JACLaP WIRE No.20 2000.03.15 



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          JACLaP WIRE No.20 2000年3月15日
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│本メールは日本臨床検査医会の発行する電子メール新聞です。なるべく等|
|幅フォントでご覧下さい。電子メールアドレスをお持ちでない会員が近く|
│におられましたら、お手数ですが回覧をお願いします。プリントアウトす|
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│らせください。                          |
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============================≪ 目 次 ≫============================

[お知らせ]◆要覧の改訂に必要となる住所変更届けについて
[お知らせ]◆第6回アジア臨床病理学会のシンポジウムのお知らせ
[お知らせ]◆春季大会のお知らせ(訂正)

[ニュース]◆第38回教育研修セミナーが日本大学で開催

[新規収載]◆心筋トロポニンI精密測定
[新規収載]◆HBe抗原精密測定
[新規収載]◆HBe抗体価精密測定
[新規収載]◆IgM-HBc抗体価精密測定
[新規収載]◆抗ガラクトース欠損IgG抗体精密測定

[Q&A] ◆コレステロール関連検査の統計
[Q&A] ◆遠隔地への検体搬送に関する規制
[Q&A] ◆トレッドミル運動負荷試験の事故統計
[Q&A] ◆心エコーのTei index

[編集後記]◆検体検査管理加算(I)
 
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[お知らせ]◆要覧の改訂に必要となる住所変更届けについて
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 要覧を改訂に当たり、ご所属や住所が変わられた、あるいはこれから変わら
れることが決まっている方は、検査医会の事務局(メールアドレス:
ytakagi@med.showa-u.ac.jp)までお知らせ下さい。毎回名簿情報の確認が事
務局の大きな負担となっておりますので、会員各位のご協力をよろしくお願い
いたします。

[2000年3月10日 副会長 森 三樹雄]
 
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[お知らせ]◆第6回アジア臨床病理学会のシンポジウムのお知らせ
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 第6回アジア臨床病理学会のシンポジウムA〜Fまでの6演題の日本からの
司会者、演者、テーマの案が下記のように決まりました。また抄録の締切りが
6月30日に変更になりましたので、併せてお知らせいたします。

Symposium A
Jun OKADA, M.D. (Modulator)
Title:“Epidemiological Study of Methicilline Resistant
Staphylococcus aureus”
Katsuhiko MACHIDA, M.D. (Speaker)

Symposium B
Kiyoaki WATANABE, M.D. (Modulator)
Title:メQuantification of Cell Surface Molecule Density by Flow
Cytometry”
Kazuhiko NAKAHARA M.D., Ph.D. (Speaker)

Symposium C
Mikio MORI, M.D. (Modulator)
Title:“Point of Care Testing of Cardiac Markers”
Yasushi TAKAGI, M.D. (Speaker)

Symposium D
Yoshihisa ITOH, M.D. Ph.D. (Modulator)
Title:“Molecular Diagnosis in Laboratories : Prospective Roles and
Problems in Japan”
Youko MATSUNO M.D., Ph.D. (Speaker)

Symposium E
Noriyuki TATSUMI,M.D. (Modulator)
Title:“GMP of Blood Product Preparation”
Motofumi OKADA, Ph.D. (Speaker)

Symposium F
Hiroaki OKABE, M.D. (Modulator)
Title:“Atherogenic Lipoproteins and Diabetes Mellitus”
Gen YOSHINO, M.D. (Speaker)

[2000年2月25日 獨協医大 森 三樹雄]
 
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[お知らせ]◆春季大会のお知らせ(訂正)
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 前号でお知らせした第10回日本臨床検査医会春季大会のプログラムに一部
訂正がありましたので、改めてお届けいたします。大勢のご参加をお待ちして
います。

期日:平成12年4月21日(金)、22日(土)
会場:札幌医科大学講堂
   〒060-8543 札幌市中央区南1条西16丁目
   TEL: 011-611-2111

4月21日(金)
 17:00〜17:10 開会の辞 大場康寛(近畿大学)

