JACLaP WIRE No.22 2000.04.20 



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          JACLaP WIRE No.22 2000年4月20日
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│本メールは日本臨床検査医会の発行する電子メール新聞です。なるべく等|
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============================≪ 目 次 ≫============================

[お知らせ]◆ようこそ!新入会員紹介
[お知らせ]◆第8回GLM・WS開催のお知らせ
[お知らせ]◆MINCS-UH琉球大学開局記念番組のお知らせ
[お知らせ]◆第9回ウォーターフロントカンファレンス in 浜松のご案内
[お知らせ]◆日本臨床検査自動化学会第14回春季セミナーのご案内
[お知らせ]◆第14回サンプリング研究会のご案内

[ニュース]◆平成11年度日医精度管理調査まとまる
[ニュース]◆日本検査血液学会の設立について

[特別寄稿]◆日本臨床検査医会会長就任に当たって
[特別寄稿]◆RCPCの足跡と今後の展望

[声の広場]◆臨床検査医の資格を得て
[声の広場]◆近況:在宅医療専門クリニック開業

[人事消息]◆伊藤 喜久先生、旭川医科大学の教授に

[編集後記]◆JACLaP NEWS記事のJACLaP WIREへの転載について
 
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[お知らせ]◆ようこそ!新入会員紹介
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 新入会の会員をご紹介します。(入会手続き順、敬称略、本年1月末現在)

 愛知厚生農業協同組合連合会更生病院病理科 早川清順
 熊本大学医学部臨床検査医学講座      安東由喜雄
 香川県立中央病院内科           田坂大象
 横浜市立大学医学部附属病院臨床検査部   満田年宏
 三重大学医学部病理学第二講座       渡辺昌俊
 大分医科大学病理学講座第一        横山繁生
 国立岡山病院臨床検査科          山鳥一郎
 関西労災病院病理科            森野英男
 社会保険横浜中央病院病理部        桂 義久
 三重大学医学部病理学第二講座       白石泰三
 神奈川県がんセンター臨床研究所病理    宮城洋平
 横浜市立大学医学部病理学第二講座     長嶋洋治
 横浜市立大学医学部病理学第二講座     山中正二
 札幌医科大学部附属病院検査部       小林大介
 岐阜市民病院中央検査部          山田鉄也

[2000年2月15日 庶務会計幹事 高木 康]
 
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[お知らせ]◆第8回GLM・WS開催のお知らせ
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 『GLM・WS '2000; Good laboratory management に関するワークショッ
プ』を開催します。期日は平成12年5月20日(土)、21日(日)、自治医大
研修センターで開催されます。このWSでは、わが国における臨床病理・臨床
検査医学に関する現状分析から、適切な教育目標の設定、具体的な教育戦略
そして科学的評価の基本を修得することを研修目標にしています。
 定員を越えた場合は、GLM・WS未参加施設(特に医学部ないしは医科大
学)の責任者の方を優先させていただきます。

[2000年2月15日 GLM・WS '2000チーフプランナー 熊坂 一成]
 
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[お知らせ]◆MINCS-UH琉球大学開局記念番組のお知らせ
      (既に放送されましたが、資料性を考え掲載しました)
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日時:2月29日(火)16:00〜17:00
演題:「南からの発信」〜感染症に対する第一関門として〜抗酸菌検査の大
    いなる進展
演者:山根誠久(琉球大学医学部臨床検査医学)
   URL http://www.hosp.u-ryukyu.ac.jp/labo/index.html

【内容】
 「再興感染症」としての結核症が最近大きな話題となっている。減少すべ
き患者数が逆に増加し、小中学校や医療施設での集団感染が報道され、また
初回治療を開始するにあたって既に結核菌が薬剤に耐性を示すといったこと
が話題性の主因となっている。抗酸菌、特に結核菌に対する対応には、素早
く診断して素早く治療を開始することが特に重要であり、その意味からする
と、我々臨床検査に携わっている者の責任は大きい。1994年、米国 Centers
for Disease Control and Prevention (CDC) は、このような背景から、関
係者へ次のような目標を提示した。
(1) 顕微鏡検査での結核菌の検査報告は24時間以内に行うこと
(2) 結核菌の培養、同定検査の結果は10日〜14日以内に行うこと
(3) 薬剤耐性検査の結果は15日〜30日以内に行うこと
 この3つの目標に向かって、世界中の検査関係者の努力が続いている。わ
が国の結核菌検査もここに来て大きな変革を迎えようとしている。いくつか
の迅速な検査法がわが国でも独自に考案、実用化され、これらの検査技術を
適切に応用することで、世界最速の検査対応も可能となっている。番組で
は、このような著しい技術革新の現状を紹介していく。

