[ 知っておきたい! 病気予防の検査の知識(15)] 2006.6.1
心臓の異常(不整脈)を発見する時に受ける検査 |
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日本臨床検査専門医会 西 村 眞 人
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心臓は全身に血液を送り出す役割を持つ生命をつかさどる重要な臓器です。健康な心臓は一分間に60〜100回程度の規則的なポンプ活動を繰り返しています。自律神経の興奮や、
虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)やその他の心臓の病気で心臓の電気系統に異常が生じ、脈が乱れるのが「不整脈」です。動悸(どうき)がする、胸が苦しい、脈が飛ぶなどの
症状が出ます。不整脈が原因で心臓のポンプ活動に影響を及ぼし、心不全の原因となることもあります。不整脈の原因は、先天的なものや加齢に伴うもの、生活習慣によるもの、
全身の病気、心臓の病気などさまざまで、健康な人でもときどき起こるものもあります。多くは治療の必要はありませんが、なかには失神や突然死につながるものもあります。
不整脈には大きく「頻脈」と「徐脈」の二つの種類があります。「頻脈」の症状は、心臓がドキドキし、心臓からおし出される血液量が減るため、息苦しさを感じたり、
めまいや失神を起こしたりする場合もあります。突然動悸(どうき)が始まり脈拍が150以上になる、脈拍がバラバラでしかも速い、といった症状がある場合は治療が必要です。
一方、「徐脈」の症状は一般的にだるく疲れやすくなるというものです。めまいや失神を起こしたり、ひどく息切れを感じたりする場合は、すぐに検査が必要です。
心臓の異常を発見するために受ける検査としては、
1)胸部X線撮影(心臓の大きさや形をチェックします)
2)心電図検査(普通の12誘導心電図及び運動負荷心電図や24時間ホルター心電図)
3)心臓超音波(心エコー)検査(心臓の状態、機能を調べます)
4)心臓核医学検査(微量の放射性物質を投与して、心筋の血流分布や虚血、梗塞などがないかをみたりします)
5)冠動脈造影・心室造影(心臓カテーテル)検査(足のつけ根や腕の動脈から細い管(カテーテル)を入れて造影検査を行い、冠動脈に狭いところがないかを調べ、
また心臓の機能を評価します)
などがあります。特に不整脈の検出には24時間ホルター心電図検査が重要です。通常の心電図は10〜20秒位で検査が終了しますが必ずしも検査中に不整脈が出現するとは
限りません。不整脈は夜間就眠中に多く発生することもあれば、危険な不整脈でも全く自覚症状のない時もあり、ホルター心電図で不整脈の発生をより正確にとらえる
ことが大切です。心臓核医学検査や冠動脈造影を除けば、ほとんどの施設で簡単にできますので、少しでも心臓のことが気になる方は、病院、診療所の先生、スタッフ
の方にお気軽にご相談下さい。
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