 17:10〜18:00 第10回日本臨床検査医会春季大会 特別講演
              司会 吉田 浩(福島県立医大)
              演者 河野均也(日本大学)
              演題 ―21世紀に向けての意識改革―

 18:30〜20:30 懇親会
             於:サッポロビール園
              〒065-0007
              札幌市東区北7条東9丁目2番10号
              TEL:011-742-0505

4月22日(土)
  9:10〜12:00 I シンポジウム ―臨床検査最近の進歩―
              司会 櫻林郁之介(自治医大)
                 吉村 學 (京都府立医大)
  9:10〜 9:35  血液学    渡辺清明(慶応大学)
  9:35〜10:00  臨床化学   清水 章(大阪医大)
 10:00〜10:25  免疫学    小林 功(群馬大学)
 10:25〜10:50  微生物学   猪狩 淳(順天堂大学)
 10:50〜11:15  遺伝子診断学 神辺眞之(広島大学)
 11:15〜12:00  総合討論

 12:00〜13:00 昼食及び日本臨床検査医会常任・全国幹事会

 13:00〜15:00 II 特別講演 ―私のライフワーク―
 13:00〜13:40  司会 中原一彦(東京大学)
              演者 丸山征郎(鹿児島大学)
 13:40:14:20  司会 佐々木毅(東北大学)
              演者 巽 典之(大阪市大)
 14:20〜15:00  司会 菅野剛史(浜松医大)
              演者 網野信行(大阪大学)

 15:00〜15:15 休憩(コーヒーブレイク)

 15:15〜16:50 III パネルディスカッション
               ―21世紀に向けて臨床検査医学に
                   今何が求められているのか―
              司会 濱崎直孝(九州大学)
              パネリスト 清島 満(岐阜大学)
                    高橋伯夫(関西医大)
                    日野田裕治(山口大学)
                    保嶋 実(弘前大学)

 17:00〜17:10 閉会の辞 森三樹雄(獨協医大)

[2000年2月24日 大会長 渡邊直樹(札幌医大)]
 
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[ニュース]◆第38回教育研修セミナーが日本大学で開催
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 2000年3月5日、板橋にある日本大学医学部実習室において、第38回教育研修
セミナーが河野教授、熊坂助教授を始め臨床病理学の教室員のお世話により開
催された。受講者は21名(この内1名欠席)であった。午前中は輪血検査、特
にABO式血液型とRh式血液型の手技と判定を中心に行った。正午よりラン
チョンセミナーとして、三重大学医学部病理学の白石泰三教授より「前立腺癌
の病理と臨床検査」、次いで東京女子医大中検の藤井寿一助教授より「溶血性
貪血の臨床検査」についての講演があった。
 午後からは、実際の標本を鏡検する「骨髄像・血液像の読み方」、次いで
「免疫電気泳動像の読み方」を実習し、5時に終了した。なお、次回の第39回
教育研修セミナーは3月19日に大阪市立大学で実施される。
 

[2000年3月5日 副会長 森 三樹雄]
 
