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CPK・アイソザイム精密測定(準用先区分D007-26)(区分D-2)

平成9年10月1日より適用の血液化学検査
保険点数:175点
基準範囲:5ng/ml以下
直線性:300ng/mlまで
製品名:エバテストCK-MB
製造元:ダイキン工業(株) TEL 06-373-7282
発売元:三共(株)     TEL 03-3562-7506
    日水製薬(株)   TEL 03-3918-8167
    富士レビオ(株)  TEL 03-5695-9200
測定法:エバネセント波蛍光免疫測定法 60テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:8分  自動化:可
同時再現性:4.1〜6.7%  日差再現性:1.3〜2.8%
検体:血清、血漿および全血(クエン酸ナトリウム、ヘパリン)
【特徴】 ビオチン−アビジン反応を利用したサンドイッチ法による蛍光免疫測定法を原理とする試薬である。固相担体表面上にしみ出るエバネセント波を発生させることにより、反応生成体である固相抗体−抗原−ビオチン化抗体−蛍光標識アビジンを選択的に励起し未結合(遊離)の蛍光標識アビジンを分離することなく抗原量に応じた蛍光強度が測定され抗原が迅速に検出される。
 CPK・アイソザイムにはMM、MB、BB型の3種類が知られている。この内CPK-MB型は心筋に高濃度に存在するため心筋障害、特に心筋壊死で血液中に流出するので、急性心筋梗塞の早期診断や梗塞量を知る上での指標として広く利用されている。CPK-MBの測定法には電気泳動法、免疫阻害法、免疫学的測定法などがある。本キットはエバネセント波を利用してサンドイッチ法により蛍光標識されたCPK-MBを蛍光免疫測定法により測定する。本法を用いる自動機器が利用でき、短時間で(8分)測定できる。本キットとEIA法、CLIA法との相関は相関係数がそれぞれ0.998、0.996と良好であった。急性心筋梗塞患者における各種心筋マーカーがピークに達する時間はミオクロビンが6時間、CPK-MBが9時間、CPKが18時間、LDHが24時間とそれぞれ異なるが、CPK-MBは梗塞後早い時期に出現する。
【保険請求上の注意】 特になし
【文献】 前川博行、他:エバネットEV20によるCK-MB測定の基礎的検討.医学と薬学、37:1261-1266,1997

ヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-I)抗体の検出(準用先区分D012-17)(区分D-2)

平成9年10月1日より適用の感染症血清反応
保険点数:320点
基準範囲:陰性: C.I.値1未満、陽性: C.I.値2以上
製品名:ピコルミHTLV-I
製造元:エーザイ株式会社 TEL 03-3817-3939
発売元:三光純薬株式会社 TEL 03-3863-3271
測定法:電気化学発光免疫測定(ECLIA)法 100テスト/キット(96検体測定)
結果が出るまでの時間:約20分  自動化:可
同時再現性:0.3〜2.2% 日差再現性:陽性検体4.6〜5.5%、陰性検体:3.1〜18.2%
検体:血清又は血漿(抗凝固剤:EDTA−2K、3.8%クエン酸Na)
【特徴】 HTLV-I抗原を結合したビーズを固相とし、電気化学的変化で発光するルテニウム錯体を標識した抗ヒトIgGモノクローナル抗体を用いたサンドイッチ法による電気化学発光免疫測定法である。
 ATL(成人T細胞白血病)患者、HAM(HTLV-I関連ミエロパシー)患者、HTLV-Iキャリアで99.4〜100%陽性となる。HTLV-I抗体の検出法としては、EIA法、PA法(粒子凝集法)、CLIA法(化学発光免疫測定法)などがある。本キットは、EIA法との相関をみると陽性一致率が100%、陰性一致率が98.1%と良好である。判定保留が1.9%にみられるが、この場合はウエスタンブロッド法などの確認試験が必要である。
【保険請求上の注意】 特になし
【文献】 沢田高志:電気化学発光免疫測定法(ECLIA法)によるHTLV-I抗体検出試薬(ED039)の検討.臨床と研究、74:1889〜1895、1997

ミオグロビン精密測定(準用先区分D007-36)(区分D-2)

平成9年8月1日より適用の生化学的検査
保険点数:290点
基準範囲:60ng/ml以下
直線性:3000ng/mlまで
製品名:エバテストMb
製造元:ダイキン工業(株) TEL 06-373-7282
発売元:三共(株)     TEL 03-3562-7506
    日水製薬(株)   TEL 03-3918-8167
    富士レビオ(株)  TEL 03-5695-9200
測定法:エバネセント波蛍光免疫測定法(EV-FIA法) 60テスト/キット(シングル測定)
結果がでるまでの時間:8分  自動化:可
同時再現性:1.0〜2.1%  日差再現性:1.7〜3.7%
検体:血清、血漿および全血(クエン酸ナトリウム、ヘパリン)
【特徴】 サンドイッチ法による蛍光免疫測定法を原理とする試薬である。固相担体表面上にしみ出るエバネセント波を発生させることにより、反応生成体である固相抗体−抗原−蛍光標識抗体を選択的に励起し未結合(遊離)の蛍光標識抗体を分離することなく抗原量に応じた蛍光強度が検出され抗原濃度が迅速に測定される。
 心筋梗塞は死亡率の高い疾患であるが、その治療の主流である再疎通療法は発症後6時間、できれば3時間以内に開始するべきとされている。従って、少しでも迅速に本症を診断する事が要求されている。一方、ミオグロビンは心筋や骨格筋にある蛋白であり、壊死心筋から容易に血中に流出する。ミオグロビンは心筋梗塞の発症後非常に早期つまり1〜3時間以内に血中で異常値を呈する。しかし、他の生化学の心筋梗塞のマーカーであるCK-MB活性値やトロポニンTなどは発症6時聞以内でないと異常値を示さない。このミオグロビン測定は迅速で、測定レンジも広く、全血での測定も可能で、操作も簡便である。心筋梗塞の早期診断に有用な生化学検査である。従来、ミオグロビンはRIA法、EIA法、LA法など各種の方法で広く測定されている。
【保険請求上の注意】 ミオグロビン精密測定は、EV-FIA法を含む。
【文献】 太田直孝、他:「エバネットEV20」によるCK-MB蛋白量およびミオグロビン測定の評価.医学と薬学、37:1267〜1275、1997

I型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTx)精密測定(準用先区分D007-48)(区分D-1)

平成9年8月1日より適用の生化学的検査
保険点数:450点
基準範囲:男性及び閉経前女性:9.4〜71pmolBCE/μmolCr、閉経後女性:14〜100pmolBCE/μmolCr
直線性:10〜380pmolBCE/μmolCr
判定基準
 1) 骨吸収の指標:55pmolBCE/μmolCr以上
 2) 甲状腺摘出術の適応:200pmolBCE/μmolCr以上
 3) 悪性腫瘍(乳癌、肺癌、前立腺癌)の骨転移の指標:100pmolBCE/μmolCr以上
製品名:オステオマーク
製造元・発売元:持田製薬(株) Tel 03-3358-7211
測定法:ELISA法 96テスト/キット(ダブル測定)
結果がでるまでの時間:1時間30分  自動化:可
同時再現性:2.7〜9.4% 日差再現性:3.7〜6.2%
検体:随時尿
【特徴】 本試薬は、ELISA法による測定試薬であり、酵素標識抗NTxモノクローナル抗体に対して検体中のNTxとマイクロタイタープレートに結合したNTxとが競合反応することによりNTx濃度が測定できる。
 本試薬の測定対象物質であるNTxは、骨がコラゲナーゼにより分解を受けた後、血中に放出され、その後尿中に排泄される物質で、ヒト骨に対する特異性が高く、骨の吸収を直接に反映する指標となることが示されている。臨床的には、下記の有用性が認められている。
1.原発性副甲状腺機能亢進症における骨吸収の指標及び治療(手術)効果の判定
 1)骨吸収の指標として、カットオフ値を55pmolBCE/μmolCrとした場合、NTxはオステオカルシン(BGP)に比べ術前感度が優れており(NTx:84%、BGP:69%、n=67)骨吸収亢進状態をよく反映し高値を示した。また、200pmol BCE/μmolCrを手術適応のカットオフ値とした場合、骨型の8例全例がNTx陽性となり、NTx値による判定とX線の所見とが一致した。この際、感度:50.0%(12/24)、特異度:96.4%(27/28)、診断効率:75.0%(39/57)であった。したがって、NTx値が55pmol BCE/μmolCrを越える場合は骨吸収が亢進しているため、慎重に経過観察を行い、さらに200pmolBCE/μmolCr越える場合には著しく骨吸収が亢進しているため早期の手術適応を考慮する必要がある。
 2)NTxはBGPに比べ副甲状腺摘出術後の臨床経過をより反映して変動し、正常化率は高く(1週目:(NTx:34%、BGP:12%)、1ヶ月目:(NTx:64%、BGP:42%)、3ヶ月目:(NTx:72%、BGP:61%))、変化率も大きかった(1ヶ月目:(NTx:58%、BGP:3%)、3ヶ月目:(NTx:61%、BGP:21%))。したがって、骨吸収亢進状態を定量的にモニターできるNTxは副甲状腺機能亢進症における治療(手術)効果の判定に有用である。
2.転移性骨腫瘍の骨転移の指標及び骨転移病巣の進行度の指標
 悪性腫瘍患者においてNTxを測定した結果、骨転移のある悪性腫瘍患者におけるNTx値は骨転移のない場合に比べ高値(p<0.01)を示し、その値が100pmol BCE/μmolCrを越えた場合、骨転移を疑うことができる(陽性適中度:82.1%(22/27)、陰性適中度:67.7%(151/219))ことから、骨転移の指標として有用である。なお、NTx値は骨転移の高度なものほど高値を示した。また、既に骨転移が認められる患者において、NTx値を経時的に測定した結果、骨転移病巣が悪化した症例ではNTx値が上昇し、改善又は不変であった症例では、変化が認められず、骨転移病巣の進行度の指標として有用である。
【保険請求上の注意】 I型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTx)の精密測定は、原発性副甲状腺機能亢進症の手術適応の決定又は副甲状腺機能亢進症手術後の治療効果判定に際して実施された場合に、「D007」血液化学検査の「48」に準じて算定する。ただし、I型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTx)の精密測定とオステオカルシン精密測定を併せて実施した場合は、いずれか一方のみ算定する。
 I型コラーゲン架橋N−テロペプチド(NTx)の精密測定は、乳癌、肺癌、又は前立腺癌であると既に確定診断された患者について骨転移の診断のために当該検査を行い、当該検査の結果に基づいて計画的な治療管理を行った場合に限り、「区分009」腫瘍マーカーの「4」を測定した場合に準じて「B001」特定疾患治療管理料の「3」の悪性腫瘍特異物質治療管理料「ロ」を算定する。
【文献】 高見 博、他:原発性上皮小体機能亢進症における尿中I型コラーゲン架橋N−テロペプチド(NTx)測定の臨床的有用性の検討−第2報 上皮小体摘出術後の治療効果の判定を中心に−.ホルモンと臨床、44(3):321-326、1996