(MINCS-UHについての説明はhttp://www.umin.ac.jp/mincs/をご覧下さい)

[2000年2月15日 編集委員 松野 容子]
 
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[お知らせ]◆第9回ウォーターフロントカンファレンス in 浜松のご案内
      (既に開催されましたが、資料性を考え掲載しました)
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日 時:3月3日(金)14:00〜4日(土)12:00
場 所:YAMAHA Resort つま恋
テーマ:Laboratory Automation
20世紀までの軌跡と21世紀への跳躍
主催者:菅野剛史(浜松医科大学臨床検査医学)
事務局:TEL:053−435−2787 FAX:053−435−2794
URLhttp://hawk.hama-med.ac.jp/labo/gakkai/wfc9.html

[2000年2月15日 浜松医科大学臨床検査医学 菅野 剛史]
 
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[お知らせ]◆日本臨床検査自動化学会第14回春季セミナーのご案内
       (既に開催されましたが、資料性を考え掲載しました)
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日 時:4月15日(土)9:00〜17:00
場 所:獨協医科大学(臨床研究棟10F講堂)
例会長:家入蒼生夫(獨協医科大学臨床検査医学)
事務局:同講座内
TEL:0282−87−2139 FAX:0282−86−6212

[2000年2月15日 獨協医科大学臨床検査医学 家入 蒼生夫]
 
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[お知らせ]◆第14回サンプリング研究会のご案内
      (既に開催されましたが、資料性を考え掲載しました)
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日 時:4月15日(土)10:00〜
場 所:順天堂大学 有山記念館
実行委員長:村井哲夫(聖路加国際病院臨床病理科)
事務局:TEL:03−5413−8239 FAX:03−5413−8144

[2000年2月15日 聖路加国際病院臨床病理科 村井 哲夫]
 
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[お知らせ]◆JCCLS通信会員(個人会員)の募集
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 日本臨床検査標準協議会 (JCCLS: Japanese Committee for Clinical
Laboratory Standards) は1985年に産・官・学の三者(厚生省薬務局、健康
政策局、大臣官房、国立予防衛生研究所、14学会、8協議団体)が加盟して
発足致しました。
 本協議会の目的は、日本における臨床検査の向上、発展を目指して臨床検
査の標準設定のための協議・検討ならびに提案を行うことにあり、日本国内
だけではなく、NCCLS(米国臨床検査標準協議会)やISO(国際標準化機構)
とも緊密な連携を取りながらわが国の意見を国際標準に反映させるよう、臨
床検査の標準化活動を続けております。
 本協議会には正会員(産・官・学)、維持会員(企業団体)に加えて、本
会の活動に関心を持つ方を通信会員として個人の資格での加入も認めており
ます。通信会員の年会費は5,000円ですが、会員にはJCCLS会誌(年4回刊
行)をお送りするほか、国内外の各種催しもののご案内を致します。また、
通信会員の方にはNCCLSが刊行している、様々な標準化に関するDocument
も、本会を通じてほぼ半額で購入頂けるよう便宜をはかっております。現在
はごく少数の方のみが通信会員として入会されているに過ぎませんが、臨床
検査の標準化に関心をお持ちの皆様には是非ご加入を頂きたくお誘い致しま
す。
 入会申込書はJCCLS会誌にとじ込みが行われておりますほか、臨床検査関
連の各種学会に際しても展示場その他で入手可能です。また、直接JCCLS事
務局へFAXやE-mailで入会申込書をご請求頂いても結構です。
 入会を希望される方は、日本臨床検査標準協議会事務所までご連絡下さ
い。

 〒103−0008東京都中央区日本橋中洲1−1
 日本橋和崎ビル5階
 日本臨床検査標準協議会
 TEL/FAX:03−3669−9110
 E-mail:jccls@mx1.alpha-web.ne.jp

[2000年2月15日 JCCLS会長 河野 均也]
 
