[ 専門医の検査のはなし 19 ] 2004.11.01
結核の検査はどうするの? |
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日本臨床検査専門医会 飯 沼 由 嗣
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結核は、結核患者から喀出される結核菌が呼吸とともに肺に沈着し感染します。結核菌は肺内で食細胞に貧食されるものの、殺菌されることなく細胞内で増殖し続け、一部はリンパ流に入り肺門リンパ節内でも増殖を続けます。これを初期変化群と呼びます。
感染4〜8週後には結核菌に対する細胞性免疫反応が成立し、ツベルクリン反応(ツ反)が陽性化します。細胞性免疫の獲得とともに、初期変化群は一旦治癒したかのように見えますが、多くの場合眠ったような状態で生き続ける菌(持続生残菌)が存在し、感染数年後〜数十年後に免疫能の低下に伴い再び活動を始め、ほとんどが肺結核の形で発病します。但し、発病は感染者の約10%程度とされており、すべての感染者が発病するわけではありません。
結核菌の感染の診断
結核菌が感染した後、細胞性免疫の獲得により、ツ反が陽性となります。これは、代表的な結核感染の診断法ですが、わが国ではBCG接種を行っているため、ツ反陽性が結核感染によるものかあるいはBCGによるものかの正確な判定はできません。このため、白血球の一種であるリンパ球を結核菌の抗原で刺激し、結核に感染していればインターフェロンγが多量に産生されることを利用した新しい診断キットの開発がすすめられています。
結核発病の診断
症状やレントゲン画像から結核を疑い、喀痰などから結核菌を検出することにより結核の発病が診断されます。結核は伝染病であるため迅速な診断が必要ですが、喀痰などの塗抹検査は迅速な検査ですが、多量に排菌していないと検出は困難で、さらに親戚の菌である非定型抗酸菌との鑑別もできません。微量の菌でも検出できる培養検査も必ず平行して行いますが、結核菌の発育速度は非常に遅いため陽性とわかるまでに最大8週間かかります。
このため、近年結核を迅速に診断するための技術開発が盛んに行われてきました。培養に関しては、液状の培地および自動検出システムの開発により、従来よりも1〜2週間早く検出が可能となりました。また、遺伝子診断により、培養を行わなくても痰などから直接結核を診断する方法も開発されました。この方法は、非常に微量な菌でも検出可能であり、現在では結核の診断になくてはならない検査となっています。ただし、どこでもすぐにできるような検査ではなく、特殊な機器と技術が必要なコストのかかる検査です。更に、最近では菌の検出ではなく、結核菌に対する免疫の一つである抗体を測定し、診断する方法も開発されました。検出感度は十分とは言えませんが、痰を出すのが難しい重症患者やご老人・幼児の診断に有用ではないかと期待されています。
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