Lab. Clin. Pract., 19(2) : 92 (2001)

第11回 春季大会記録


パネルディスカッション:検体検査管理加算と検査医の役割

司会の言葉

和歌山県立医科大学臨床検査医
三 家 登喜夫

京都大学臨床病態検査学
一  山   智



平成13年4月20日と21日の両日大阪市立大学医学部臨床検査医学講座・巽 典之教授のお世話で,第11回日本臨床検査医会春季大会が大阪市立大学医学部学舎大講義室で開催された.二日目の午後に「検体検査管理加算と検査医の役割」と題したパネルディスカッションが行われた.変革する医療の中で検査医の真の役割が問われている時期における本パネルディスカッションは非常にタイムリーであった.パネリストとして選ばれた各先生方(天理よろず相談所病院:松尾収二先生,奈良県立医大:岡本康幸先生,日本大学:熊坂一成先生,京都府立医大:藤田直久先生,大阪市立総合医療センター:井上 健先生,および日本医学臨床検査研究所:佐守友博先生)より,大学病院,一般総合病院,病理医,民間検査センターの立場から,それぞれの考え方が示された.本パネルの中で検体検査加算料が制定された歴史的背景についても紹介されたが,全体的にみて,検体検査加算との関係というよりも,検査医そのものの存在意義などについて,フロアーからの意見も含め活発に議論された.
各発表の内容は,病院における検査医の役割についてのみならず,各診療科との信頼関係や,検査技師との関係などの重要性について,さらには検査医としての自覚や意気込みについまで言及された.また,一般病院の検査科に属する病理医と検体検査との関連について(いわゆる一人病理医)の問題点も浮き彫りにされた.さらに,大学病院や地域の中核病院で活躍している検査医が,果たして一般の市中病院では本当に必要とされているのかや,本会の参加者に若い先生方が少ないことが何を意味しているのかなどの問題点についての指摘もあった.
本パネルの司会を担当させていただいた,和歌山県立医大の三家登喜夫および京都大学の一山 智は,いずれも検査医会の経歴は浅く,検査医の役割のみならず本会関連学会などのあり方や今後の方向性を考えるうえでたいへん有意義であった.本機会を与えていただいた巽会長に深謝する.