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[新規収載]◆心筋トロポニンI精密測定
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心筋トロポニンI精密測定(準用先区分D007-48)(区分D-1)
平成12年3月1日より適用の血液化学検査
保険点数:340点 定量検査
基準範囲:0.6 ng/mL未満
直線性:0.5〜150 ng/mL
製品名:オープス トロポニンI
製造元:Dade Behring Inc. Newark, DE 19714 USA
輸入発売元:デイド ベーリング(株) Tel 03-5365-8200
測定法:FIA法 50テスト/キット(シングル測定)
結果がでるまでの時間:約20分  自動化:可
同時再現性:15%以下 日差再現性:2.7〜7.7%
検体:血清
【特徴】 本法は、EIA法を応用した蛍光イムノアッセイ(FIA)により、血清中
の心筋トロポニンI(cTnI)の濃度を測定するものである。なお、測定は専用免
疫測定装置「オープスアナライザ」で自動的に行われる。
 トロポニンは心筋構造蛋白のひとつであり、トロポニンI(TnI)とトロポニン
T(TnT)の2種類がある。TnTは急性心筋梗塞(AMI)の診断マーカーとして、既に
保険収載されている(平成5年)。今回、FIA法という感度、特異性に優れたTnI
の測定法が開発された。TnIの臨床的意義は、TnTと同様に急性心筋梗塞の診断
と不安定狭心症患者の予後判定の有用性が示唆されている。
 TnIおよびTnTは、他の心筋梗塞のマーカーと比較するとAMIの場合、早期診
断の他、異常値が長く続き基準範囲に戻るのに数日かかることから、AMI発症
から時間を経過した症例でも診断が可能である。AMIにおける有病正診率、無
病正診率、診断効率についてTnIとTnTを比較検討したところ、それぞれ74%/
56%、96%/82%、86.8%/70.9%とTnIが有意に高かった。またAMI早期診断
の可能性についてTnIとTnTの有病正診率はそれぞれ、発症3時間以内では41 %
/18%、発症後3〜6時間では86%/62%、発症後6時間以上では97%/89%と
TnIが良好であった。また無病正診率について、TnIとTnTを比較してみると、
非AMI患者ではそれぞれ4%/18%、腎障害患者では1.5%/46.3%とTnIが良好
であった。Galvaniらの報告によれば、不安定狭心症患者91例についてTnI 値
を測定し、陽性群と正常群に分けて検討したところ、陽性群では予後が悪く、
重篤な不安定狭心症患者の予後判定に有用としている。AMI患者群においてTnI
とTnTとの相関をみると、相関係数r=0.87と良好な相関を示した。本キット
は専用の免疫測定装置により約20分間で迅速測定が可能である。
【保険請求上の注意】 ただし、本検査と同区分「48」の心筋トロポニンT精
密測定を同一月に併せて実施した場合は主たるもののみ算定する。
【文献】 安部 智他:心筋トロポニンI迅速測定による急性心筋梗塞の診断精
度、循環器科、41:509−517、1997

[獨協医大越谷病院 森三樹雄]
 
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[新規収載]◆HBe抗原精密測定
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HBe抗原精密測定(準用先区分D013-6)(区分D-2)
平成12年3月1日より適用の肝炎ウイルス関連検査(1)
保険点数:180点
基準範囲: 陽性:カットオフインデックス(COI) 1.0以上
製品名:エクルーシス」 HBeAg
製造元:Roche Diagnostics GmbH,Mannheim,Germany
輸入・発売元:ロシュ・ダイアグノスティックス(株)  Tel 03-5443-7041
測定法:ECLIA法 100テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:18分  自動化:可
検体:血清
【特徴】 ストレプトアビジンコーティング磁性マイクロパーティクルと2種
のモノクローナル抗体(ビオチン化抗体及びルテニウム標識抗体)との、ストレ
プトアビジン−ビオチン系を用いたサンドイッチ法と、電気化学的な発光反応
による電気化学発光免疫測定法により測定する。
 HBe抗原はB型肝炎罹患が疑われる患者またはB型肝炎治療中の患者におい
て、HBVが活動期であるか否かを知る重要な指標であり、HBVの感染力及び的確
な治療を進める上での指標のひとつである。また、キャリアにおける持続性感
染の経過観察の指標にもなる。HBe抗原を測定することでHBV感染力を的確に把
握できるため、B型肝炎患者の適切な治療に有用であり、専用の電気化学発光
免疫測定装置エクルーシスシステムを用いて患者血清中のHBe抗原を精密に測
定するECLIA試薬で、既存の試薬と同様の性能を有する。本キット及び既存の
EIA法のキットであるエンチムンテスト HBeAg + Anti-HBeの測定結果は、100
%の一致率を示し、良好な相関性が認められた。
【保険請求上の注意】 特になし
【文献】 小林 良乃、他:全自動電気化学発光免疫測定装置「エクルーシス
2010」によるB型肝炎マーカーの測定.医学と薬学、42:749〜755、1999

[獨協医大越谷病院 森三樹雄]
 
