これら検診データの解釈、それに基づく指導について、全国的な統一基準が決定されていないことから検査個々の施設担当者により選択された判定基準・区分が利用されてきました。そうしたことからデータや判定結果の施設間の相互利用や受診者からのセカンドオピニオンの依頼に適切に対応できない場合があることなど様々な間題が指摘きれてきました。これに対する答えとして、この度、日本病院会(人間ドック学会)が提唱した「人間ドック成績判定及び事後指導に関するガイドライン」を紹介します。 ガイドラインの作成に当たって著者も実行委員会の一人としてデータ処理に参加しましたが、全国の検診施設より集めた二十万余名の、いわゆる健康人のなかから所定の基準を満たす五万余名の男女を抽出。地域特性、各検査項目測定法と、その精度にも評価を加え、条件を満たすデータを採用しNCCLS(米国臨床検査標準化委員会)の基準に基づき統計処理したもので、今日のわが国における成人検査のデータ基準として十分に評価に耐えうるものと考えています。 また、判定区分も検診業務に永い経験のある専門医による活発な討論の結果作成されたもので、人間ドック(検診)のための判定区分として現段階では最も実用的なものと判断できます。 なお、一定期間にわたる運用実績をみて再評価し、改正が必要な事項については速やかに対応することを明らかにしています。 このガイドラインがわが国の人間ドック(検診)の分野で広く利用されることになれば、データの施設相互利用や受診者の移動への対応も容易となり、国民の健康増進に大きく貢献するものと期待されます。 「判定及び事後指導区分」 (A) 異常なし (B) 軽度異常あるも日常生活に支障なし (C) 軽度異常あり生活習慣改善を要す (D1) 要医療 (D2) 要精密検査 (D1, D2 判定不能の時は(D)とする) (E) 現在治療中 |