[ 検査結果でわかること 17 ]

アミラーゼ検査に異常がある時

日本臨床検査医会 戸谷 誠之



2002.08.01


  アミラーゼはデンプン等の糖類を分解する消化酵素です。この酵素は血液中にも含まれていますが、特に多く含まれている臓器は膵臓(P型酵素)と唾液腺(S型酵素)です。
 アミラーゼは本来は摂取した食事中の糖質を消化するために消化管内に放出されるのですが、唾液腺や膵臓の組織が壊れる病態では血液中に大量のアミラーゼが放出され、検査値が上昇します。
 ここで一つ断っておきますが、一般的な酵素の検査では酵素の量を表す場合に、酵素活性を調べる方法(この場合は特異性のある機能を持っている酵素蛋白のみが対象となる)と、正常な機能を持たないが酵素蛋白としての特徴は保持している総酵素蛋白量を測定する場合があります。
 今日、アミラーゼは前者の方法が一般的な方法として知られていますが、特殊な病態では後者の方法(例えば免疫酵素法など)で測定する場合もあります。また、これとは別に、先に述べたP型酵素とS型酵素を区別して測定するアイソザイム検査もあります。
 下図にはこのアイソザイムを考慮したアミラーゼ検査で異常が見られる代表的な病気をまとめました。