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[新規収載]◆HBe抗体価精密測定
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HBe抗体価精密測定(準用先区分D013-6)(区分D-2)
平成12年3月1日より適用の肝炎ウイルス関連検査(2)
保険点数:180点
製品名:エクルーシス」 Anti-HBe
基準範囲: 陽性:カットオフインデックス:COI 1.0以上
製造元:Roche Diagnostics GmbH,Mannheim,Germany
輸入・発売元:ロシュ・ダイアグノスティックス(株) Tel 03-5443-7041
測定法:ECLIA法 100テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:18分  自動化:可
検体:血清
【特徴】 ストレプトアビジンコーティング磁性マイクロパーティクルと、
HBe抗原・2種のモノクローナル抗体(ビオチン化抗体、ルテニウム標識抗体)
の、ストレプトアビジン−ビオチン系を用いた競合法と、電気化学的な発光反
応による電気化学発光免疫測定法により測定する。
 B型肝炎のマーカーの一つであるHBe抗体は、HBVのコア部分の内部を構成す
るポリペプチドであるe抗原に対する抗体であり、HBV感染後のセロコンバー
ジョン期より産生されるが、HBe抗体陽性の場合、HBVの感染力が弱く、非活動
的である。HBe抗体が陽性の場合、血中にHBVが存在しないか、存在してもごく
わずかであり感染性が低いことを示しており、陽性例のほとんどは肝炎が鎮静
化し、非活動的である。
 本試薬は患者の血清中のHBe抗体を測定することによりHBV保有者の感染力の
有無を判定できるため、HBV感染の的確な治療に有用であり、専用の電気化学
発光免疫測定装置エクルーシスシステムを用いて患者血清中のHBe抗体を測定
するECLIA試薬で、既存の試薬と同様の性能を有する。本キット及び既存のEIA
法のキットであるエンチムンテスト HBeAg+Anti-HBeの測定結果は、100%の一
致率を示し、良好な相関性が認められた。
【保険請求上の注意】 特になし
【文献】 小林 良乃、他:全自動電気化学発光免疫測定装置「エクルーシス
2010」によるB型肝炎マーカーの測定.医学と薬学、42:749〜755、1999

[獨協医大越谷病院 森三樹雄]
 
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[新規収載]◆IgM-HBc抗体価精密測定
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IgM-HBc抗体価精密測定(準用先区分D013-10)(区分D-2)
平成12年3月1日より適用の肝炎ウイルス関連検査(3)
保険点数:250点
製品名:エクルーシス」 Anti-HBc IgM
基準範囲: 陽性:カットオフインデックス:COI 1.0以上
製造元:Roche Diagnostics GmbH,Mannheim,Germany
輸入・発売元:ロシュ・ダイアグノスティックス(株)  Tel 03-5443-7041
測定法:ECLIA法 100テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:18分  自動化:可
検体:血清または血漿 (EDTA、ヘパリン)
【特徴】 ストレプトアビジンコーティング磁性マイクロパーティクルと、ビ
オチン化抗体及びルテニウム標識抗原とのストレプトアビジン−ビオチン系を
用いた競合法と、電気化学的な発光反応による電気化学発光免疫測定法により
測定する。
 B型肝炎のマーカーの一つであるIgM−HBc抗体は、HBVのコア部分に対する感
染抗体で感染初期より産生され、B型急性肝炎感染後の患者の血中に数ヶ月間
認められるので、B型肝炎罹患診断の指標に用いられる。また、慢性肝炎の急
性増悪時にも高値を示すので、治療の予後観察の指標ともなる。
 本試薬はIgM−HBc抗体抗体価を精密に測定するため、B型肝炎の早期発見と
的確な病態把握による早期治療ならびに的確な経過観察に有用であり、専用の
電気化学発光免疫測定装置エクルーシスシステムを用いて患者血清または血漿
中のIgM−HBc抗体を測定するECLIA試薬で、既存の試薬と同様の性能を有す
る。
 本キット及び既存のEIA法のキットであるコバス コア Anti-HBc IgM-EIA
(EIA法)の測定結果は、100%の一致率を示し、良好な相関性が認められた。
【保険請求上の注意】 特になし
【文献】 小林 良乃、他:全自動電気化学発光免疫測定装置「エクルーシス
2010」によるB型肝炎マーカーの測定.医学と薬学、42:749〜755、1999

