[ 知っておきたい! 病気予防の検査の知識(16)] 2006.7.1

痛風が疑われる時に受ける検査

 

日本臨床検査専門医会  康 東 天


ストレスで疲れていませんが?
 最近、仕事が忙しくてストレス発散にビールを飲みすぎていませんか?運動不足で太り気味ではありませんか?ある日突然、就寝中に足の親ゆびの付け根の関節が赤く腫れて 痛みだしたら、それは「痛風発作」かもしれません。まさに字のごとく「風が当たっただけでも痛い」病気が「痛風」です。最初の発作では約90%が足の指の関節周辺で 起こります。
 痛風の原因は尿酸です。プリン体(遺伝子の元であるDNAの構成成分の一つ)が新陳代謝で分解されて体の外へ排泄される形になったものが尿酸です。尿酸の濃度が高い 状態が続くと尿酸塩が結晶化し沈着します。尿酸塩が関節に溜まると痛風発作になりますが、腎臓にも尿酸塩が溜まりやすく、進行すると腎機能低下が起こります。
 痛風患者は全国で約50万人で、「予備軍」の高尿酸血症が300万人います。90%以上が男性で、発症年齢は30歳代が最も多い「働き盛りの男性」の病気です。肉食の増加、肥満、 仕事のストレスなどで、最近女性の患者も増加傾向にあります。

痛風を疑つたら?
(I)血清尿酸値の測定
 まず、血液中の尿酸値を測定します。血清濃度が7mg/dlを越えると高尿酸血症といいます。筋肉運動やアルコールを摂取すると高値を示したり、痛風発作中はむしろ 血清尿酸値は低値を示すことがあるので注意が必要です。
(2)尿中尿酸排泄量
 高尿酸血症が認められたら、その後の治療方針決定のため、その原因が尿酸の排泄低下か尿酸の過剰産生かを調べます。3日問プリン体の多い食事や飲酒を制限し、検査当日は 早朝より絶食し、300mlの水を飲んでその後60分間の尿を正確に集めて、尿中への尿酸の排泄量を測定します。
(3)痛風結節
 尿酸塩の結晶が皮下などに析出して小さな塊(結節)を形成したものを痛風結節と言います。耳たぶや足の甲などによくできます。
(4)関節液検査
 関節液中に尿酸結晶があるか顕微鏡で調べます。
(5)レントゲン検査
 骨や関節の状態を調べます。
(6)腎エコー検査
 腎臓に異常がないか調べます。

高尿酸血症と言われたら?
 肥満や高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病を合併することも多いので、食生活を含む生活習慣に気をつけましょう。8mg/dlまでは、症状がなければ一般的に薬を飲む 必要はありません。9mg/dl以上の場合は、症状がなくても薬物治療が必要です。