[ 専門医の検査のはなし 14 ] 2004.06.01
ビリルビンって何?
調べると何が分かるの? |
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日本臨床検査専門医会 松 尾 収 二
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ビリルビンが増加した状態が黄疸です。健康な人のビリルビンの量は血液1dl(デシリットル)当たり1mg以下ですが、3 mgを超えると皮膚や眼の結膜が黄色くなる黄疸と言われる症状が現れてきます。黄疸は肝臓の異常を示すということは知っておられるでしょうが、肝臓以外の病気でも出てくることを知っておいて下さい。
ビリルビンって何?
赤血球の中にはヘモグロビンという物質があって、これが酸素や二酸化炭素を運ぶ役割をしていることはご存じと思います。実は、ビリルビンは、このヘモグロビンの一部が代謝されて出来たものなのです。赤血球は寿命(約百二十日)が来ると脾臓や肝臓で壊されます。そのときヘモグロビンも壊れてビリルビンができるのです。このビリルビンは血液の流れに乗って肝臓へ運ばれます。肝臓ではグルクロン酸という物質と結合し胆汁として胆管を通り便の中へ排泄されます。ビリルビンが肝臓でグルクロン酸と結合すると水に溶けやすくなり害の少ないビリルビンとなります。
ビリルビンを調べると何が分かるの?
ビリルビンが赤血球中のヘモグロビンから生まれ、肝臓から胆管を通って便へと排泄される流れがわかれば、簡単です。
まず肝臓でのビリルビンの処理が追いつかなくなる程、たくさんの赤血球が壊れると血液中の濃度が増加します。赤血球がたくさん壊れると貧血もきますので、この状態を溶血性貧血と言います。肝臓の機能が未発達のときもビリルビンを処理し切れないため血液中の濃度が増加します。生まれたばかりの赤ちゃんにみられる新生児黄疸がそれです。新生児黄疸ではグルクロン酸と結合していないビリルビンが増加し、これが神経を障害することがあります。そこでビリルビンの値があまりに高い場合は体に光を当てビリルビンを壊す治療を行うのです。
肝炎や肝硬変のように肝臓の機能が落ちた時、あるいは胆汁の通り道が結石や腫瘍などで詰まった時に黄疸が出ることは承知のことと思います。この場合はグルクロン酸と結合したビリルビシが肝臓から血液中へと逆流します。グルクロン酸と結合したビリルビンによる害は小さいですが、増加が長く続くと腎臓などへの影響があります。
いかがでしたでしょうか。一口に黄疽、ビリルビンの増加と言っても、奥があることを多少ともご理解頂けたでしょうか。
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