[獨協医大越谷病院 森三樹雄]
 
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[新規収載]◆抗ガラクトース欠損IgG抗体精密測定
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抗ガラクトース欠損IgG抗体精密測定(準用先区分D014-6)(区分D-2)
平成12年3月1日より適用の自己抗体検査
保険点数:190点  定量検査
カットオフ値:6AU/mL以上陽性
直線性:500AU/mLまで
製造・発売元:三光純薬株式会社 Tel 03-3863-3271
測定法:ECLIA法 100テスト(96検体用)/キット (シングル測定)
結果が出るまでの時間:約20分  自動化:専用の自動測定装置 (ピコルミ
8220)にて可
同時再現性:1.0〜7.5% 日差再現性:2.1〜6.2%
検体:血清
【特徴】 ビーズに固相化したヒトガラクトース欠損IgGに検体中の抗ガラク
トース欠損IgG抗体を特異的に結合させ、さらに結合した抗ガラクトース欠損
IgG抗体にルテニウム標識レクチンを結合させ、電気エネルギーを加えること
によりルテニウム錯体を発光させ、検体中の抗ガラクトース欠損IgG抗体濃度
を定量するサンドイッチ型電気化学発光免疫測定法(ECLIA法)である。
 抗ガラクトース欠損IgG抗体は、RA(慢性関節リウマチ)に特異性の高い血清
マーカーであることが知られている。
 本キットによるRA患者の陽性率は、90.9%(110/121例)であり、従来のリウ
マチ因子測定法(TIA法)の70.2%(85/121例)に比べ有意に高かった(p&
lt;0.0001)。また、TIA法でリウマチ因子が陰性のRA患者(セロネガティブRA)
を本キットで測定したところ69.4%(25/36例)が陽性と判定できた。
 本キットと既承認レクチン酵素免疫測定法との相関は、r=0.976、y=
1.059x−1.505と良好である。本キットはレクチン酵素免疫測定法に比べ短時
間 (約20分)に測定でき、測定範囲が広い。
【保険請求上の注意】 特になし
【文献】 平山 吉朗、他:電気化学発光免疫測定法による血清中抗ガラク
トース欠損IgG抗体測定用キット「ED041」の開発と性能検討.医学と薬学、42:
817〜828、1999

[獨協医大越谷病院 森三樹雄]
 
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[Q&A] ◆コレステロール関連検査の統計
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(Q)コレステロール関連検査の年間件数と売り上げを教えて下さい。(内科
医)

(A)脂質関連の年間の日本での売り上げは、実績値ではなく99年度の見込み
ですが、次の通りです。

 Tch  :110,590千件  2,820百万円
 TG   :115,970千件  4,175百万円
 HDL−C: 95,440千件  3,242百万円
 LDL−C: 15,303千件    505百万円

回答日:2000年3月9日
回答者:認定臨床検査医 櫻林 郁之介(No.82)

[ホームページ/臨床検査ネットQ&A(生化学検査)]
 
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[Q&A] ◆遠隔地への検体搬送に関する規制
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(Q)採血後サンプルを宅急便等で遠隔地に送るという行為につき、何か規制
はありますか。(内科医)

(A)検体を遠隔地に宅急便輸送することに特に違法性はありません。また、
届け出の必要もありません。もちろん、漏れ出る様な梱包を避けることは言う
までもありません。

回答日:2000年3月9日
回答者:認定臨床検査医 櫻林 郁之介(No.82)

[ホームページ/臨床検査ネットQ&A(その他)]
 
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[Q&A] ◆トレッドミル運動負荷試験の事故統計
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(Q)トレッドミル運動負荷試験で発生した事故の頻度や種類の統計はありま
すか。(大分県 臨床検査技師)

