表記する場合もあるが、Mには分子
濃度つまり、mol/lの意味もあり、混乱を招くので国際単位系の約束ではM
は不使用を求めている。現在、国際間の承認が検討されている国際規格案
ISO/DIS15193においても「N(規定)やM(モル)は使用せず」を明記し
ている。他人事とはいえ、将来に混乱を残すおそれがあるこのような表記は
是非改めて欲しいと感じた。
[国立健康・栄養研究所 戸谷 誠之 No.158]
 
=========================≪ JACLaP WIRE ≫=========================
[会員の声-3]◆テレパソロジーの運用と診療報酬改定上の問題点
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 わが国の認定病理医数は全国で約2,000人と少ないため、大部分の病理医
は大学病院、あるいは比較的病床数の多い病院に勤務している。このため、
手術中の迅速病理診断を必要としていても、病理医が常勤していないために
不可能という施設が非常に多い。テレパソロジーは顕微鏡像を遠隔地に伝送
して病理診断を行うもので、術中迅速病理診断やコンサルテーションに有効
な手段である。呉共済病院臨床病理科では1993年からISDN (Integrated 
Services Digital Network)とNTT製VM-64を使用した静止画像伝送システ
ムで、テレパソロジーを行ってきた。具体的には、病理医が常勤していない
呉市医師会病院の術中迅速診断を行っているほか、移植腎拒絶反応の病理に
ついてのコンサルテーションに利用している。
 平成12年4月の診療報酬改定で、テレパソロジーによる病理組織迅速顕微
鏡検査を行った場合、診療報酬が請求できるようになった。その条件として
送信側には5年以上の病理検査業務経験がある検査技師が1名以上いること、
受診側(病理診断を行う側)は常勤病理医がいる特定機能病院または特定承
認保険医療機関であることが施設基準として規定されており、事前に地方社
会保険事務局長に届け出た保険医療機関間で行った場合に限り診療報酬(1手
術につき2,100点)が請求できる。ただし、この2,100点という診療報酬は、
送信側つまり術中迅速診断を依頼した施設に対してのみ支払われる。実際は
送信側と受診側の話し合いによって、受診側にも報酬の一部が支払われるよ
うである。
 今回の診療報酬改定では、遠隔病理診断が初めて保険適応になったという
大きな成果があった。しかし、現状では診療報酬に裏づけられたテレパソロ
ジーの運用は極めて限定された施設でしか行えず、受診側の病理診断行為に
対しての報酬も保証されていないという問題点がある。今後は受診側の施設
基準の緩和や、病理診断行為に対する診療報酬の算定などの改善が望まれる。
[呉共済病院臨床病理科 佐々木 なおみ No.513]

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☆JACLaP WIRE No.32 2000年11月30日
☆発行:日本臨床検査医会[情報・出版委員会]
☆編集:JACLaP WIRE編集室〜編集主幹:森三樹雄
☆記事・購読・広告等に関するお問い合わせ先:
 〒343-8555 越谷市南越谷2-1-50
 獨協医科大学越谷病院臨床検査部気付
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☆日本臨床検査医会ホームページ: http://www.jaclap.org/
☆JACLaP WIRE掲載記事の著作権は法律により保護されています。
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