◇白血球の種類と働き 末梢血にみられる白血球は好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球です。好中球、好酸球、好塩基球は殺菌作用をもつタンパク質や酵素を含む顆粒をもち、顆粒球とも呼ぱれます。好中球は細菌の貧食、殺菌に働き、好酸球は寄生虫や腫瘍細胞と反応するタンパク質を含み、アレルギーにも関係があります。リンパ球は、免疫グロブリン産生にかかわるBリンパ球、細胞性免疫に関わるTリンパ球、細胞障害作用をもつNK細胞などを含みます。単球は貪食作用をもち、抗原提示やサイトカインの産生などに働きます。 ◇健常人の自血球教やその内訳 健常人の末梢血には3,500〜9,000/μl、すなわち1ml当り350万から900万個もの白血球が含まれています。このうち好中球が最も多く50〜60%を占め、次がリンパ球で20〜40%です。好酸球、好塩基球、単球の比率はそれぞれ2〜7%、0〜1%、2〜8%程度です。 ◇白血球が増加する場合 原因はいろいろありますが、白血球増加の程度、増加している白血球の種類、赤血球や血小板の異常を伴うかどうかが、診断の手がかりになります。軽度の一時的な白血球増加は、種々の感染症や炎症でみられますので、まず再検査をしてみることが大切です。慢性的な炎症性疾患、アレルギー性疾患も白血球増加の原因になりますし、喫煙者にも軽度の白血球増加がみられることがあります。 一方、2万を越えるような高度の白血球増加は血液疾患、重症感染症、何らかの基礎疾患による類白血病反応などのことが多く、原因を早く調べることが必要です。特に、赤血球や血小板の増減を伴う場合や、芽球などの異常細胞がみられる場合は、血液疾患の可能性があり、至急に精査が必要です。 ◇白血球が減少する場合 一時的な軽度の白血球減少は、ウイルス等による感染症や薬剤(鎮痛解熱剤、抗菌薬など)によるものをまず疑います。減少の程度が強い(2000/μl 以下など)場合や貧血・血小板減少を伴う場合、白血球減少が進行性の場合は、血液疾患などを考えて精査が必要です。軽度の白血球減少では感染症に対する防御能に目立った低下はありませんが、好中球が500/μl 以下では感染症が起こりやすく注意が必要です。 |