[ 知っておきたい! 病気予防の検査の知識(17)] 2006.8.1
婦人科でホルモンの異常がある時に受ける検査 |
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日本臨床検査専門医会 鈴 木 美 登 利
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女性の一生はホルモンの変化とともに歩んでいると考えられます。特にその大きな変動が訪れるのは、思春期と更年期です。そして思春期に現れて、衰退する更年期までの間にある、
成熟期・熟年期といわれる時期もまた、おおよそ一ケ月周期で変化するホルモン支配を受けています。異常が出易い時期を中心に述べてみます。
1 月経不順または無月経という症状と検査
初経から3年以上経っても、月経周期が一定していない場合を月経不順としています。また妊娠や授乳中には無月経となりますが、満18歳を過ぎても初経をみない場合を
原発性無月経、月経が3ヶ月以上見られない場合を続発性無月経としています。診断へのステップは、ダイエットやクラブ活動での身体負荷を含めた体重増減、ストレス、
乳汁漏出の有無を問診します。次に行う主な検査は、妊娠反応や、LH、FSH、プロラクチン、エストラジオール、プロゲステロンなどのホルモン測定をします。
また不正出血が続く場合には、貧血の検査を追加して行います。原発性無月経の場合は、身体的な局所所見が重要であり、ホルモン検査、染色体検査に加えて超音波検査などが
必要になってきます。
月経不順や続発性無月経の場合には、薬剤を使った刺激試験を行い、各ホルモンの値の変動、消退出血が有無で診断し、治療方法を決定します。
2 更年期に出現する症状と検査
更年期には、種々の症状が出現します。これらは、卵巣機能が衰退し、エストロゲンという女性ホルモンが減少することによって引き起こされるといわれています。月経異常は
当然ですが、イライラ、不安感、不眠、うつ状態などの精神神経症状、動悸、のぼせ、発汗などの自律神経失調症状などが一般的に知れています。工ストロゲン
(特にエストラジオール)、黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモン等を測定すると異常がみられます。しかし他に色々な検査を行いますが、明らかな疾患としての異常が見つかる
のではなく、最終的には更年期であることがわかり、他の疾患と鑑別するために行う検査となります。更年期以降は骨粗鬆症の問題があり、閉経期に合わせるように
高脂血症などが出現し易いこと、子宮体癌、子宮頸癌などは更年期の症状に隠れてしまう危険性があることから、婦人科疾患かもしれないと少しでも心配を感じたら、
自己判断を避け、専門医による一連の検査を受けて、必要があれば治療を受けましょう。
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