JACLaP WIRE No.26 2000.06.30 



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          JACLaP WIRE No.26 2000年6月30日
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[お知らせ]◆認定医試験受験者の皆さんへ(改訂)

[ニュース]◆各国の健康寿命の順位-その1-寿命の長い国
             〈WHOトピックス Press Jun. 2000 WHO-133〉
[ニュース]◆各国の健康寿命の順位-その2-寿命の短い国
             〈WHOトピックス Press Jun. 2000 WHO-134〉
[ニュース]◆臨床検査医学における系統的再評価プロジェクトの概要発表

[Q&A] ◆EDTA-2KとEDTA-3K

[編集後記]◆検査医とIT革命
 
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[お知らせ]◆認定医試験受験者の皆さんへ(改訂)
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 第17回認定臨床検査医試験が7月28日(金)、29日(土)に大阪医科大学で実施
されます。受験される先生方は、日本臨床検査医会のホームページの目次「臨
床検査医試験を受験される方々へ」
(http://www.jaclap.org/index.html#exam)にある「臨床検査医制度に関す
る質疑応答」(http://www.jaclap.org/directory2000.html#QandA)をご覧下
さい。

 また臨床検査医を目指す人のための「画像を中心としたクイズ形式のセミ
ナー」(http://www.jaclap.org/seminar_ur1.html)がありますので、これも
ぜひ見て下さい。内容は一般検査編(1)(2)(3)(4)、血液形態検査編、臨床
化学編、臨床免疫編、(1)(2)、微生物編(1)(2)、クオリティ・マネジメン
ト編などがあります。その他、実技試験がありますので、是非ご自分の施設で
何回か練習して受験して下さい。

 先生方のご健闘を祈ります。

(記事中の「臨床検査医制度に関する質疑応答」の最新版が出ましたので、
 ホームページのアドレスを改訂して再掲しました)

[2000年6月23日 副会長 森 三樹雄]
 
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[ニュース]◆各国の健康寿命の順位-その1-寿命の長い国
             〈WHOトピックス Press Jun. 2000 WHO-133〉
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 WHOに加盟191か国のうち、健康寿命で日本が74.5歳で第一位と発表された。
健康寿命とは健康障害の期間を調整した寿命(Disability Adjusted Life
Expectancy)により計算されている。日本に次いで、オーストラリア73.2歳、
フランス73.1歳、スウェーデン73.0歳、スペイン72.8歳、イタリア72.7歳、ギ
リシャ72.5歳、スイス72.5歳、モナコ72.4歳、アンドラ72.3歳が10位までの順
である。健康寿命が70歳以上を越えた国は24か国、60歳代の国は191か国の約
半数であった。その他の国ではアメリカが24位で70.0歳、シンガポールは30位
で69.3歳、韓国は51位で65.0歳、中国は81位で62.3歳などであった。アメリカ
人の健康寿命が短い理由はアメリカインディアン、アフリカ系アメリカ人、都
市部の貧困者などの健康状態が極めて悪く、HIV感染による死亡者が他国に比
べ多いためと考えられている。さらに、アメリカはタバコ由来の肺癌や冠状動
脈疾患が多いこと、暴力や殺人事件も多いことなども原因と考えられている。
日本が第一位の理由は、伝統的な低脂肪食により心臓病の罹患率が低いためと
考えられている。

[ホームページ/世界の保健医療ニュース]
 
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[ニュース]◆各国の健康寿命の順位-その2-寿命の短い国
             〈WHOトピックス Press Jun. 2000 WHO-134〉
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 WHOに加盟している191か国のうち、健康寿命でシエラレオネが25.9歳と最も
短かい国と発表された。健康寿命とは健康障害の期間を調整した寿命
(Disability Adjusted Life Expectancy)により計算されている。シエラレオ
ネに次いでニジェール29.1歳、マラウイ29.4歳、ザンビア30.3歳、ボツワナ
32.3歳、ウガンダ32.7歳、ルワンダ32.8歳、ジンバブエ32.9歳、マリ33.1歳、
エチオピア33.5歳が10位までの順となっている。健康寿命が40歳以下の国は32
か国あり、その大半はHIV/AIDSが流行している。赤道下のアフリカ諸国の健康
寿命は10年前と比較すると女性で51.1歳から46.3歳、男性では47.3歳から44.8
歳に下降している。これらの国ではAIDS、マラリア、結核、肺炎、下痢症など
による死亡が増えているのが主な原因と考えられる。