大腸菌ベロトキシン検出検査(準用先区分D012-11)(区分D-2)

平成9年8月1日より適用の感染症血清反応
保険点数:200点
検出限界:VT1:7pg/ウェル VT2:15pg/ウェル
製品名:オーソVT1/VT2
製造・輸入元:Meridian Diagnostics, Cincinnati, Ohio,USA
発売元:オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス(株) TEL 0120-03-6527
測定法:ELISA法 96テスト/キット(シングル測定)
結果がでるまでの時間:3時間(直接糞便法) 19時間(ブロス法)  自動化:不可
検体:糞便
【特徴】 ELISA法による4段階テストであり、まず、検体中のベロトキシンはウェルに固相化した抗ベロトキシン抗体と反応して、抗原抗体複合物が形成される。次に、この抗原抗体複合物に抗ベロトキシン抗体、酵素標識抗体を順次反応させた後、基質を添加して発色させ、反応停止後、その吸光度を測定する。
 大腸菌O157の属する腸管出血性大腸菌(EHEC:entero hemorrhagic Escherichia coli)群は、感染すると上皮細胞に結合して増殖し、ベロ毒素(ベロトキシン)を産生し続ける。その後、ベロ毒素は血液中に移行し、赤血球の破壊(溶血)、腎あるいは脳などの毛細血管上皮細胞を損傷し、毛細血管の出血や血栓(血栓性血小板減少性紫斑病:TTP)による組織破壊、溶血性尿毒症症候群(Hemolytic Uremic Syndrome:HUS)、脳症などの重篤な合併症を発症し、死に至ることがある。本法では大腸菌0157のみならず、全ての大腸菌のベロトキシン産生を検出することができるので、EHEC感染症に対してより特異的である。検査結果が出るまでの時間が培養法、PCR法などの従来法(2〜3日)に比し、短い(3〜18時間)。本法では検体を予め分離、培養あるいは遺伝子分析する必要がなく、操作が簡便である。大腸菌ベロトキシン検査はこの病態を早期診断するのに有用である。現在、培養、分離後の個々の株について毒素産生能を検査して、ベロトキシンを検出する方法やPCR法による遺伝子検索で検出する方法がある。
 本キットは、抗大腸菌ベロトキシンモノクロナール抗体(マウス)を用い、ELlSA法によって2種類の大腸菌ベロトキシン(VT1及びVT2)を検出するものである。VT1及びVT2両毒素産生の全てのEHEC臨床分離株に対して特異的に反応性が認められ、通常ベロトキシンを産生しない大腸菌群、腸管出血性大腸菌以外の大腸菌群及び類縁菌群との反応性は認められないが、VT1は志賀毒素様毒素(SLT)も産生するので、本キットで陽性の場合は重症の赤痢も考えられるので注意が必要である。本法は従来法に比較し特異性、迅速性、簡便さに優れている。また、従来法である培養法との感度と特異性はブロス培養検体で100%と97.9%であり、PCR法との一致率も100%と非常に良好である。
【保険請求上の注意】 ただし、大腸菌ベロトキシン検出検査のうち、細菌培養を行うことなく糞便から直接検出する方法であって、ELISA法によるものについては、臨床症状や流行状況から腸管出血性大腸菌感染症が強く疑われる場合に限り、大腸菌の抗原同定検査を踏まえることなく行った場合にも算定できる。
【文献】 栗岡隆顕ほか:腸管出血性大腸菌O157及びベロ毒素のELISA法検出キット(オーソE.coli O157及びオーソVT1/VT2)に対する臨床的評価.臨床と微生物、24(4):507〜514、1997

(1→3)-β-D-グルカン(準用区分D012-19)(区分D-2)

平成9年8月1日より適用の感染症血清反応
保険点数:400点
基準範囲:カットオフ値 11pg/ml
直線性:6〜600pg/ml
製品名:β−グルカン テストワコ−
製造元:和光純薬工業(株) Tel 06-203-3741
測定法:比濁時間分析法 50テスト/キット(シングル測定)
結果がでるまでの時間:約1時間40分  自動化:可 
同時再現性:3.1〜4.8% 日差再現性:4.2〜5.7%
検体:血清、血漿(ヘパリンナトリウム)
【特徴】 (1→3)-β-D-グルカンをリムルス試薬と反応させるとファクターGから始まるカスケード反応を開始させゲル化を引き起こす。このゲル化に伴う濁度変化を透過光量の変化としてとらえ、反応開始から一定の濁りに達するまでの時間をゲル化時間として測定し、検量線から(1→3)-β-D-グルカン濃度を求める。
 深在性真菌感染症の基礎疾患としては、癌、悪性リンパ腫などの悪性腫瘍、肝硬変、糖尿病、腎不全などで、わが国には約125万人がおり、また、易感染者としては高齢者、低栄養患者、高度肝機能障害者、手術を受けた患者、抗がん剤、放射線治療、ステロイド剤、各種体内異物、留置カテーテルなどを装着している患者などである。深在性真菌感染症が疑われる場合は、不明熱が持続し、炎症マーカーが高値となり、胸部X線像などに異常がみられ、全国で約28万人がいると推測されている。深在性真菌症の診断は大変困難であるが、血液培養法により診断しているが、検出率の低さと日数がかかるため早期診断法が望まれていた。本検査は真菌の細胞壁成分である(1→3)-β-D-グルカンを比濁時間分析法により定量するもので,発色合成基質法とともに(1→3)-β-D-グルカンに特異的に測定できる方法である。臨床的に深在性真菌感染症が疑われる患者の早期迅速診断と治療法の選択および治療効果の判定に役立つ。本試薬は、操作が簡便でかつ短時間に精度よく(1→3)-β-D-グルカンが定量できる。
【保険請求上の注意】 (1→3)-β-D-グルカンは、深在性真菌感染症が疑われる患者に対する治療法の選択または深在性真菌感染症症に対する治療効果の判定に使用した場合に算定する。なお、本検査を同区分の「13」に掲げるカンジダ抗原、「14」に掲げるD−アラビニトール、「16」に掲げるクリプトコックス・ネオフォルマンス抗原または、アスペルギルス抗原と併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。(1→3)-β-D-グルカンは、発色合成基質法又は比濁時間分析法による。
【文献】 Mori T., Ikemoto H., Matsumura M., et al.:Evaluation of plasma (1→3)-β-D-glucan measurement by the kinetic turbidimetric Limulus test,for the clinical diagnosis of mycotic infections.E.J.Clin.Chem.Clin.Biochem、35:553〜560, 1997

HBs抗原精密測定(準用先区分D013-5)(区分D-2)

平成9年8月1より適用の肝炎ウイルス関連検査
保険点数:170点
カットオフ値:1.2以上陽性
製品名:ピコルミHBs-Ag
製造・発売元:三光純薬株式会社 TEL (03)3863-3271
測定法:電気化学発光免疫測定法(ECLIA法) 100テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:約20分  自動化:可
同時再現性:2.2〜3.3% 日差再現性:3.3〜9.0%
検体:血清、血漿(EDTA)
【特徴】 抗HBsモノクロナール抗体を結合したビーズを固相とし、電気化学的変化で発光するルテニウム錯体を標識した抗HBsモノクロナール抗体を用いたサンドイッチ法による電気化学発光免疫測定法である。
 HBs抗原はHBVの表面抗原であり、血中に小型球形粒子と管状粒子として存在している。HBs抗原が陽性である場合は、HBVに現在感染していると考えてよい。本キットは、ECLIA法により、短時間(約20分)で測定できる。検出感度の比較試験ではEIA法と同等以上の感度を示した。
【保険請求上の注意】 HBs抗原精密測定にあっては、ECLIA法を含む。
【文献】 柏木征三郎:電気化学発光(Electrochemiluminesence:ECL)法を用いたHBs抗原検出用試薬キットの評価.医学と薬学、36(5):1041〜1047、1996

HBs抗体価精密測定(準用先区分D013-5)(区分D-2)

平成9年8月1より適用の肝炎ウイルス関連検査
保険点数:170点
基準範囲:1.0mIU/ml以上陽性
製品名:ピコルミHBs-Ab
製造・発売元:三光純薬株式会社 TEL 03-3863-3271
測定法:電気化学発光免疫測定法(ECLIA法) 100テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:約20分  自動化:可
同時再現性:2.67〜6.86% 日差再現性:1.84〜3.35%
検体:血清、血漿(EDTA)
【特徴】 HBs抗原を結合したビーズを固相とし、電気化学的変化で発光するルテニウム錯体を標識したHBs抗原を用いたサンドイッチ法による電気化学発光免疫測定法である。HBs抗体検査は、B型急性肝炎の治癒確認、HBワクチン対象者の選別、HBワクチンに対する反応の有無を目的に使用されている。B型急性肝炎の治癒確認が、保険の適用になる。本キットは、ECLIA法により、短時間(約20分)で、検体希釈による感度及び測定範囲の比較試験では感度はEIA法と同等で、測定範囲はEIA法に比べ約3倍の測定範囲が得られた。
【保険請求上の注意】 HBs抗体価精密測定にあっては、ECLIA法を含む。
【文献】 柏木征三郎、他:電気化学発光(Electrochemiluminescence:ECL)法を用いたHBs抗体検出用試薬キットの評価.医学と薬学、36(5):1049-1056、1996

大腸菌O157LPS抗原検出検査(準用先区分D018-2)(区分D-2)

