[ 知っておきたい! 病気予防の検査の知識(13)] 2006.4.1

膠原病が疑われる時に受ける検査

 

日本臨床検査専門医会  今 福 裕 司


「膠原病」とは、ある一群の病気の名前です。これに含まれる代表的な病気は関節リウマチ(RA)、全身性ループスエリテマトーデス(SLE)などです。難しい言葉で言えば体内で自已免疫という現象が起こって、それに基づいて全身の結合組織に問題が生じる病気といえましょう。共通の代表的症状として持続する関節の痛み、腫れがあります。「関節リウマチ」あるいは一般的に「リウマチ」と呼ばれる病気は膠原病の中では最もよく知られた病気でしょう。最近では、 「リウマチ科」の看板を掲げる医院、病院もありますから、症状があって不安なときは安心して相談することが出来ます。ところで、さきほど出てきました「自已免疫」とは何でしょうか。「免疫」は私たちの体が外敵から身を守る仕組みでありますが、その矛先が変わってどう言うわけか自分を攻撃してしまう現象を「自己免疫」と呼びます。ちなみに「膠原」とはコラーゲンのことで、結合組織に慢性炎症が起こってコラーゲンが増えてくることからの名前です。

 病気は「早期発見」に限ります。早期発見は「二次予防」とも言われるように、これも立派な「予防」であり、関節が痛いような場合もそうです。関節の痛みが続く、関節が腫れるなど気になる症状があったら医師に分かりやすく伝えて、関節などをよくみてもらうことが重要になります。医師の判断によりレントゲン検査や血液検査がされることでしょう。血液検査では自已免疫現象があるのかないのかを調べます。本来、自已免疫は非常に複雑で難しいメカニズムで成立していると考えられますが、この様子を比較的簡単に見る事の出来る血液検査があります。それは「リウマトイド因子」と「抗核抗体」という検査です。これはともに、自分に対する免疫の一種「自已抗体」の有無を検査しています。少し難しくなりますが、リウマトイド因子は変化した抗体(IgG)に対する自已抗体で、抗核抗体は細胞の核内にある成分に対する自已抗体です。これら自己抗体の量が多いと何か自己免疫と関連した病気があるのではないかと疑われます。現在では、これらに関運した、新しい検査が続々と開発されています。例えば抗CCP抗体という検査は早期の関節リウマチ患者さんでも出現することで今後が期待されています。

 血液検査ではありませんが関節のMRIも期待されています。これらの血液検査で自己免疫の様子をみて、その他の身体所見、検査を総合的に判断して病気の有無や程度が判断されます。関節リウマチに対しては強力な薬が続々と開発 されてきており、関節破壊が進行する前に早期発見、早期治療を行うことがますます重要になってきました。そのためにも関節の腫れ、痛み等気になる症状が続くようなら専門家にみてもらうことが最も重要だと思います。