2001.10.1

 

 血小板は血液ーマイクロリットル中に約15〜35万個存在する直径2ミクロン程度の小さな細胞です。骨髄で巨核球と呼ばれる細胞により産生されます。血小板は血管が傷ついたときにその傷口を速やかに塞ぎ、それ以上の出血が起きないようにする働きを持っています。十分な量の血小板がないと、この止血作用が弱く、皮膚に出血斑が出現したり、歯肉から出血するなどの出血症状が出ます。また、血小板が正常より多く存在すると、血栓が起きやすくなり心筋梗塞、脳梗塞などの疾患の原因となります。そこで、一般検査として血小板数を測定することが必要なのです。

血小板数減少一血小板の減少は、血管内で血小板が破壊されたり、使われたりすることや、また骨髄における産生低下により起きます。血小板破壊による血小板減少の中では、免疫学的機序により起きる特発性血小板減少性紫斑病が最も頻度が高いものです。ウィルス感染症の後に起きるものもありますが、ほとんどは原因不明です。薬物と血液中の蛋白の複合体に対して抗体ができるために生じる血小板減少症もあります。血小板の消費による血小板減少症としては、播種性血管内凝固症候群が最も頻度が高いものです。感染症、悪性疾患等が原因となり、血液凝固現象が進み、血小板の活性化、消費が起き血小板数が低下するものです。血小板産生能低下は、白血病、癌など悪性細胞による骨髄の湿潤がおきた場合、また放射線、薬剤などにより骨髄機能が低下した場合(原因が不明な場合も多い)に起きます。血小板が減少していても一般的には10万/μlまでは、症状もありませんし、精密検査も必要ありません。5〜10万/μlでは出血傾向はほとんど無いことが多いのですが、その原因を追求する必要があります。5万/μl以下では出血が起きる可能が高く、治療を考慮する必要があります。

 血小板数増加一血小板数増多症には、一次性のものとして骨髄における巨核球が腫瘍性に増殖するもの、また二次性のものとして種々の基礎疾患に伴うものがあります。本態性血小板血症、慢性骨髄性白血病等では、巨核球が腫瘍性に著明に増加し、血小板も時には数100万/μlにも達します。二次性のものとしては、悪性腫瘍(特に肺癌、胃癌等)、リウマチ等の慢性炎症、鉄欠乏性貧血等の原因が知られています。エピネフリン等の薬剤投与後にも血小板増多症が起きることが報告されています。血小板が増加しても一般的には50〜60万/μlまでは治療の必要はありません。これ以上血小板が増加する場合は、抗血小板の投与が行われます。