平成9年8月1日より適用の細菌培養同定検査
保険点数:210点
検出限界:3,000〜11,000CFU/ml
製品名:オーソE.coli O157
製造元:LMD Laboratories, Inc. Carlsbad, California USA
輸入元:Meridian Diagnostics, Inc. Cincinnati, Ohio USA
発売元:オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス(株) Tel 0120-03-6527
測定法:ELISA法 96テスト/キット(シングル測定)
結果がでるまでの時間:1時間  自動化:不可
検体:糞便
【特徴】 ELISA法による3段階テストであり、まず、検体中の大腸菌O157抗原はウェルに固相化した大腸菌O157抗体と反応して、抗原抗体複合物が形成される。次に、この抗原抗体複合物に酵素標識大腸菌O157抗体を反応させた後、基質を添加して発色させ、反応停止後、その吸光度を測定する。
 病原性大腸菌(腸管出血性大腸菌、EHEC)0157が大腸に感染し増殖すると、産生された大腸菌ベロトキシンが大腸上皮細胞を損傷し、患者は激しい下痢、下血の出血性大腸炎の症状を起こす。さらに、血液中に移行した大腸菌ベロトキシンは赤血球を破壊し、腎、脳などの毛細血管上皮を傷害し溶血性尿毒症症候群や中枢神経障害などの重篤な病態を発症させる。患者の糞便中から分離される腸管出血性大腸菌感染症のうち、大腸菌O157は90%と頻度が高く、次いでO111が5.1%、O26が1.6%の割合で分離されている。腸管出血性大腸菌感染者でのHUS発症率は6.7%で、HUS発症例の3.5%が死亡する。腸管出血性大腸菌感染者の死亡率は0.2%である。この感染症の臨床症状としては、激しい下痢や下血などの出血性大腸炎の症状を呈する。従って、大腸菌O157による感染症は、感染初期診断ができてホスホマイシンなどの抗生剤を投与することによる重症化の未然防止並びに二次感染を最小限にくい止めることが重要である。
 本キットは直接患者の糞便を検体とし抗原抗体反応により検体中の大腸菌O157LPS抗原をELISA法により簡便かつ短時間(1時間)に検出できる。しかし本キットは、Salmonella urbangに対し共通抗原を有するため、本キットで陽性の場合は大腸菌O157とSalmonella urbangの感染症を示唆するので、大腸菌ベロトキシン検査を行うか、細菌培養検査を行って鑑別することになる。
 従来法では細菌培養検査で同定し、次いで血清反応により大腸菌のO抗原を同定するため3日間かかる。本キットと培養同定検査との陽性一致率および陰性一致率はそれぞれ100%/98.9%(米国中西部)、91.2%/99.5%(米国東部)、81.8%/82.8%(本邦)と良好であった。PCR法と培養同定検査の陽性一致率および陰性一致率はそれぞれ42.3%/100%であるのに対し、PCR法と本キットの陽性一致率および陰性一致率はそれぞれ76.9%/100%であった。
【保険請求上の注意】 大腸菌O157LPS抗原検出検査は、「D018」細菌培養同定検査の「2」に準じて算定する。ただし、大腸菌O157LPS抗原検出 検査と、消化管からの検体による細菌培養同定検査を併せて行った場合には、いずれか一方のみ算定する。大腸菌O157LPS抗原検出検査は、ELISA法による。
【文献】 栗岡隆顕ほか:腸管出血性大腸菌O157及びベロ毒素のELISA法検出キット(オーソE.coli O157及びオーソVT1/VT2)に対する臨床的評価.臨床と微生物、24(4):507-514、1997.

酵母様真菌薬剤感受性検査(準用先区分D019-1または2)(区分D-1)

平成9年8月1日より適用の細菌薬剤感受性検査
保険点数:1菌種 190点 2菌種 280点
製品名:酵母様真菌FP‘栄研’
製造・発売元:栄研化学(株) Tel 03-3813-5401
測定法:微量液体希釈法 5テスト/キット(シングル測定)
結果がでるまでの時間:24〜72時間  自動化:可
検体:酵母様真菌
【特徴】 抗真菌薬を希釈系列濃度に混合した液体培地に、被検菌液を接種し培養すると、被検菌は発育により培地の濁度を上昇させるが、薬剤により発育が阻止されると培地の濁度は上昇しない。従って、培養後培地の濁度を測定し、判定基準濁度以下を示す培地の最小薬剤濃度を求めMICとする。
 近年、長期投与が可能な内服抗真菌剤の普及により、これら薬剤(フルコナゾール、イトラゾール)の耐性菌(特にC.albicans)が増加している。この背景には、抗癌剤治療、放射線療法、高齢化などによる易感染患者の深在性真菌症が年々増加している。このため、分離真菌の感受性測定は,治療方針を立てるのに有用であるとともに、耐性化が把握できるため、耐性菌増加の防止が可能となる。
 本キットは、日本医真菌学会から提案されている抗真菌剤感受性試験法に従った微量液体希釈法による酵母様真菌(カンジダ属、クリプトコックス属)を対象とした薬剤感受性試験用試薬で、アムホテリシンB、フルシトシン、フルコナゾール、イトラゾール、ミコナゾールに対する感受性を検査することができる。本キットは被検菌の接種、結果の判読が容易で、簡便に使用できる。また,プレートが小さいことから、限られたスペースで多数の検体、薬剤の試験を行うことがてきる。臨床分離株200株を用いて、本法と他法(日本医真菌学会法)で測定した結果、アムホテリシンB100%、フルシトシン99%、フルコナゾール97.5%イトラコナゾール97%、ミコナゾール97%と相関性が高い。
【保険請求上の注意】 酵母様真菌薬剤感受性検査は、区分「D019」細菌薬剤感受性検査の「1」又は「2」に準じて算定する。ただし、酵母様真菌薬剤感受性検査は、深在性真菌症(カンジダ、クリプトコックスに限る)で原因菌が分離できた患者に限り算定できるものとする。
【文献】 須藤貴子、他:微量液体希釈法による口腔・食道カンジダ症分離株の感受性試験.日本化学療法学会雑誌、45(3):115-122、1997

淋菌核酸増幅同定精密検査(準用先区分D023-1)(区分D-1)

平成9年8月1日より適用の微生物核酸同定・定量検査
保険点数:350点
基準範囲:OD450にて0.2未満を陽性
製品名:アンプリコアSTD-1ナイセリアゴノレア
製造元:Roche Diagnostic Systems Inc., Branchburg. New Jersey, U.S.A.
発売元:日本ロシュ(株) TEL 03-5443-7045
測定法:PCR法と核酸ハイブリダイゼーション法 96テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:4時間  自動化:不可
検体:体液または組織
【特徴】 淋菌遺伝子の一部をPCR法にて増幅し、増幅DNAをマイクロウェルプレートに固相したDNAプローブと核酸ハイブリダイゼーション反応した後、ペルオキシダーゼとテトラメチルベンジジンの反応により発色させ、その吸光度を測定する。
 淋菌性男子尿道炎では患部の疼痛と膿汁分泌が顕著で診断容易である。これに対し、女子の淋菌性子宮頸管炎では症状が軽微であるため、診断が困難で未治療のまま放置され新たな感染源となったり、さらに子宮内膜炎、卵管炎、骨盤腹膜炎へと進展する場合もある。本キットは男子尿道炎患者および女子の淋菌性子宮頸管炎を診断する上で感度および特異性に優れている。同様の経路で感染し尿道炎あるいは子宮頸管炎の起因菌となるクラミジアトラコマチスとの重複感染も多いことから、尿道炎や子宮頸管炎を適切に治療するためには、正診率の高い検査法が必要となる。
 本キットでは、初尿検体での測定が可能であることから、痛みを伴わない検査が実施できる。本法の検出感度が100〜10CFU/mLと良好で、尿または患部スメアを検体として淋菌を検出することが出来る。男子淋菌性尿道炎患者について本キットとEIA法での一致率は90.5%と良好であった。また臨床所見から判断した場合の臨床的感度と特異度は、本キットが91.3%と100%であるのに対し、EIA法では82.7%と100%であった。また淋菌性子宮頸管炎患者における本キットとDNAプローブ法との一致率は83.5%であった。臨床的感度と特異度は本キットで100%と96.7%であったのに対し、DNAプローブ法では16.6%と100%となり、本キットにおける臨床的有用性が報告されている。
【保険請求上の注意】 泌尿器又は生殖器からの検体によるものである。ただし、男子尿を含み、女子尿を含まない。
【文献】 熊本悦明、他:PCR法によるC.trachomatis及びN.gonorrhoeae同時診断キット(アンプリコアSTD-1クラミジアトラコマチス及びナイセリアゴノレア)の基礎的、臨床的検討.日性感染症会誌、6:62-71、1995

心筋トロポニンT精密測定(準用先区分D007-42)(区分D-2)

サイロキシン(T4)精密測定(準用先区分D008-6)(区分D-2)

平成9年7月1日より適用の血液化学検査(1)および内分泌学的検査(1)
保険点数: トロポニンT  340点
T4  210点
基準範囲: トロポニンT  0.03ng/ml以下
T4  5.13〜13.52μg/dl
製品名:エクルーシスI(構成製品:トロポニンT、T4
製造元:Boehringer Mannheim GmbH, Mannheim, Germany
輸入・発売元:ベーリンガー・マンハイム(株) TEL 03-3432-3162
測定法:電気化学発光免疫測定法(ECLIA法)
 トロポニンT: 100テスト/キット(シングル測定)
 T4 200テスト/キット(シングル測定)
結果がでるまでの時間: トロポニンT  9分   自動化:可
T4  18分   自動化:可
再現性: 同時再現性 日差再現性
 トロポニンT  2.0〜2.8%  3.7〜5.7%
 T4  0.8〜3.3%  3.4〜5.4%
検体:T4・トロポニンTとも血清または血漿(ヘパリン、EDTA、クエン酸、シュウ酸)
【特徴】 トロポニンT:2種のモノクローナル抗体(ビオチン化抗体、ルテニウム標識抗体)を用い、サンドイッチ法で測定する。T4:ストレプトアビジンコーティング磁性粒子と、ビオチン化抗原、ルテニウム標識ポリクローナル抗体の、ストレプトアビジン−ビオチン系を用いた競合法と、電気化学的な発光反応による、電気化学発光免疫測定法により測定する。T4は甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、バセドウ病、心筋トロポニンTは急性心筋梗塞とそれぞれの疾患の診断および経過観察に広く用いられている。
 本製品はエクルーシスIと呼び、構成製品名がトロポニンTとT4よりなっている。本キットはストレプトアビジンコーティング磁性粒子と、ビオチン化抗原、ルテニウム標識抗体のストレプトアビジン−ビオチン系(SA-Bi系)を用いた競合法(T4)、あるいは同様にSA-Bi系に2種の抗体(ビオチン化抗体、ルテニウム標識抗体)を用いたサンドイッチ法(トロポニンT)に基づき、電気化学的な発光反応を用いた電気化学発光免疫測定法(ECLIA法)である。 本キットは従来法に比べ、簡便、高感度で測定時間も約20分と短い。 本キットとEIA法との相関係数は、心筋トロポニンTで0.988、T4で0.974と極めて良好であった。
【保険請求上の注意】 省略
【文献(トロポニンT)】 堀井 隆、他:電気化学発光免疫測定法(ECLIA)による心筋トロポニンT測定試薬の基礎的評価.機器・試薬、20(3):347-354、1997
【文献(T4)】 堀井 隆、他:電気化学発光全自動免疫測定装置“エクルーシス2010”による甲状腺関連検査の検討.機器・試薬、20:41-49、1997

1,25ジヒドロキシビタミンD3(1,25(OH)2D3)(準用先区分D007-48)(区分D-2)