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[ニュース]◆平成11年度日医精度管理調査まとまる
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 第33回調査は、全国から2,522施設の参加があり、その結果内容がまと
まった。来る3月3日に例年のとおり改善検討会が開催され、数百名の参加が
見込まれている[会場の都合で限定]。調査項目は昨年と同様47項目で、血
清化学検査、免疫化学検査、血液学検査(血算、凝固)、細菌検査(同定、
感受性)を含む。今年度から同一マトリックスで濃度の異なる3種類の調査
試料を血清化学検査の一部と免疫化学検査に取り入れて、3つの検査結果の
直線性を検討することができたので、将来、評価評点の新しいパラメータに
なり得るであろう。
 今年度、初めて血球数算定でメーカー別、機種別に評価を始め、機種間差
が顕在化した。これで測定法の国際的標準化が進んでいないHDL-コレステ
ロール(沈殿操作を行わない方法)、HbA1c、腫瘍マーカー、ホルモン、
IgM、Hgb、血球数、血液凝固検査についてはメーカー別、機種別の評価評点
が採用された。
 外部精度管理調査でもっとも問題となるのは、調査試料のマトリックス効
果 (matrix effects) である。新鮮な患者検体との間に測定値に食い違いが
見られる現象である。すべての測定法、測定装置で認められるような調査試
料は欠陥品といえるが、ある測定項目について、ある測定原理またはある測
定キットや測定機器で認められ、しかも事前に予測がつかない場合が多いの
で厄介である。完璧な調査試料の作製は極めて困難なので、不公平な評価が
なされないように苦心する。
 調査票の誤記入が相変わらずなくならない。検査をプロとして職業にして
いる人たちを対象に行っているのであるから、調査票への誤記入は許されな
い。誤記入をした施設だけが不利になるのではなく、評価のためのコン
ピュータ処理の上で、他の真面目な参加施設に多大な迷惑をかけるのである
から“重大な罪”である。これに対しては、総合点から減点すべきとの意見
が高まっているので、対応を真剣に検討している。グローバルハーモナイ
ゼーションが進む中で、21世紀に向けた外部精度管理調査(外部精度アセス
メント、EQA)の体系化を真剣に検討中である。

[2000年2月15日 国際臨床病理センター 河合 忠]
 
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[ニュース]◆日本検査血液学会の設立について
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 去る平成12年3月25日に慶應義塾大学医学部北里講堂にて、日本検査血液
学会設立のための評議員会および記念講演会が開催された。本学会は、日本
臨床病理学会血液専門部会と日本臨床衛生検査技師会血液班を母体とし、日
本血液学会・日本臨床血液学会・日本血栓止血学会の協力のもとに発足し、
当日は約150名の参加者により、学会設立が承認された。
 本学会は「血液検査について語り学ぼう」というキャッチフレーズで、医
師や技師や企業の血液検査に関わる人たちが一体となり、血液学的検査の実
践・研究・教育について、学術集会・学会誌や図書の発行・講習会を通じて
情報交換し、社会に情報を発信していきたい、と呼びかけている。
 活動目標は「検査血液学の向上」であり、臨床上の研究課題としては
(1)血液疾患診断法の研究(2)血栓止血異常の診断法など、血液検査学的
研究課題としては(1)血液検査の標準化(形態学・フローサイトメト
リー・自動機器など)(2)新しい検査法の開発(3)検査診断システムの確
立など、教育活動としては(1)検査指針に関する啓蒙活動(2)血液認定検
査技師制度の推進(3)学術集会・講演会などの開催や会誌発行などを、関
連学会との研究協力体制を構築しながら推進していくことを掲げている。
 初代理事長は、慶應義塾大学の渡邊清明教授、副理事長には大阪市立大学
巽典之教授と鈴木節子氏、総務担当理事には東京大学中原一彦教授が選任さ
れ、常務理事として学会の運営にあたる。全国レベルの活動の円滑化のため
各地域から理事が選出され、また、他学会との協力体制や産学共同の立場か
ら、他の関連学会や産業会から理事を選出している。評議員は全国レベルか
ら、医師約130名、技師約110名が選出された。事業活動の円滑のため各種常
置委員会の設置が承認された。
 第一回学術集会と総会は、来る7月22、23日の両日、東京大学構内で中原
一彦大会長のもとで開催することとなった。抄録締め切りは5月20日であ
る。
 学会事務局は、下記に設置した。

 〒160-0016 東京都新宿区信濃町35
 信濃町煉瓦館(財)国際医学情報センター内 日本検査血液学会
 TEL/FAX : 03-3350-9053
 e-mail : ISLH@imic.or.jp

 (PDF版の入会案内→http://www.jaclap.org/wire/No_0022Fig1.pdf)

[2000年4月17日 日本検査血液学会庶務幹事 川合 陽子]
 
