[ 専門医の検査のはなし 22 ] 2005.02.01
超音波って何?
調べると何が分かるの? |
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日本臨床検査専門医会 谷 口 信 行
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超音波というと、なじみが薄いかもしれませんが、その本質は皆さんが普段聞いている音(可聴音といいます)と同じものです。異なる点は、音の音色(これを周波数といいます)がヒトの聞こえる限度の百から五百倍と大変高いため、音として聞こえないことです。この超音波を体内に発射して、ヒトの体の中を診るのが超音波検査です。超音波検査をごらんになった方はご存知と思いますが、多くの場合ヒトの体のある部分の縦や横からの断面像をとり、その画像の中からポリープ、腫瘍、嚢胞などの病気を見つけます。
ここでは、なぜ体の断面像を作ることができるかをご説明しましょう。まず、図の左のように、一本の超音波をヒトの体の中に発射すると中の臓器、病変などの境界、内部から反射し返ってくるため、体内の様子を知ることができます。ところが、一本の線ではそこに何が写っているか知ることは容易ではありません。そこで、これを横に連続的に動かすと、図の中央のごとくからだの構造に応じて情報を得ることができ、ここで得られた画像は、右図のごとくからだの中の様子として表すことができます。なお、超音波検査の別名として心エコー、腹部エコーのように「エコー、echo」という言葉もつかわれますが、これは「こだま」のように超音波が体の中から反射してきたものを利用するためです。
超音波検査には、いくつかの特徴があります。まず最も面白い点は心臓のように働きのある臓器を実際の動きに応じて観察できることで、超音波検査により初めてヒトの心臓の動きを観察できるようになりました。次に安全性です。胎児の超音波写真をごらんになったかたもいらっしゃると思いますが、これは超音波が安全である証拠で、胎児には有害とされるレントゲンを使った検査はされません。また同じ意味で、大人でも同じ部位のレントゲンを何度もとることはありませんが、超音波は安全ですので、複数回の検査を受けた場合でも安心です。さらに、検査が手軽にできるだけでなく、費用が他のCT検査、MRI検査などの画像診断に比べ安いため、多くの医療機関で使用され、さらに健康診断、人間ドックなどでも頻繁に使用されています。
超音波検査の目的は、臓器により違いますが、腹部では肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓のチェックなど、心臓ではその動きを観察するだけでなく弁の様子などが観察できます。他の領域では、産婦人科、泌尿器科、甲状腺でも使われ、産婦人科では胎児の様子を知るのに必須の検査です。最近では乳癌検診でも活躍しています。
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