[ 専門医の検査のはなし 21 ] 2005.01.01
心電図って何?
調べると何が分かるの? |
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日本臨床検査専門医会 岡 田 正 彦
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心臓の病気
心臓の表面には、自分自身に血液を送るための血管があります。メダリストが頭に載せてもらう冠に似ていることから、冠状動脈と呼ばれます。ひじょうに細く、詰まりやすいのが欠点です。その原因として多いのは、コレステロール、ストレスなどです。冠状動脈が詰まった状態が長く続くと、心臓の筋肉は大きなダメージを受けてしまいます。それが心筋梗塞です。激しい胸の痛みがあり、命にかかわることもあります。一方、血管が詰まっても、短時間で回復すれば大事にはいたりません。それが狭心症です。ただし、狭心症を繰り返すうち、心筋梗塞にいたってしまうことも多く、原因を取り除くための努力が必要なのは当然です。
次に不整脈です。心臓には、定期的に電気信号を発する部位があり、これが合図となって筋肉が収縮を繰り返すようにできています。このリズムが乱れた状態が不整脈です。原因は、生まれつきの体質、ストレスなどですが、誰でも歳をとると起こりやすくなってきます。症状としては、「脈が一瞬止まったように感ずる」「胃のあたりがモゴモゴする」といったものです。
心電図とは
さて、これらの病気は心電図で、ほぼ診断することができます。図を見てください。(1)は健康な人の心電図です。PQRSTと名づけられた5つの波からなっています。心臓は4つの部屋、つまり右心房、左心房、右心室、左心室から成っていますが、Pは心房の状態を表しています。同様にQ〜Tは心室です。心室の方が圧倒的に厚いために、波の大きさもずいぶんと違います。
冠状動脈が詰まると、(2)や(3)のような形になります。(2)が狭心症、(3)が心筋梗塞です。特に(3)は、波形が上下逆転してしまっており、心臓に大事件が起こっていることをうかがわせます。病気予防の観点からは、(2)にいたる前の状態を早く見つけ、進行を防ぎたいものです。
(4)は不整脈の一つ「心房細動」です。長嶋監督の病気の原因がこの不整脈だったと、メディアが報じていました。図からおわかりのように、リズムが大きく乱れています。そのため、心臓の中で血液がかたまりやすく、それが脳の血管に詰まったりするのです。年齢とともに起こりやすくなります。
他にもいろいろな病気が心電図でわかります。詳しくは拙著「ドック・検診でわかる病気わからない病気」(講談社十α新書)をご参照下さい。
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