[ 知っておきたい! 病気予防の検査の知識(5)] 2005.08.01
検査の進歩-------
いつでも、どこでも、だれでも、精度の高い検査 |
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日本臨床検査専門医会 森 三樹雄
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病院の検査部で行っている検査は、検体検査と生理機能検査の二つに分けられます。前者は、患者さんの身体から採取した血液や尿などが対象となり、後者は心電図・脳波検査・超音波検査のように、患者さんの身体を直接検査します。
検体検査は、検査機器や検査試薬のめざましい進歩により、微量化、高速化、高感度化、簡易化、大量検体処理、コンピュータ化が進みました。その結果、精度の高い検査が日本中どこでも迅速に実施できるようになりました。この検体検査には、生化学検査・血清検査・輸血検査・ホルモン検査・微生物検査・腫瘍マーカーなどがあり、外来患者さん、入院患者さんを問わず検体が届いてから30〜40分以内に、検査結果が得られます。すなわち、担当の医師が必要な時に外来や病棟の端末を通して検査情報を手に入れることができます。さらに、外来診察前・夜間・休日にも検査ができるような体制になっておりますので、担当医が検査データを利用して、患者さんの診断や治療に役立てております。
検査部では、検査の依頼、検体の採取、測定、報告の過程を全てコンピュータで管理し、迅速で正確なデータが提出されております。今後の課題としては、得られた検査データが日本国内どこでも同じ基準値を用いて報告ができるようなことが必要です。
生理機能検査についてはIT化、高機能化が進み、精度が高くなっております。心電図、二十四時間心電図、肺機能検査、脳波、筋電図、超音波検査などは国家資格を有する臨床検査技師が実施しております。
POCTと呼ばれる方式では、ベッドサイド・手術室・集中治療室(ICU)などで簡単な機器を用い、いつでも、どこでも、だれでも(医師、看護師、検査技師)が血液中の電解質、ガス、血糖、血球血算、尿蛋白、尿糖などを測定できるようになっております。
時間のかかる微生物検査についても、一部の検査はイムノクロマト法などにより、数分で結果報告できるようになりました。このように臨床検査の情報は、患者さんのために精度の高い信頼できるデータを提供し、担当医はその結果から迅速で正確な治療方針を立て、そのもとに治療が行われております。
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