平成9年7月1日より適用の血液化学検査(2)
保険点数:450点
基準範囲:20〜60pg/ml
直線性:2.1〜210pg/ml
製品名:1,25(OH)2D RIAキット「TFB」
製造元:Immunodiagnostic Systems Ltd., Boldon, England
輸入・発売元:(株)テイエフビー TEL 03-5951-1188
測定法:RIA法 72テスト/キット(ダブル測定)
結果がでるまでの時間:約1.5日  自動化:不可
同時再現性:8.7〜10.4% 日差再現性:11.3〜11.9%
検体:血清、血漿(EDTA)
【特徴】 「125I」標識1,25(OH)2D3を用いた競合法によるRIA法を測定原理とする。モノクローナル抗体を用いた前処理カラムにより抽出した検体中の1,25(OH)2D3と「125I」標識の1,25(OH)2D3を、ポリクローナル抗体に競合させ、抗体に結合した放射能を測定する。
 1,25ジヒドロキシビタミンD3(1,25(OH)2D3)は、慢性腎不全、特発性及び偽性副甲状腺機能低下症、ビタミンD依存症I型及び低リン血症性ビタミンD抵抗性くる病における診断時、活性型ビタミンD3による治療の開始時期及び投与量の決定において測定が認められている。この検査は平成6年8月1日にラジオレセプターアッセイ法(RRA法)で承認されている。 本キットは125I標識1,25(OH)2D3を用いた競合法によるRIA法(ラジオイムノアッセイ法)を測定原理とする。モノクローナル抗体を用いた前処理カラムから抽出した検体中の1,25(OH)2D3125I標識の1,25(OH)2D3を、ポリクローナル抗体に競合させ、抗体に結合した放射能を測定する。本法はRRA法で用いられている3Hに比べ、半減期も短く操作も簡便で感度も良好である。本キットとRRA法との相関係数は、0.957と良好である。
【保険請求上の注意】 1,25ジヒドロキシビタミンD3(1,25(OH)2D3)は、慢性腎不全、特発性副甲状腺機能低下症、偽性副甲状腺機能低下症、ビタミンD依存症I型もしくは低リン血症性ビタミンD抵抗性くる病の診断時またはそれらの疾患に対する活性型ビタミンD3剤による治療中に測定した場合にのみ算定できる。
 なお、活性型ビタミンD3剤による治療開始後1月以内においては2回を限度とし、その後は3月に1回を限度として算定する。
【文献】 高田朋玲 他:Radioimmunoassayを用いた1,25(OH)2D測定キットの基礎的検討.医学と薬学、37(5):1205-1210、1997

甲状腺刺激ホルモン(TSH)精密測定(準用先区分D008-6)(区分D-2)

サイロキシン結合能(TBC)精密測定(準用先区分D008-11)(区分Dー2)

遊離サイロキシン(FT4)精密測定(準用先区分D008-13)(区分D-2)

遊離トリヨードサイロニン(FT3)精密測定(準用先区分D008-13)(区分D-2)

トリヨードサイロニン(T3)精密測定(準用先区分D008-6)(区分D-2)

平成9年7月1日より適用の内分泌学的検査(2〜6)
保険点数: TSH  210点
TBC  250点
FT4  270点
FT3  270点
T3  210点
基準範囲: TSH  0.27〜4.2μIU/ml
TBC  0.8〜1.3TBI
FT4  1.01〜1.79ng/dl
FT3  2.60〜5.08pg/ml
T3  0.85〜2.02ng/ml
製品名:エクルーシス(構成製品:TSH、TBC、FT4、FT3、T3)
製造元:Boehringer Mannheim GmbH, Mannheim, Germany
輸入・発売元:ベーリンガー・マンハイム(株) TEL 03-3432-3162
測定法:電気化学発光免疫測定法(ECLIA法) 200テスト/キット(シングル測定)
結果がでるまでの時間:18分  自動化:可
再現性:  同時再現性 日差再現性
 TSH  1.0〜3.0%  1.7〜3.0%
 TBC  0.7〜5.1%  3.3〜10.2%
 FT4  0.6〜2.2%  2.5〜3.6%
 FT3  1.0〜3.2%  5.8〜8.3%
 T3  1.0〜3.3%  2.9〜5.0%
検体:TSH・TBC・FT4 血清、血漿(ヘパリン、EDTA、クエン酸、シュウ酸)
   FT3・T3 血清
【特徴】 TSH:ストレプトアビジンコーティング磁性粒子と、2種のモノクローナル抗体(ビオチン化抗体、ルテニウム標識抗体)の、ストレプトアビジン−ビオチン系を用いたサンドイッチ法で、電気化学的な発光反応による、電気化学発光免疫測定法により測定する。 TBC、FT4、FT3、T3:ストレプトアビジンコーティング磁性粒子と、ビオチン化抗原、ルテニウム標識ポリクローナル抗体の、ストレプトアビジン−ビオチン系を用いた競合法で、電気化学的な発光反応による、電気化学発光免疫測定法により測定する。
 TSH(甲状腺刺激ホルモン)、TBC(サイロキシン結合能)、FT4(遊離サイロキシン)、FT3(遊離トリヨードサイロニン)、T3(トリヨードサイロニン)の精密測定法には従来よりRIA法、IRMA法、EIA法、CLIA法(化学発光法)などがあり、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、バセドウ病などの診断および経過観察に広く用いられている。
 本製品はエクルーシスと呼ばれ、構成製品名はTSH、TBC、FT4、FT3、T3よりなっている。本キットは、ストレプトアビジンコーティング磁性粒子と2種のモノクローナル抗体(ビオチン化抗体、ルテニウム標識抗体)のストレプトアビジン−ビオチン系(SA-Bi系)を用いたサンドイッチ法(TSH)、あるいは同様にSA-Bi系にビオチン化抗原とルテニウム標識抗体を用いた競合法(TBC、FT4、FT3、T3)に基づき、電気化学的な発光反応を用いた電気化学発光免疫測定法(ECLIA法)である。本キットは従来法に比べ、簡便、高感度、測定時間も約20分と短い。本キットと同じ会社のEIA法との相関係数は、TSHで0.993、TBCで0.851、FT4で0.987、FT3で0.988、T3で0.975と良好であった。
【保険請求上の注意】 省略
【文献】 堀井 隆、他:電気化学発光全自動免疫測定装置“エクルーシス2010”による甲状腺関連検査の検討.臨床検査機器・試薬、20:41-49、1997

インスリン様成長因子結合蛋白3型(IGFBP-3)精密測定(準用先区分D008-29)(区分D-2)

平成9年7月1日より適用の内分泌学的検査(7)
保険点数:495点
製品名:AbチューブIGFBP-3‘栄研’
製造元:Diagnostic Systems Laboratories, Inc. Webster, Texas, USA
輸入・発売元:栄研化学(株) TEL 03-3634-3982
測定法:IRMA法 100テスト/キット(ダブル測定)
結果がでるまでの時間:約6時間30分  自動化:不可
同時再現性:1.66〜6.06% 日差再現性:2.90〜6.64%
検体:血清
【特徴】 125Iをトレーサとし、チューブを固相とするサンドイッチ法に基づくイムノラジオメトリックアッセイ(IRMA)である。固相チューブに結合した検体中のIGFBP-3と125I標識抗体の複合結合物の放射能を、ウエル型シンチレーションカウンターで測定する。
 インスリン様成長因子結合蛋白3型(IGFBP-3)精密測定は、成長ホルモン分泌不全症の診断と治療開始時の適応判定に使用した場合に算定できる。成長ホルモン分泌不全症の診断については厚生省間脳下垂体障害研究班による「成長ホルモン分泌不全性低身長症診断の手引き」を、治療開始時の適応判定については、(財)成長科学協会「ヒト成長ホルモン治療開始時の適応基準」を参照して使用する。インスリン様成長因子結合蛋白3型(IGFBP-3)精密測定は、平成9年3月1日付でRIA法のキットが保険で収載されている。本キットは、125Iをトレーサとし,チューブを固相とするサンドイッチ法に基づくイムノラジオメトリックアッセイ法により、固相チューブに結合した検体中のIGFBP-3と125I標識抗体の複合結合物の放射能を,ウエル型シンチレーションカウンターで測定する。本法は従来のRIA法との相関はr = 0.942と良好であり、従来法と比較して迅速な測定法である。本キットによる成長ホルモン分泌不全症の診断に対する有病正診率は97.8%、無病正診率は69.7%、診断効率は80.3%と良好である。
【保険請求上の注意】 省略
【文献】 立花克彦、他:栄研化学社製IRMAキットを用いた血中IGFBP-3測定の基礎的および臨床的検討.ホルモンと臨床、44(7):91-104、1996

I型プロコラーゲン−C−プロペプチド精密測定(準用先区分D009-4)(区分D-1)

平成9年7月1日より適用の腫瘍マーカー(1)
保険点数:450点(1項目)500点(2項目以上)
基準範囲:160ng/ml以上を陽性と判定
直線性:6.25〜500ng/ml
製品名:プロコラーゲンPICP「中外」
製造元:Orion Diagnostical Espoo, Finland
輸入・発売元:中外製薬(株) TEL 03-3273-1162
測定方法:RIA法 100テスト/キット(42検体/ダブル測定)
結果がでるまでの時間:2時間45分  自動化:可
同時再現性:2.9〜3.6% 日差再現性:3.0〜3.9%
検体:血清、血漿(EDTA、ヘパリン)
【特徴】 標準品または検体中のPICPと125I標識PICPとを、抗PICP抗体に対して競合反応させた後、125I標識PICPと結合した抗PICP抗体を第二抗体により凝集沈殿させ、その沈殿物の放射能を計測し作成した標準曲線よりPICP濃度を求める。
 PICPは骨芽細胞において骨基質タンパクであるI型コラーゲンが生合成される過程で血中に放出されるペプチドで、骨の造骨性を示す血中マーカーである。前立腺癌は造骨性と溶骨性とが混在した骨転移を示す代表的な癌であるが、その骨転位部位は造骨性(骨形成性)の病変を示すことが多いためPICPの測定は有用である。PICPと前立腺癌骨転移との関係を見ると、骨転移全体では有病正診率65.6%、無病正診率91.8%、診断効率76.9%で、PSAとほぼ同程度である。PICP濃度は骨転移の有無およびその浸潤度(広範度)を反映し、骨転移の診断および経過観察に有用である。
【保険請求上の注意】 I型プロコラーゲン−C−プロペプチド精密測定は、前立腺癌であると既に確定診断がされた患者について骨転移の診断のために当該検査を行い、当該検査の結果に基づいて計画的な治療管理を行った場合に限り、区分「D009」腫瘍マーカーの「4」を測定した場合に準じて、区分「B001」特定疾患治療管理料の「3」の悪性腫瘍特異物質治療管理料の「ロ」を算定する。
【文献】 森田 陸司、他:転移性腫瘍と骨代謝マーカー.腎と骨代謝、8:301-306、1995

α-フェトプロテイン(AFP)精密測定(準用先区分D009-4) (区分D-2)