(A)トレッドミル運動負荷試験での事故とは、急性心筋梗塞の発症、心室頻
拍・心室細動などの緊急処置を必要とする重症不整脈などが考えられます。私
の所属する施設では、トレッドミル全例に医師が付き添っており、特に事故の
統計はとっていないので、ご質問に対する直接のお答えはできません。ただ
し、担当の医師によれば、彼が担当しているここ数年事故は起こっていない
が、それ以前一度心室頻拍があったということです。この期間の例数は1000例
を超えていますので、頻度的には0.1%未満程度と考えられます。したがって
適応を正しく選べば事故の確率は極めて低いと思います。
 実際には、検査をオーダーする医師は不安定狭心症など運動負荷のリスクが
高い患者に運動負荷試験を実施しないこと、検査室はそのような患者に検査の
指示があった場合には必ず主治医に確認すること、すなわち禁忌を避け、また
負荷検査の中止基準を守ることが重要でしょう。

回答日:2000年3月12日
回答者:認定臨床検査医 幸村 近(No.445)

(A)下記論文をご覧ください。トレッドミル運動負荷試験60万余件につき死
亡1件、心筋梗塞14件などの調査結果が詳細に解説されています。

[1] 武者春樹 他:運動負荷試験における事故に関する検討 ―全国107施設
  調査結果―.心電図 17(1):21-28、1997

回答日:2000年3月13日
回答者:認定臨床検査医 山口 一郎(No.294)

[ホームページ/臨床検査ネットQ&A(生理検査)]
 
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[Q&A] ◆心エコーのTei index
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(Q)心エコーのTei indexとは何ですか。(群馬県 臨床検査技師)

(A)Tei indexとは鹿児島大第一内科の鄭(てい)忠和教授が提唱した左室機
能の指標で、Doppler index ともいわれるものです[1]。左室の収縮能と拡張
能を総合的に反映するという特長があり、等容収縮期(ICT)と等容拡張期
(IRT)の和(ICT+IRT)を駆出時間(ET)で割ることで得られます。ドプラ上
のパラメータとして、ICT+ET+IRT は transmitral flow で僧帽弁が開いてい
ない時間(t)として得られ、ET は LV outflow から測定できますので、Tei
index=(t−ET)/ET となります。
 文献上、実際の値は健常人では0.37±0.08で、拡張型心筋症(DCM)の患者
群では0.85±0.32と高く(p<0.001)、また長期予後(生存率)を左室駆出率
(EF)よりもよく反映することが示されています[2]。

【参考文献】
[1] Tei C: New non-i nvasive index for combined systolic and diastolic
ventricular function. J Ca rdiol 1995;26:135-136
[2] Dujardin KS, Tei C, et al: Prognostic value of a Doppler index
combining systolic and diastolic performance in idiopathic-dilated
cardiomyopathy. Am J Cardiol 1998;82:1071-1076

回答日:2000年3月12日
回答者:認定臨床検査医 幸村 近(No.445)

[ホームページ/臨床検査ネットQ&A(生理検査)]
 
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[編集後記]◆検体検査管理加算(I)
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 既にご承知の会員もおられると思いますが、4月の改訂で検査専従医の存在
を要件としない検体検査管理加算(I)が新設されるとともに、従来の検体検
査管理加算は少し増額されて(II)となるようです。(I)は1件毎の点数は
わずかですが、外来患者にも認められることから、試算では(II)より有利に
なる可能性が指摘されています。もし医療機関毎にどちらか一方だけしか選べ
ないことになると、多くの医療機関が(I)に移行してしまい、せっかく認め
られかけた検査医の価値が、絵に書いた餅になる恐れも出てきました。またこ
れに加えて、今回再診料に基本的な検査が包括されたことが、検査収入に重大
な影響を及ぼすとのご指摘もありました。

 これらの急激な状況の変化に取り残されることなく、迅速に有効な対応を図
るためには、やはり本会が検査医の利益を守るという立場で、政治的に動くこ
とが迫られているのではないでしょうか。

 なおJACLaP WIRE編集室では、検体検査管理加算の詳しい改訂内容等につい
て、次号に解説記事の掲載を予定しており、会員各位からの情報、ご意見、ご
要望などをお待ちしています。また、前号でお伝えした未来ビジョン検討委員
会も、早速この問題を議論すべく、発足を急いでいることを申し添えておきま
す。

[編集担当 西堀眞弘]

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JACLaP WIRE No.20 2000年3月15日
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