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[特別寄稿]◆日本臨床検査医会会長就任に当たって
                  日本臨床検査医会会長 河野 均也
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 西暦2000年もどうやら平穏のうちに明けました。あれほど大騒ぎをしたコ
ンピュータの2000年問題も大山鳴動して鼠一匹、コンピュータなしには手足
をもがれたも同然の検査部にとってはほっと胸をなで下ろしたといったとこ
ろでしょうか。しかし、1月も下旬になりますと、いくつかの官庁のホーム
ページにハッカーが忍び込み、目茶苦茶にしてしまったことは、我々に便利
なものには大きな落とし穴のあることを改めて思い知らされた事件だったよ
うに思います。
 私は、昨年度までの日本臨床検査医会の監事から、還暦を過ぎて会長役へ
の返り咲きを命ぜられ、まさに晴天の霹靂、よもやこんなことにはなるはず
がないと考えておりましたので、舵取り役として何をすべきか思い悩んでお
ります。会員各位のご協力とご支援を得て、これから2年間の会務を無事務
めさせていただきたいと思っております。
 臨床検査医の職域であります臨床検査部の運営に暗雲が垂れ込めはじめて
かなりの月日が経過致しましたが、ここ1,2年の動きは本当に危機感をひし
ひしと感じさせるものばかりでした。リストラ、ブランチ化、FMS化、DRG/
PPS、いずれも胸に痛みを感じさせずにはいられない響きを叩き込んでくれ
ました。しかし、これらの難局を乗り越えるための知識の集積と、活動こそ
臨床検査医に課せられた任務なのではないでしょうか。見方をかえれば、今
こそ臨床検査医、およびそのギルド集団としての日本臨床検査医会の活躍す
る場が与えられたとも考えられると思います。ここ1,2年が我々の生死を賭
けた正念場になるものと考えています。
 あんな苦しい時もあったと、笑って話し合える日が来るよう、会員各位の
これまで以上のご活躍とご協力を願っております。
 