平成9年7月1日より適用の腫瘍マーカー(2)
保険点数:220点
検出感度:5ng/ml
直線性:1〜10,000ng/ml
製品名:ピコルミAFP
製造元:エーザイ(株) TEL 03-3817-3939
発売元:三光純薬(株) TEL 03-3863-3271
測定法:電気化学発光免疫測定法(ECLIA法) 100テスト/キット(96検体測定)
結果がでるまでの時間:約20分  自動化:可
同時再現性:1.1〜6.3%   日差再現性:4.8〜9.2%
検体:血清、血漿(EDTA,クエン酸ナトリウム)
【特徴】 抗AFPモノクローナル抗体を結合したビーズを固相とし、電気化学的変化で発光するルテニウム錯体を標識した抗AFPポリクローナル抗体を用いたサンドイッチ法による電気化学発光免疫測定法である。
 α−フェトプロテイン(AFP)は肝細胞癌の診断補助および治療効果の判定に広く利用されている。AFPの精密測定法としては既に、ラジオイムノアッセイ法(RIA)、酵素免疫測定法(EIA)、化学発光法(CLIA)、ラテックス凝集法(LA,LPIA)など多数の方法が開発され利用されている。
 本キット(ピコルミAFP)は抗AFPモノクローナル抗体を結合したビーズを固相とし、電気化学的変化で発光するルテニウム錯体を標識した抗AFPポリクローナル抗体を用いた電気化学発光免疫測定法(ECLIA法)
 本法での測定範囲は、1〜10,000ng/mlまでの高濃度領域を希釈せずに測定でき、測定時間もEIA法(30分〜3時間)に比べ20分間と短時間である。従来からのEIA法とは相関係数R=0.979、有病正診率66.0%、無病正診率75.0%と良好である。
【保険請求上の注意】 省略
【文献】 奥田博明:電気化学発光免疫測定法(ECLIA法)によるαーフェトプロテイン(AFP)の測定.基礎と臨床、30(11):3077-3084、1996

癌胎児性抗原(CEA)精密測定(準用先区分D009-4)(区分D-2)

平成9年7月1日より適用の腫瘍マーカー(3)
保険点数:220点
検出感度:0.5ng/ml
直線性:0.5〜1000ng/ml
製品名:ピコルミCEA
製造元:エーザイ(株) TEL 03-3817-3939
発売元:三光純薬(株) TEL 03-3863-3271
測定法:電気化学発光免疫測定法(ECLIA法) 100テスト/キット(96検体測定)
結果がでるまでの時間:約20分  自動化:可
同時再現性:0.2〜1.5% 日差再現性:0.8〜6.3%
検体:血清、血漿(EDTA,クエン酸ナトリウム)
【特徴】 抗CEAモノクローナル抗体を結合したビーズを固相とし、電気化学的変化で発光するルテニウム錯体を標識した抗CEAモノクローナル抗体を用いたサンドイッチ法による電気化学発光免疫測定法である。
 癌胎児性抗原(CEA)は、大腸癌、胃癌、肺癌、乳癌、膵癌、肝癌などの内胚葉由来の臓器癌で検出され、広範囲の腫瘍マーカーとして癌のスクリーニングや術後の経過観察、再発予防に広く用いられている。従来、CEAはRIA法、EIA法、蛍光免疫測定法などが用いられている。
 本キット(ピコルミCEA)は、電気化学発光免疫測走法でCEAを測定する方法である。この方法はCEAとルテニュム標識抗CEA抗体を反応させ、その形成物に電気エネルギーを加え、そこからの発光量を測定しCEAの濃度を求めるため、高感度で広い測定範囲を有し既存のEIA法より早く測定できるなどの利点がある。また、EIA法との相関が非常に良い。
【保険請求上の注意】 省略
【文献】 蟹川 俊昭:電気化学発光免疫測定法を応用したED035によるCEAの測定.臨床と研究、74(1):3077-3084、1997

PIVKA−II精密測定(準用先区分D009-13)(区分D-2)

平成9年7月1日より適用の腫瘍マーカー(4)
保険点数:290点
検出感度:10mAU/ml
直線性:10〜75,000mAU/ml
製品名:ピコルミPIVKA-II
製造元:エーザイ(株) TEL 03-3817-3939
発売元:三光純薬(株) TEL 03-3863-3271
測定法:電気化学発光免疫測定法(ECLIA法) 100テスト/キット(96検体測定)
結果がでるまでの時間:約20分  自動化:可
同時再現性:0.7〜9.2% 日差再現性:3.6〜9.1%
検体:血清、血漿(EDTA,クエン酸ナトリウム)
【特徴】 抗PIVKA-IIモノクローナル抗体を結合したビーズを固相とし、電気化学的変化で発光するルテニウム錯体を標識した抗プロトロンビンポリクローナル抗体を用いたサンドイッチ法による電気化学発光免疫測定法である。
 PIVKA−IIは肝細胞癌の補助診断、肝硬変および慢性肝炎患者の経過観察、肝細胞癌患者の治療後の経過観察などに用いられている。本キットは、新しい方法により短時間で測定でき、しかも従来法に比べて最小検出感度は約6倍の10mAU/ml、測定範囲も約200倍の10〜75,000mAU/mlと広がり向上した。
【保険請求上の注意】 省略
【文献】 高津和子:ECL技術によるPIVKA-II測定試薬(ED038)の開発及び試薬の性能特性.臨床と研究、73(11):2656-2664、1996

癌関連ガラクトース転移酵素(GAT)精密測定(準用先区分D009-17)(区分D-1)

平成9年7月1日より適用の腫瘍マーカー(5)
保険点数:320点
カットオフ値:13.6U/ml
直線性:6〜90U/ml
製品名:コニカ「GAT−EIA」
製造発売元:コニカ(株) TEL 0425-89-8147
測定法:EIA法 100テスト/キット(シングル測定)
結果がでるまでの時間:約4時間  自動化:不可
同時再現性:1.8〜7.4% 日差再現性:4.7〜5.9%
検体:血清
【特徴】 本キットは、ポリスチレンビーズに固相化された抗GATモノクローナル抗体およびペルオキシダーゼ標識抗GATモノクローナル抗体を用いた2ステップサンドイッチEIA法により、血清中のGAT濃度を測定する。
 卵巣癌の疑いのある内膜症性嚢胞の症例に潜在する卵巣癌は,従来の診断法では鑑別が困難である。さらに、初期の卵巣癌には内膜症性嚢胞が併発しているものが多いこと,内膜症性嚢胞の悪性変化による卵巣癌の発生が報告されていることなどから,内膜症性嚢胞と診断された症例から、卵巣癌が発見されることがある。GATは両疾患を鑑別できる腫瘍マーカーとして有用であるとされてきた。
 すなわち、両疾患の鑑別におけるROC解析を卵巣癌診断に用いられている各種腫瘍マーカーについて比較検討したところ、ROC解析のAUC値についてみると、GATは81.3%、CA546は71.2%、CA125は69.7%、CA602は66.3%と他のマーカーに比べGATが有意に高い値を示した。両疾患の鑑別における診断効率はGATが0.584、CA546が0.437、CA72-4が0.402、CA602が0.334、CA125が0.319とGATが最も高値であった。
【保険請求上の注意】 ただし、内膜症性嚢胞を有する患者または内膜症性嚢胞が疑われる患者について、卵巣癌が疑われる場合のみ算定できる。癌関連ガラクトース転移酵素(GAT)精密測定は、EIA法による。
【文献】 宇田川康博、他:新たな腫瘍マーカーGATの卵巣腫瘍良・悪性の鑑別および治療モニタリングにおける有用性の検討.腫瘍マーカー研究会誌、10:37-40、1995

アデノウイルス抗原精密測定(角結膜上皮細胞中)(準用先区分D012-16)(D-2)

平成9年7月1日より適用の感染症血清反応(1)
保険点数:300点
検出感度:1×10ウイルス粒子/ml以上
製品名:アデノチェック
製造元:SA Scientific, Inc. San Antonio, Texas, USA
輸入元:明治乳業(株) TEL 03-3633-1557
発売元:参天製薬(株) TEL 06-321-7012
測定法:免疫クロマト法 10テスト/キット(シングル測定)
結果がでるまでの時間:10〜15分  自動化:不可
検体:角結膜上皮擦過物
【特徴】 本法は固相としてメンブランを用い、サンドイッチ反応を利用した免疫クロマト法である。検体中のアデノウイルス抗原と抗体(金コロイド標識)が反応したのち、移動し、さらに抗体に捕捉され、抗体−抗原−抗体の複合体を作り、その結果、金コロイドが凝集し、赤色の線が表示される。
 アデノウイルス結膜炎の臨床経過は2〜3週間と比較的短い。本キットでは発病1週間以内に検査を行うことが望ましい。本キットとアデノクロン(既承認品目)との相関をみると、本品の有病診断率は97.1%、無病診断率は92.3%、診断効率は94.0%とEIA法とほぼ同等であった。測定操作が簡易で、測定時間も10〜15分間と短時間である。
【保険請求上の注意】 省略
【文献】 斎藤 和香、他:免疫クロマトグラフィー法によるアデノウイルス結膜炎の新しい迅速診断法.臨床眼科、51(5):1073-1076、1997

白血球中サイトメガロウイルスpp65抗原(準用先区分D012-21)(区分D-1)

平成9年7月1日より適用の感染症血清反応(2)
保険点数:600点
基準範囲:陰性
製品名:CMV抗原「ミツビシ」
製造元:(株)ユカ・メディアス TEL 0298-87-1020
発売元:三菱化学(株) TEL 03-5463-0753
測定方法:免疫染色法 25テスト/キット(ダブル測定)
結果がでるまでの時間:3時間30分  自動化:不可
検体:全血(EDTA)
【特徴】 スライドグラス上に固定化された末梢血白血球中のCMVpp65抗原を間接酵素(アルカリフォスファターゼ)抗体法により検出する。検体スライドはデキストラン法で分離した白血球をサイトスピンして作製する。判定は、光学顕微鏡下で特異染色されたCMV抗原陽性白血球数を計数して行う。
 サイトメガロウイルス(CMV)の感染症は骨髄移植後、腎移植後、AIDSなどの免疫不全の患者で起こりやすい。CMVの検査法には従来よりPCR法、抗体検査法、ウイルス分離法、分離培養後に培養細胞に発現した前初期抗原を蛍光で検出するシェルバイアル法などがあるが、測定に時間がかかる点、早期診断ができない点、治癒後も長期間陽性を示す点など種々の問題点があった。
 本キットは、間接酵素抗体法によりスライドグラス上に固定化された末梢血白血球中のCMVpp65抗原を染める免疫染色法で、陽性の場合は赤〜赤紫色に核が染色される。CMV抗原血症を特異的に検出できることにより迅速なCMV感染症診断法として、早期診断および発症予測に有効である。 腎移植患者について本法、PCR法、抗体価測定、シェルバイアル法の4法について早期診断(発症前診断が可能であった)の症例について有病正診率を調べたところ、本法では89%(25/28例)、PCR法では81%(13/16例)、シェルバイアル法では13%(2/16例)、抗体価測定では0%(0/28例)と本法が良好であった。
 本法はこのように他法に比べ測定時間が短く、早期診断も可能で、臨床症状と良く相関し、陽性患者のモニタリングおよび治療効果の判定にも有用である。
【保険請求上の注意】 ただし、骨髄移植後又は腎移植後の患者又はHIV感染者に対して行った場合にみ算定できる。白血球中サイトメガロウイルスpp65抗原は免疫染色法による。
【文献】 田辺一成、他:腎移植後のサイトメガロウイルス(CMV)感染症に対する各種検査法の臨床的有用性について CMVアンチゲネミアアッセイ、PCR法、抗体価測定法、シェルバイアル法の比較検討.今日の移植、9:649-654、1996

