[ 専門医の検査のはなし 11] 2004.03.01
血液の老廃物を調べると何が分かるの? |
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日本臨床検査専門医会 田 内 一 民
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代表的な老廃物には尿素窒素、クレアチニン、尿酸の三つがあります。
尿素窒素 (基準範囲6〜20mg/dl)
尿素窒素は肝での尿素サイクル(オルニチンサイクル)で合成される蛋白の終末代謝産物で、血液から腎糸球体を通して尿中に排泄されます。一般的には腎機能の指標として利用されています。
増加する場合は
@外科的大手術、悪性腫瘍などで組織蛋白の異化克進から合成量が増加した場合。
A蛋白摂取量の増加。
B消化管出血では赤血球、血漿蛋白が腸管内で大量に分解される時。
C重症心不全、ショックなど腎血流量が低下した時。
D腎障害で排泄機能が傷害される時。
E結石、癌、前立腺肥大で尿路が閉塞されると血中にうっ滞し増加します。
また、病的でなくても加齢によって腎機能の低下から軽度の上昇がみられます。
減少するのは妊娠、重症肝障害、低蛋白食などの慢性低栄養状態の時です。
クレアチニン (男性0.61〜1.04 女性0.47〜0.79mg/dl)
クレアチニンは肝で合成され約2%がクレアチンになります。クレアチンは98%が筋肉に存在し筋肉に必要なエネルギー源としてATPを供給しています。
つまりクレアチニンとは蛋白以外の、核酸をはじめとする細胞成分の最終産物がどれくらい排泄されているかという指標となります。
上昇をきたす疾患頻度は
慢性腎疾患・慢性高血症・糠尿病性腎症・二次貧血・脱水症で80%を占めており腎疾患、腎血流量異常をきたす病態と言えます。6mg/dl以上で持続する時には人工透析が必要となることがあります。
尿 酸 (男性3.7〜7.0 女性2.5〜5.4mg/dl)
尿酸は遺伝惰報を伝達する核酸(DNA)やエネルギー伝達物質であるアデノシン三リン酸(ATP)が分解されプリン体となり、肝臓で代謝された最終産物です。体内生産量と排泄量のバランスが壊れた時に高尿酸血症、低尿酸血症となります。
高尿酸血症の原因としては
排泄の間に合わない尿酸産生過剰(日本人の12%)、腎機能低下による尿酸排泄低下(60%)、混合型(25%)に分類されます。(下図)
高尿酸血症の持続は関節腔における尿酸の蓄積とpH変化から結晶析出をまねき痛風発作の原因となります。
食事として動物の内臓・魚介類の卵にプリン体は多く含まれています。
個人内変動が大きく、日差・季節変動があり精神的ストレス・空腹時に増加します。
低尿酸血症は尿細管での再吸収障害によるものですが日本・イスラエルに報告例が多く、健常人でも2.0mg/dl以下のことも稀ではありません。
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