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[特別寄稿]◆RCPCの足跡と今後の展望
                   国際臨床病理センター 河合 忠
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 そもそもRCPCとは、Reversed Clinico-Pathological Conferenceの略称で
ある。すなわち、CPCを“裏返しにした”または“逆にした”ものと言うこ
とになる。一説には、Reverse CPCとの意見もある。どちらも文法的には間
違っていないし、普通の英会話の中ではなかなか両者を聞き分け難いことも
あって、われわれの仲間で相談しReversed CPCに落ち着いた。われわれ仲間
とは、米国臨床病理専門医の資格を取得して1962年にほぼ同じ頃に米国留学
から帰国した米山達男先生(放医研勤務)、竹田節先生(横浜市大病院勤
務)と筆者(国鉄中央鉄道病院勤務)の3名である。3名とも米国でのレジ
デント教育課程でRCPCを経験していたので、日本でもやってみようというこ
とになった。当時日本大学医学部病理学竹内 正教授と同大臨床病理学土屋
俊夫教授とご相談し、日本臨床病理学会関東支部例会で公開する運びとなっ
た。第3回関東支部例会(1965.1.23)での第1回RCPCを皮切りに連続して2
年間で4回のRCPCを行った。その後、米山、竹田両先生は米国に永住するこ
とになり、同じような形式の公開RCPCは中断された。1966年秋に筆者が日本
大学医学部臨床病理学教室に赴任し、1967年度から臨床病理学の講義と実習
のカリキュラムに組入れ、今日まで続けられている。また、1964年から2年
間、非常勤講師として順天堂大学医学部臨床病理学教室でお世話になった関
係で順天堂大学の学生講義・実習にも採用された。日本大学での学生実習で
行ったRCPCの記録を日本医事新報ジュニア版に毎号掲載し始めたのは1970年
10号からで、その後順天堂大学、隣接する東京医科歯科大学、そして筆者が
赴任した新設の自治医科大学でも同様な学生実習の記録を交代でジュニア版
に掲載するようになり、今日まで継続している。また、他の医科大学でも学
生教育に広く採用され、さらにさまざまな学術集会でも行われるようにな
り、今日に至っている。
 RCPCでは、予め患者の年齢、性と必要に応じて入退院月日を添えて、患者
の臨床検査成績一覧を提示し、臨床検査データのみで、できるだけ深く病態
や病名の可能性を推定し、その討論の結果をその患者の剖検所見とを比較す
る。通常のCPCが病歴、診察所見ならびに検査所見を提示し、総合的に病態
と病名の可能性について討論し、剖検所見とつき合わせるのとは明らかに患
者データの提示の仕方が異なる。RCPCをそのまま実際の診療の場に導入する
ことは邪道である。本来、臨床診断は問診、診察、検査を通して得られる医
学情報を総合的に判断するプロセスである。ただ、20世紀後半になって臨床
検査情報が急激に増加したために、それらの検査データを最大限に病態/病
名の診断に役立てるための思考過程を学ぶ一つの学習方法である。RCPCは決
して病名当てのゲームではなく、剖検所見とつき合わせて検査の有用性と限
界を知るためのものである。剖検所見は参考である。なぜなら剖検所見はあ
くまでも死亡直前の状態を反映するもので、途中の検査結果を反映している
とは限らないし、形態の変化が明確でない疾患も少なくないからである。剖
検所見の報告者の中には、剖検所見が絶対的であるかのごとき錯覚をもち、
臨床医や臨床検査医などとの思考過程の議論に加わろうとしないのは誤りで
ある。
 RCPCの進め方には、討論形式と講義形式とがあり、それぞれの目的に違い
がある。前者は、通常数名の学生グループの中に1人(または少数)の講師
が個々の検査結果からどのような病態が考えられるか、講師と学生の間で議
論を進めるやり方である。このときに大切なのは、測定上考えておかなけれ
ばならないピットフォールについても議論することである。たとえば、検査
前の患者の準備、検体採取方法、検体保存/運搬方法、分析行程、精度管理
などがある。次に全体の検査データの相互関係を議論して患者一個体として
の病態を総合的に考えることを学習する。医学生や医療関係職員に対して
は、簡単な基本的検査を中心に議論を進めることが大切である。いたずらに
新しい先端的な検査を多く加えることは避けたい。それらの検査は、通常、
特異的なものが多く、その検査結果が陽性になればある特定の病態/病名が
決まる。そうした検査については、臓器系統別に学習する方が効率的な学習
ができるであろう。RCPCでは、主として初期診療で使われるスクリーニング
検査からいかに深く病態の可能性を考えるか、その思考過程を教育し、学習
すべきである。
 RCPCを講義形式で行うのは、通常大教室での座学か学会などでである。聴
講者との対話がほとんどないので、一方通行的なプレゼンテーションにな
る。したがって、講師はそれぞれの検査データについて説明し、次に臓器系
統別にまとめて説明し、最後に患者一個体として総合的に判断するプロセス
を図示しながら講義を進める必要がある。この場合も、初期診療で使われる
スクリーニング検査を中心にし、特異的な検査は極力最後のまとめの中で取
り上げるのが良い。こうしたプレゼンテーションは医学生、医療関係職員は
もとより、一般医家にとっても極めて有用な学習方法である。こうしたRCPC
が臨床病理学/臨床検査医学の学生講義に試みられたのは日本大学と順天堂
大学の臨床病理学講座に端を発している。また、多くの地域医師会でも、時
には連続して開催されるようになり、全国的に広まり、1987年には日本医師
会の生涯教育シリーズの中にRCPCが登場した。日本臨床病理学会としては、
関東支部がはじめて取り上げたのが1965年であったが、1988年には中国四国
支部例会でも行われるようになり、他の支部へも拡がった。また、月刊誌
「臨床検査」と「medical technology」などにも1970年後半から連載される
ようになり、最近では日本臨床衛生検査技師会の「医学検査」にも掲載され
ている。日本臨床検査医会雑誌にも1980年代後半から連載された。日本臨床
病理学会総会ではじめてRCPCが正式にプログラムに組み込まれたのは1996年
の浜松市で開催された第43回総会ではなかったかと思う。その後も1、2題は
毎年採用されるようになり、1998年の高知市で開催された第45回総会では、
一挙に7つのRCPCが採用された。もちろん、学会で行われる講義形式のRCPC
では最後に討論はあるが、どうしても稀な症例が提示される傾向があり、検
査データの総合的解釈の仕方に加えて、特殊な症例の病態を学習するのに役
立っている。
 現在、臨床検査医に求められている役割の一つに、より臨床の現場に密着
した医療活動があるが、それを強力に支える学習方法としてもRCPCは不可欠
なものになっている。こうして得られた学習の成果をそれぞれの臨床検査医
は、単に教育の現場だけではなく、臨床診療の現場に活かしていくことが重
要ではなかろうか。
 