抗セントロメア抗体精密測定(準用先区分D014-13)(区分D-1)

平成9年7月1日より適用の自己抗体検査(1)
保険点数:300点
基準範囲:Index値10未満
製品名:MESACUP CENP-Bテスト
製造・発売元:(株)医学生物学研究所 TEL 052-971-2081
測定法:ELISA法 46テスト/キット(ダブル測定)
結果がでるまでの時間:2時間30分  自動化:可
同時再現性:5〜15% 日差再現性:5〜15%
検体:血清
【特徴】 マイクロカップに、リコンビナントCENP-B蛋白を固相化し、これに反応した患者血清中の抗体をPOD標識抗ヒトIgGモノクローナル抗体の結合を介して検出する固相酵素免疫測定法である。
 抗セントロメア抗体は、染色体セントロメアに存在する抗核抗体で、1980年に諸井らにより発見された。抗セントロメア抗体は、全身性進行性強皮症の軽症型と考えられているCrest症候群および原発性胆汁性肝硬変症(PBC)で特異的に検出されるのでこれらの病態の診断や病型分類、予後の推定、治療指針の確立のために有用である。。抗セントロメア抗体の陽性率を見ると、PBCでは9.1〜47.6%、Crest症候群では38.1〜96.3%に検出されるのに対し、PSSでは0〜25.8%、ルポイド肝炎では0〜12.5%と陽性率は低い。他の膠原病について抗セントロメア抗体の陽性率を見ると、レイノー症候群で0〜67%、Sjogren症候群で0〜23%と高い陽性率を示したが、SLE、慢性関節リウマチ、混合性結合組織病、多発性筋炎・皮膚筋炎などではほぼ陰性であった。 従来、抗セントロメア抗体は間接蛍光抗体法によって検出されていたが、判定に熟練を要し客観的な判定が困難であったが、本キットでは抗セントロメア抗体の濃度をIndex値として表現でき、さらに多数検体を一度に処理することが可能である。
【保険請求上の注意】 ただし、原発性胆汁性肝硬変症又は強皮症の診断又は治療方針の決定を目的に用いた場合のみ算定できる。抗セントロメア抗体精密測定は、ELISA法による。
【文献】 宮川浩、他:自己免疫性肝疾患におけるIgGクラスMESACUP CENP-Bキット(ELISA)による抗セントロメア抗体の検出.医学と薬学、31(3):761-769、1994

抗カルジオリピン抗体精密測定(準用先区分D014-15)(区分D-1)

平成9年7月1日より適用の自己抗体検査(2)
保険点数:450点
基準範囲:10.0U/ml未満
直線性:120.0U/ml
製品名:MESACUPカルジオリピンテスト
製造・発売元:(株)医学生物学研究所 TEL:052-971-2081
測定法:ELISA法 40テスト/キット(ダブル測定)
結果がでるまでの時間:2時間30分  自動化:可
同時再現性:5〜15% 日差再現性:10〜15%
【特徴】 マイクロカップに、カルジオリピンと牛血清中のβ2-グリコプロテインI及びその他のグリコプロテインとで反応させた複合体を形成し固相化、これに反応した患者血清中の抗体をPOD標識抗ヒトIgGモノクローナル抗体の結合を介して定量する固相酵素免疫測定法である。
 抗カルジオリピン抗体は抗リン脂質抗体の一つであり、カルジオリピンに直接反応するのではなく、カルジオリピンと結合することで構造変化を起こしたカルジオリピンのコファクターを認識するものである。この抗カルジオリピン抗体の精密測定は、抗リン脂質抗体症候群(Antiphospholipid antibody syndrome:APS)の診断基準となる重要な検査である。APSは1983年にHughesらにより報告され、動・静脈血栓症、舞踏病、片頭痛、てんかん発作などの神経症状、習慣性流産、血小板減少症を呈し、抗リン脂質抗体が陽性で、血清梅毒反応が生物学的偽陽性を示す疾患である。通常、APSは膠原病、特に全身性エリテマトーデス(SLE)などと合併することが多い。抗リン脂質抗体には本キット以外に抗カルジオリピンβ2グリコプロティンI複合抗体(抗CLβ2 GPI抗体,ヤマサキット)があり、APSの診断に既に用いられている。本キットとヤマサの抗CLβ2 GPI抗体におけるAPSの有病正診率、無症正診率、診断効率はそれぞれ78.6/63.3%、93.2/74.6%、88.0/72.4%と本キットの方が良好である。本キットとヤマサの抗CLβ2GP沚R体の相関はY=0.7272X+19.05でr=0.749であった。
【保険請求上の注意】 なお、本検査と同区分「15」の抗カルジオリピンβ2グリコプロティンI複合体抗体を併せて実施した場合は、主なもののみ算定する。抗カルジオリピン抗体精密測定は、ELISA法による。
【文献】 岡田純、他:MESACUPカルジオリピンテストの有用性.医学と薬学、36(6):1389-1394、1996

淋菌核酸増幅同定精密検査(準用先区分D023-1)(区分D-1)

平成9年7月1日より適用の微生物核酸同定・定量検査
保険点数:350点
カットオフ値:1.2以上を陽性
製品名:ゴノレア・ダイナジーン
製造元:Abbott Laboratories. North Chicago, IL, U.S.A.
輸入・発売元:ダイナボット(株) TEL 03-3589-9580
測定法:LCR(Ligase Chain Reaction)法+EIA法 96テスト/キット(シングル測定)
結果がでるまでの時間:約3時間  自動化:可
検体:子宮頚部・尿道スワブ検体、尿
【特徴】 淋菌のクロモゾームOPaDNAを、ハプテンで標識した標的DNAに相補的な塩基配列を持つ4種類のプローブと耐熱性リガーゼを用い、LCR法により増幅させた後、マイクロパーティクルを用いた全自動EIA法により目的DNAを検出する。
 わが国における検討では臨床的感度は男性検体で97.0%、女性検体で100%、臨床的特異性は男性検体で100%、女性検体で99.7%とDNAプローブ法と同等以上の結果が得られた。本キットとDNAプローブ法に対する陽性一致率は、男性検体では90.0%、女性検体で60.0%、陰性一致率は、男性検体で89.4%、女性検体99.3%であった。米国における検討でも培養法を標準法として本法と比較すると、男性スワブ検体および女性スワブ検体の有病正診率はそれぞれ98.5%、97.3%で無病正診率は99.8%と99.6%と良好であった。本法では、検体の前処理操作を単純化し、 増幅産物の検出に、専用の全自動検出装置を用いるため、特別な技術を必要とせず、一般的な検査室で使用できる。
【保険請求上の注意】 なお、本検査と同区分「1」の淋菌核酸同定精密検査、区分「D012」の「11」淋菌同定精密検査又は区分「D018」細菌培養同定検査を併せて実施した場合は、主なもののみ算定する。淋菌核酸増幅同定精密検査は、LCR法による増幅とEIA法による検出を組み合わせた方法による。
【文献】 熊澤 浄一、他:Ligase Chain Reaction (LCR)法を用いたChlamydia trachomatis及びNeisseria gonorrhoeae検出用試薬の基礎的・臨床的検討.西日本泌尿器科、58:600〜610、1996

HIV-1核酸増幅定量精密検査(準用先区分D023-5)(区分D-1)

平成9年4月1日より適用の微生物核酸同定・定量検査
保険点数:750点
基準範囲:400コピー/ml以上
直線性:400〜750,000コピー/ml
製品名:アンプリコアHIV−1モニター
製造元:Roche Molecular Systems Inc. Somerville, New Jersey, USA
輸入元:日本ロシュ(株) TEL 03-5443-7045
測定方法:PCR法及び核酸ハイブリダイゼーション法
     24テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:6時間30分  自動化:一部可能
同時再現性:5〜10% 日差再現性:5〜10%
検体:血清及び血漿(クエン酸ナトリウム、EDTA)
【特徴】 逆転写PCR法にてRNAを増幅後、得られた増幅産物をマイクロプレートウエル内で段階希釈し、DNAプローブと反応後、酵素発色させ450nmの吸光度にて測定し、発色度から検体中のRNA量を求める。
 HIV感染者における病態の進展速度は感染者により異なることが知られていたが、近年、血中ウイルス量が多い感染者は少ない感染者に比べてAIDS発症までの期間が短いことが判明した。
 現在、HIV感染患者の診断、経過観察、予後の判定に用いられている検査法としては、CD4とリンパ球数減少を調べるT細胞サブセット検査(385点)、ウイルスの抗原量の増加をとらえるHIVp24抗原精密測定(600点)、コア抗体価の減少をとらえるHIVエンベロープ抗体価およびHIVコア抗体価精密測定(各750点)などがあるが、検出感度が不十分で、病態を正確に把握できないなどの欠点があった。
 本キットはPCRによる核酸増幅法を利用して、血清検体中のHIV-1 RNA量を測定するので、検出感度は400コピー/mlと従来のキットに比べきわめて鋭敏である。本法はHIV感染後の各ステージにおいて、高感度に血中のHIV-1 RNA量を測定できるため、感染者のHIVウイルス増殖活性を的確に検査することが可能となり、抗HIV剤を用いた治療の良い指標となる。このように、本キットは病態の経過観察、治療効果の評価、長期予後の判定に有用である。
【保険請求上の注意】 HIV-1核酸増幅定量精密検査は、区分「D023」微生物核酸同定・定量検査の「5」に準じて算定する。ただし、HIV感染者の経過観察に用いた場合にのみ算定する。
 なお、本検査と区分「D012」感染症血清反応の「20」に準じて算定するHIV-1核酸同定検査を併せて実施した場合には、主たるもののみ算定する。
 HIV-1核酸増幅定量精密検査は、PCR法と核酸ハイブリダイゼーション法を組み合わせた法による。
【文献】 Mulder J. et al:Rapid and simple PCR assay for quantitation of humam immunodefi ciency virus type 1 RNA in plasma:Application to acute retroviral infection, JCM, 32:292-300, 1994

インスリン様成長因子結合蛋白3型(IGFBP-3)精密測定(準用区分D008-31)(区分D-1)(製品1)/(区分D-3)(製品2)