[ホームページ/世界の保健医療ニュース]
 
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[ニュース]◆臨床検査医学における系統的再評価プロジェクトの概要発表
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 臨床検査医学分野におけるEvidence Based Medicineの推進を目指す「国際
臨床病理センター/臨床検査医学における系統的再評価プロジェクト委員会
(International Clinical Pathology Center / Committee on Systematic
Reviewing in Laboratory Medicine; ICPC/C-SRLM)」が計画の概要を発表し
た。

 日本語版[PDF]→http://www.jaclap.org/wire/No_0026doc1.pdf
 英語版[PDF]→http://www.jaclap.org/wire/No_0026doc2.pdf

[PDFファイルの表示にはAcrobat Reader 4.0(http://www.adobe.co.jp/
 参照)以降が必要です]

[2000年6月29日 国際臨床病理センター 河合 忠]
 
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[Q&A] ◆EDTA-2KとEDTA-3K
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(Q)EDTA-2K、EDTA-3Kの採血管がありますが、使い分ける必要のある検査項
目があれば教えて下さい。(岡山県 臨床検査技師)

(A)EDTA-2KとEDTA-3Kの採血管は、主に血球数算定、血小板数算定、白血球
分類(フロー法)、末梢血液塗抹標本など、一般的な血液検査用検体の抗凝固剤
として用いられているのは周知の通りです。さらに特殊検査としてシクロスポ
リン、真菌DNAなどの検査でも使用されています。
 EDTA-2KとEDTA-3Kは化学的性状、分子構造、抗凝固作用の性質などの観点か
ら見て、特に使い分けをする必要はありません。ただし、1%水溶液中におい
てEDTA-2K・2H2OのpHが4.5〜5.0であるのに対し、EDTA-3K・2H2Oでは8.2〜8.7
と大きく異なります。このpHの差は赤血球のサイズに多少影響し、特にミクロ
ヘマトクリット法で差異が生じると言われています[1]。しかし、臨床的に問
題となる程度の影響は認められません。
 また、EDTA-2KとEDTA-3Kの比較検討をおこなった種村らの報告[2]による
と、血球数算定、血小板数算定、白血球分類について相関、経時変化ともに差
異は認められなかったとされています。したがって一般血液検査の抗凝固剤と
してEDTA-2KとEDTA-3Kどちらの採血管を使用しても問題はありません。

【参考文献】
[1] Narayanan S:臨床検査における採血用抗凝固剤の影響、臨床病理、特集
  103:73-80、1996
[2] 種村邦子他:プラスチック製真空採血管「ベノジェクトII」の基礎検
  討、機器と試薬、15(3):441-449、1992

回答日:2000年6月25日
回答者:日本臨床病理学会認定臨床検査医 森 三樹雄(No.45)
    獨協医科大学越谷病院臨床検査部 鳥山 満

[ホームページ/臨床検査ネットQ&A(血液検査)]
 
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[編集後記]◆検査医とIT革命
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 梅雨の季節となりました。マスコミでは、総選挙で民主党躍進、三宅島では
噴火などの話題がでておりましたが、先日京都府職員の研修会である情報産業
会社の社長の方が講演され、現在の超話題は、プレイステーション2とi-モー
ドだということでした。前者はテレビゲームにDVDプレーヤーを搭載し、しか
も低価格であるということで2日間で100万台を売り上げたそうです。一
方、後者は電子メールやネットバンキングができるなど携帯電話という小さな
端末でこれらを可能にしたという、社長のビル・ゲイツもアッと驚かせた代物
です。IT(information technology)革命が世間を席巻し、対費用効果の優れて
いるものが売れ、生き残ってゆく時代。この臨床検査の分野でも、医学的根拠
に基づいたEBLM(evidence-based laboratory medicine)をITを利用して効率的
に行い、臨床検査を再評価しようという動きが河合 忠先生を中心に始まろう
としています。これは検査医と検査医学の将来にも大きく影響する重要な部分
かと思います。検査医のみなさんのご協力で是非このプロジェクトを成功さた
いものです。

[編集委員 藤田 直久]

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JACLaP WIRE No.26 2000年6月30日
■発行:日本臨床検査医会[情報・出版委員会]
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