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[声の広場]◆臨床検査医の資格を得て
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 「先生、合格しましたよ。とくに合否ラインすれすれというわけではな
かったですよ」、8月8日の検査医認定試験終了後、慶応義塾大学の渡辺教授
から知らされました。なんと、大学の入試以来25年ぶりの試験らしい試験を
受けました。それなりに勉強して受けたのですが、私のできの悪さにあきれ
つつも、そっと胸にしまったままでいてくださる試験委員の先生も多いので
はないかと心配しております。なにはともあれ、堂々と「私は認定検査医」
と公言することを許されたわけです。
 私が京都大学検査部の責任者になって約2年が過ぎようとしています。検
査部の管理、運営、人事などで必要なことを強い意思をもって行ってきまし
た。ようやく軌道に乗りはじめてきたかなという手応えを感じています。さ
らに、臨床病態検査学講座の研究・教育・診療についてもあるべき姿を模索
しています。検査部のサービス業務と講座の研究・教育・診療の両者を完璧
に実行していく姿を、自ら創り出していかなければなりません。
 われわれ検査医学にかかわるものにとって、現在の社会状況は決して明る
いものではありません。病院での検査部の存在が危ぶまれておりますし、大
学においても検査医学講座が他の内科系の講座に置き換わろうという動きさ
え見られます。なぜそのように軽く扱われるようになってしまったのでしょ
うか。検査技師はもとより、検査部あるいは検査医学講座の責任のある立場
の医師は考えてみる必要があります。
 診療科に十分満足していただけるサービスを提供してきたでしょうか。内
科や基礎系の講座に肩を並べる、国際誌に掲載されるような研究を行ってき
たでしょうか。もちろん研究テーマは検査医学にかかわるものであって、イ
ンパクトファクターのことを言っているのではありません。医学生に検査医
学の魅力を真剣に伝えてきたでしょうか。そして、内科医が行っている診療
行為ではなく、検査医ならではの独自性を持った診療行為を行ってきたで
しょうか。
 検査部と病態検査学講座の責任者である私のエネルギーを、すべてこのこ
とに注ぎ込むつもりでいます。検査医学の力強い復活を願っています。

[2000年2月15日 京都大学臨床病態検査学 一山 智]
 
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[声の広場]◆近況:在宅医療専門クリニック開業
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 今年4月からいよいよ介護保険が始まります。介護保険導入を契機に、今
後本邦の医療は激変するものと予想されます。
 さて、私事ですが、激動の医療改革の中、昨年9月、在宅医療専門のクリ
ニックを開業しました。現在在宅患者25名で、患者さんも寝たきりの高齢者
の他、中心静脈栄養をしている末期胃癌の患者さん(告知済み、在宅死を希
望)、インターフェロン療法をしている多発性骨髄腫の患者さん、33歳の
ALSの患者さん、大学病院から紹介の間質性肺炎(O2 7Lの在宅酸素療法を施
行)の患者さんなど、対象疾患も盛沢山で、忙しく楽しい毎日を送っていま
す。
 クリニックの方が忙しくなってきたため、今回で JaCLAP NEWS の編集委
員はやめさせていただきますが、臨床病理学会や臨床検査医会に引き続き在
籍しますし、検査関係の仕事は間接的ながら続けていこうと考えていますの
で、今後とも宜しくお願い申し上げます。

[2000年2月15日 ナカノ在宅医療クリニック 中野 一司]
 
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[人事消息]◆伊藤 喜久先生、旭川医科大学の教授に
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4月16日付
 伊藤 喜久 旭川医科大学臨床検査医学講座 教授
 
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[編集後記]◆JACLaP NEWS記事のJACLaP WIREへの転載について
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 前号で情報・出版委員長からお知らせしました通り、JACLaP NEWS記事の
JACLaP WIREへ転載を今号より開始いたします。転載に当たっては、予め著
者の了解を得たうえ、委員会内部で記事内容を確認することになっています
が、今回掲載したJACLaP NEWS 51号については、やむを得ず事後承諾になる
ことをご了解いただければ幸いです。
 また、51号は本年2月発刊のため、既に古くなってしまった記事もありま
すが、資料性を考えてすべて収録いたしましたので、「開催される」を「開
催された」などと読み替えをお願いいたします。
 なお、これと時期を同じくして、JACLaP WIREのバックナンバーが、ホー
ムページの「日本臨床検査医会のご案内」の刊行物の欄に掲載されるように
なりました。したがって、今後はJACLaP NEWSおよびJACLaP WIREの殆どの記
事を遡ってご覧いただけることになりますので、是非有効にご活用いただけ
れば幸いです。

[編集担当 西堀 眞弘]

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JACLaP WIRE No.22 2000年4月20日
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