平成9年3月1日より適用の内分泌学的検査
保険点数:495点
基準範囲:年齢により異なる
製品名(製品1):IGFBP-3測定キット「SRL」
 直線性:0.7〜6.3μg/ml
 製造元:Mediagnost GmbH, Tubingen, Germany
 輸入・発売元:(株)エスアールエル TEL 0425-26-7103
 測定法:RIA法 76テスト(38検体)/キット (ダブル測定)
 結果がでるまでの時間:51時間30分  自動化:不可
 同時再現性:1.9〜7.3% 日差再現性:0.5〜6.4%
製品名(製品2):IGFBP-3「コスミック」
 直線性:0.2〜32.5μg/ml
 製造元:Bioclone Australia Pty Ltd, Marrickville, Australia
 輸入・発売元:(株)コスミック コーポレーション TEL 03-5802-5971
 測定法:RIA法 100テスト/キット (ダブル測定)
 結果がでるまでの時間:5時間  自動化:不可
 同時再現性:3.8〜7.4% 日差再現性:5.7〜8.4%
検体:血清
【特徴】 血清中のIGFBP-3をヨウ化ヒトIGFBP-3(125I)と抗ヒトIGFBP−3ウサギ血清(第1抗体)を用いて免疫複合体を形成させ、第2抗体(抗ウサギイムノグロブリンヒツジ血清)を含む沈殿剤でB/F分離を行うRIA競合法である。
 成長ホルモンの成長促進作用は、インスリン様成長因子(IGF)を介して行われる。IGFは、体内ではIGFに特異的に結合する蛋白に結合している。そのIGF特異的結合蛋白の主なものが、IGFBP-3である。
 本キットは1990年にBlum, Rankeらによって開発されたIGFBP-3に特異的なラジオイムノアッセイのキットで、これを測定することにより成長ホルモン分泌不全症の診断とホルモンによる治療の指標となる検査である。従来の診断法としては、自発性GH分泌を反映するというIGFBP-Iが簡易マーカーとして測定されているが、バラツキがあり、再現性が悪いなどの問題点があった。本キットIGFBP-3の測定は、低年齢から成長ホルモン分泌不全症の診断に臨床的有用性が高く、日内変動が少なく、食事、ストレス、運動、栄養状態などの影響を受けず、安定した値が得られる。
【保険請求上の注意】 インシュリン様成長因子結合蛋白3型(IGFBP-3)精密測定は、区分「D008」内分泌学的検査の「31」に準じて算定する。ただし、インシュリン様成長因子結合蛋白3型(IGFBP-3)精密測定は、成長ホルモン分泌不全症の診断と治療開始時の適応判定に使用した場合に算定できる。なお、成長ホルモン分泌不全症の診断については、厚生省間脳下垂体障害研究班による「成長ホルモン分泌不全性低身長症診断の手引き」を、治療開始時の適応判定については、(財)成長科学協会「ヒト成長ホルモン治療開始時の適応基準」を参照すること。
 また、インシュリン様成長因子結合蛋白3型(IGFBP-3)精密測定を、区分「D008」内分泌学的検査の「31」に掲げるソマトメジンC精密測定と併せて実施した場合は、主たるものに限り算定する。
 インシュリン様成長因子結合蛋白3型(IGFBP-3)精密測定は、RIA法による。
【文献(製品1)】 横谷 進、他:血清中インスリン様成長因子結合蛋白−3(IGFBP-3)のRIA法による測定の基礎的および臨床的検討.ホルモンと臨床、42:75-82、1994
【文献(製品2)】 勝又規行、他:コスミック社製RIAキットを用いたインスリン様成長因子結合蛋白3型(IGFBP-3)測定の基礎的および臨床的検討.ホルモンと臨床(1997年5月号投稿中)

I型コラーゲンCテロペプチド精密測定(準用区分D009-4に準じB-001-3)(区分D-1)

平成9年2月1日より適用の腫瘍マーカー(1)
保険点数:450点(1項目の場合) 500点(2項目以上の場合)
基準範囲:4.5ng/ml未満
直線性:0.25〜50ng/ml
製品名:ピリジノリンICTP「中外」
製造元:Orion Diagnostica Espoo,Finland
輸入・販売元:中外製薬(株) TEL 03-3281-6611
測定方法:RIA法 100テスト/キット(ダブル測定)
結果がでるまでの時間:3時間  自動化:可
同時再現性:3.6〜5.0% 日差再現性:4.0〜8.7%
検体:血清、血漿(ヘパリン)
【特徴】 標準品または検体中のICTPと125I標識ICTPとを抗ICTP抗体の存在下で競合反応させた後、125I標識ICTPと結合した抗ICTP抗体を第二抗体により凝集沈殿させ、その沈殿物の放射能を計測する。標準曲線よりICTP濃度を求める。
 ICTP(ワンシーティピー、I型コラーゲンCテロペプチド Carboxyterminal telopeptide of type I collagen)はフィンランドのOulu大学のDr. Risteliらにより測定系が開発され、同国のオリオン社によりRIAによる二抗体法がキット化された。
 骨組織中のI型コラーゲンは破骨細胞により分解され、ペプチド断片となって血中に放出される。この時にI型コラーゲンのC末端から放出されたペプチドがICTPと呼ばれ、骨吸収(溶骨性)を反映する生化学的な骨代謝マーカーと考えられている。血液中のICTPの測定は、各種代謝性骨疾患および悪性腫瘍に伴う骨転移の診断および経過観察に有用であると報告されている。本キットは乳癌、肺癌、前立腺癌における骨転移の有無と血中ICTP濃度との関係に注目した。乳癌、肺癌、前立腺癌で骨転移をきたす症例は、血中ICTP濃度の骨転移のみられない症例に比較し、有意に高値(P<0.0001)を示す。血液中のICTP濃度のカットオフ値を4.4ng/mlと設定すると、乳癌、肺癌、前立腺癌の骨転移診断の感度は70.2%、特異度は82.3%、診断効率は77.5%と良好であった。また、本キットの利用により骨転移の有無が定量的にモニターできるので、骨シンチグラフィの実施回数も削減することができると思われる。
【保険請求上の注意】 I型コラーゲンCテロペプチド精密測定は、乳癌、肺癌、又は前立腺癌であると既に確定診断がされた患者について骨転移の診断のために当該検査を行い、当該検査の結果に基づいて計画的な治療管理を行った場合に限り、区分「D009」腫瘍マーカーの「4」を測定した場合に準じて、区分「B001」特定疾患治療管理料の「3」の悪性腫瘍特異物質治療管理料ロ(450点、500点)を算定する。
【文献】 森田 陸司、他:転移性腫瘍と骨代謝マーカー.腎と骨代謝、8:301-306、1995

シアリルLex(CSLEX)抗原精密測定(準用先区分D009-8)(区分D-1)

平成9年2月1日より適用の腫瘍マーカー(2)
保険点数:250点
基準範囲(正常参考値):8.0U/ml以下
直線性:0〜40U/ml
製品名:N-テスト CSLEX ニットーボー
製造元:日東紡績(株) TEL 0429-32-6015
発売元:ニットーボーメディカル(株) TEL 03-3660-8596
測定法:EIA法 100テスト/キット(45検体/ダブル測定)
結果がでるまでの時間:5時間  自動化:可
同時再現性:3.8〜11.8% 日差再現性:4.9〜13.5%
検体:血清
【特徴】 固相に固定した抗シアリルLex抗体(CSLEX)により、検体中のシアリルLex抗原を捕捉し、ついでペルオキシダーゼ標識抗体の添加により抗原抗体複合物を形成させる。これに酵素基質を加え、発色させてその吸光度を測定し、検量線から検体濃度を算出する。
 腫瘍マーカーシアリルLex(CSLEX)抗原はモノクローナル抗体CSLEXにより認識される腫瘍関連糖鎖抗原であり、その糖鎖はLewis式血液型Leaの構造異性体Lexの末端にシアル酸が付加したシアリルLex構造をとる。本抗原は乳癌患者血清で陽性となるが、健常人女性のCSLEX抗原のカットオフ値は8.0U/mlであり、カットオフ値以上の測定値を示す例に認められた有病正診率は他の腫瘍マーカーに比べ18.9%と高い。また乳腺良性疾患および全身・局所の炎症性疾患においては、それぞれ99.4%、98.8%、87.1%とCSLEXが最も良好な無病正診率を示した。CSLEX抗原は乳癌の進行度に関連して数値が上昇し、進行癌の診断に有用である。また、再発の乳癌においては、CSLEX、CA15-3、CEAの有病正診率はそれぞれ70.4%、53.5%、33.8%とCSLEXが高く、再発診断に優れている。本抗原と他の腫瘍マーカー、特にCEAと組み含わせると有病率は85.9%と向上し、大部分の再発乳癌の診断が可能である。また、本抗原の変動は治療効果をよく反映し、治療効果の判定に役立つ。
【保険請求上の注意】 シアリルLex(CSLEX)抗原精密測定は、区分「D009」腫瘍マーカーの「8」に準じて算定する。
 ただし、診療及び他の検査の結果から乳癌の患者であることが強く疑われる者に対して検査を行った場合に算定する。また、本検査と本区分「8」のCA15-3精密測定を併せて測定した場合には、主たるもののみ算定する。
【文献】 山本和子、他:乳癌における腫瘍マーカーSialyl-Lexの臨床的意義.東京女子医大雑誌、65:16-21、1995

子宮頸管粘液中顆粒球エラスターゼ(準用先区分D004-4)(区分D-1)

平成8年12月1日より保険適用の穿刺液・採取液検査
保険点数:200点
カットオフ値:1.6μg/ml
直線性:0.2〜3.2μg/ml
製品名:エラスペック
製造・発売元:(株)三和化学研究所 TEL 052-951-8130
測定法:EIA法 96テスト/キット(ダブル測定)
結果がでるまでの時間:約4時間30分  自動化:不可
同時再現性:0.6〜6.5% 日差再現性:3.9〜6.9%
検体:子宮頸管粘液
【特徴】 抗ヒト顆粒球エラスターゼ抗体をマイクロタイタープレートに固定し、ペルオキシダーゼ標識抗ヒト顆粒球エラスターゼ抗体を用いたサンドイッチEIA法により、子宮頸管粘液中の遊離型及び複合型の顆粒球エラスターゼを定量する。
 顆粒球エラスターゼは、病原性微生物の感染部位に遊走する好中球から放出され、検体中の濃度を測定することで起炎菌の種類に関係なく感染により発生した炎症の存在を特異的に知ることができる。切迫早産は絨毛羊膜炎(Chorioamnionitis CAM)、胎盤異常、頸管無力症などが原因であり、全妊婦の10%程度(12万人)に発生すると考えられている。そのうち子宮内感染であるCAMを原因とする切迫早産の発生頻度は53〜67%と高率である。CAMが関与する切迫早産群と関与しない切迫早産群において顆粒球エラスターゼとCRPを比較すると有病正診率76.0%/40.0%、無病正診率90.0%/90.0%、診断効率80.0%/54.3%と顆粒球エラスターゼの測定がCRPの測定よりも優れていた。本キットは、切迫早産妊婦の子宮頸管粘液中の顆粒球エラスターゼを測定することにより、CAMの前段階である頸管炎・膣炎の有無を判定し、CAM等の子宮内感染が関与している切迫早産を早期に発見し、鑑別することができる。本キットによりCAMが関与している切迫早産を鑑別することで、抗生物質投与の必要性を判断する指標となり、早産や前期破水の防止が期待できる。
【保険請求上の注意】 ただし、絨毛羊膜炎のために妊娠満22週以上満37週未満の妊婦で切迫早産の疑いがある者を対象として測定した場合にのみ算定する。
【文献】 寺尾俊彦、他:妊婦子宮頸管粘液中顆粒球エラスターゼ測定の臨床的意義−CAMの早期診断について−.産婦人科の実際、42:2021-2031、1993

心筋トロポニンT定性(準用先区分D007-15)(区分D-1)

平成8年11月1日より適用の血液化学検査
保険点数:85点
判定:赤色の線が2本の時は陽性
製品名:トロップT
製造元:Boehringer Mannheim GmbH, Mannheim, Germany
輸入・発売元:ベーリンガー・マンハイム株式会社 TEL 03-3432-3162
測定法:免疫クロマトグラフィー法 10テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:20分以内  自動化:不可
検体:全血
【特徴】 ストレプトアビジン−ビオチン反応系に基づく免疫クロマトグラフィー法を測定原理とし、テストストリップに吸着した2種のモノクローナル抗体により、心筋トロポニンTを特異的に検出する。
 トロポニンTは、心筋障害時にのみ特異的に検出されるため、急性心筋梗塞の診断とモニタリングに用いられている。トロポニンT精密測定(EIA法)は、既に平成5年7月に350点の保険点数がついている。本キットは免疫クロマトグラフィ法に基づいて、心筋トロポリンTを定性的に検出するキットである。本キットはドライケミストリー法を用いるため、測定時間も従来のEIA法の2時間に比べ20分と短縮され、特定の測定機器を用いることもなく、テストストリップに必要量の全血を滴下するという簡便な方法で測定できる。本キットと従来法の精密測定について773例で相関を見たところ、一致率は97.2%と良好であった。また本法とトロポニンT精密測定について比較すると、有病正診率は共に100%、無病正診率も共に86%と良好であった。本キットは測定時間が短いため、急性心筋梗塞が疑われる胸痛患者のうち、心電図で陰性または判定不能の患者に対し用いることにより、急性心筋梗塞確定診断が容易である。心筋トロポニンTは、心筋細胞が壊死した後も約10日間にわたり高濃度を保つので、他の生化学マーカーが正常濃度域に戻った後も診断が可能である。また、心筋トロポリンTと他の診断マーカーとの有病診断率を比較すると本キットは82.6%、CK67.4%、CK−MB56.5%、ミオグロビン89.1%と良好な結果を示している。なお、急性心筋梗塞以外で心筋トロポリンTが陽性となる疾患としては重症不安定狭心症、下肢血栓症、低カリウム血症、心筋炎、心内膜炎などがあり、鑑別が必要である。
【保険請求上の注意】 ただし、心筋トロポニンT定性は、診療の結果から心筋梗塞の患者であることが疑われるが、心電図による所見からのみでは診断がつかない者に対して検査を行った場合に、心筋梗塞の診断の確定又は転帰の決定までの間に1回を限度として算定する。すでに心筋梗塞の治療のために入院している患者に対して検査を行った場合は算定できない。
【文献】Francois Mach:Rapid bedside whole blood cardiospecific Troponin T immunoassay for the diagnosis of acute myocardial infarction. Am J Car, 75: 842-845, 1995

アレルゲン刺激性遊離ヒスタミン(HRT)精密測定(準用先区分D015-14)(区分D-1)

平成8年10月1日より適用の血漿蛋白免疫学的検査
保険点数:200点
基準範囲:15ng/ml以上を陽性
製品名:ルシカHRT
製造・発売元:旭化成(株) TEL 03-3259-5875 →ファルマシア(有) TEL 03-5365-8338
測定法:細胞反応測定法 200テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:2時間45分/テスト 自動化:不可
同時再現性:1.7〜6.3% 日差再現性:2.6〜5.6%
検体:全血(ヘパリン)
【特徴】 マイクロプレートウェル内に固相化したアレルゲン(6濃度)と全血検体を反応させ、遊離してくるヒスタミンを固相のグラスファイバーに吸着させる。洗浄後、アルカリ存在下に溶離させたヒスタミンと蛍光試薬を反応させ、蛍光強度を測定する。本キット(HRT検査:Histamine Release Test)は、患者から採取された全血とアレルゲン(抗原)を反応させ、好塩基球から新たに遊離されるヒスタミンの量を測定し、原因となるアレルゲンを同定する蛍光強度測定法である。グラスファイバーをヒスタミンの吸着体としているマイクロプレートを用いているため、1検体で10種類のアレルゲンに対する測定が可能である。アレルギー症状の発現は、アレルゲン(抗原)の刺激によりIgE抗体価が産生(特異的IgE検査)され、これが肥満細胞や好塩基球へ付着する。次に、同じアレルゲンに再暴露すると抗原抗体反応が起こり、抗原刺激によるヒスタミンが遊離(HRT検査)され、受容体を介してアレルギー症状を発現する。
 このようにHRT検査は、アレルゲン刺激により遊離されたヒスタミン量を測定し、さらに臨床症状の発現に最も近い位置で測定しているので、生体内のアレルギー反応を的確に反映するものとされている。本検査の対象となる疾患はアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、喘息、じんましん、アトピー性皮膚炎などである。本キットによるHRT検査と、従来法である特異的IgE検査について10種類の吸引アレルゲンと10種類の食物アレルゲンを比較したところ、有病正診率は77%と90%、無病正診率は86%と58%、診断効率は82%と71%となり、HRT検査では無病正診率と診断効率が良好であった。
【保険請求上の注意】 ただし、HRT測定を特異性IgEと同時に行った場合であっても、特異抗原の種類ごとに所定点数を算定し、2,000点を限度として算定するものとする。HRT測定は細胞反応測定法による。
【文献】 宮本昭正、他:多項目ヒスタミン遊離試験法HRTの特性とその臨床的意義について.医学と薬学、31:127-140、1994

心筋トロポニンT測定(準用先区分D007-16)(区分D-1)

平成8年10月1日より適用の血液化学検査
保険点数:90点
判定:赤色の線が2本の時は陽性
製品名:トロップT
製造元:Boehringer Mannheim GmbH, Mannheim, Germany
輸入・発売元:ベーリンガー・マンハイム株式会社 Tel 03-3432-3162
測定法:免疫クロマトグラフィー法 10テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:20分以内 自動化:不可
検体:全血
【特徴】 ストレプトアビジン−ビオチン反応系に基づく免疫クロマトグラフィー法を測定原理とし、テストストリップに吸着した2種のモノクローナル抗体により、心筋トロポニンTを特異的に検出する。
 トロポニンTは、心筋障害時にのみ特異的に検出されるため、急性心筋梗塞の診断とモニタリングに用いられている。トロポニンT精密測定(EIA法)は、既に平成5年7月に350点の保険点数がついている。本キットは免疫クロマトグラフィ法に基づいて、心筋トロポリンTを定性的に検出するキットである。本キットはドライケミストリー法を用いるため、測定時間も従来のEIA法の2時間に比べ20分と短縮され、特定の測定機器を用いることもなく、テストストリップに必要量の全血を滴下するという簡便な方法で測定できる。本キットと従来法の精密測定について773例で相関を見たところ、一致率は97.2%と良好であった。また本法とトロポニンT精密測定について比較すると、有病正診率は共に100%、無病正診率も共に86%と良好であった。本キットは測定時間が短いため、急性心筋梗塞が疑われる胸痛患者のうち、心電図で陰性または判定不能の患者に対し用いることにより、急性心筋梗塞確定診断が容易である。心筋トロポニンTは、心筋細胞が壊死した後も約10日間にわたり高濃度を保つので、他の生化学マーカーが正常濃度域に戻った後も診断が可能である。また、心筋トロポリンTと他の診断マーカーとの有病診断率を比較すると本キットは82.6%、CK67.4%、CK-MB56.5%、ミオグロビン89.1%と良好な結果を示している。なお、急性心筋梗塞以外で心筋トロポリンTが陽性となる疾患としては重症不安定狭心症、下肢血栓症、低カリウム血症、心筋炎、心内膜炎などがあり、鑑別が必要である。
【保険請求上の注意】 ただし、心筋トロポニンT定性は、診療の結果から心筋梗塞の患者であることが疑われるが心電図による所見からのみでは診断がつかない者に対して検査を行った場合に、心筋梗塞の診断の確定または転帰の決定までの間に1回を限度として算定する。すでに心筋梗塞の治療のために入院している患者に対して検査を行った場合は算定ではない。
【文献】 Francois Mach:Rapid bedside whole blood cardiospecific Troponin T immunoassay for the diagnosis of acute myocardial infarction. Am J Car 75: 842-845, 1995

糞便中ヘモグロビン精密測定(準用先区分D003-07)(区分D-2)

平成8年8月1日より適用の便検査
保険点数:80点
基準範囲:100ng/ml以下を陰性
製品名:IGオートHem
製造元:合同酒精(株) TEL 03-3575-2705
発売元:和光純薬工業(株) TEL 06-203-2034
測定法:金コロイド凝集法 660テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:40分 自動化:可
同時再現性:1.1〜3.9% 日差再現性:1.2〜2.9%
検体:糞便(糞便懸濁液)
【特徴】 抗体を結合させた金コロイドは赤紫色を呈するが、抗原(ヘモグロビン)と反応すると凝集し、赤紫色から灰色に変化する。この色調の変化は抗原濃度依存性があり、吸収ピーク(540nm)の吸光度の減少から抗原量を測定する。
 糞便中ヘモグロビン精密測定にはEIA法、RPHA法、ラッテクス凝集法、金コロイド凝集法、免疫クロマト法などがあり、本邦では20社以上からそれぞれのキットが市販されている。本キットは金コロイド凝集法により測定するが、「イムノゴールドHem」という定性法として平成3年7月に保険点数65点の承認を受けている。今回のキットはこれを精密測定に改良したもので、ブラシ型のフルター付専用採便容器を用いることにより、生化学の自動分析装置で測定することができるようにしたものである。本キットと他法との相関を見ると、ラテックス凝集比濁法との相関係数はR=0.977、EIA法との相関係数は0.915と良好であった。
【保険請求上の注意】 糞便中ヘモグロビン精密測定にあっては、ルミノールを用いた化学発光EIA法又は金コロイド凝集法による定量法を含む。
【文献】 成松聡美、他:金コロイド凝集法による便潜血検出法の開発およびその基礎的、臨床的検討.臨床病理、39:185-192、1991

クラミジアトラコマチス核酸増幅同定検査(準用先区分D023-1)(区分D-2)

平成8年8月1日より保険適用の微生物核酸同定・定量検査
保険点数:350点
カットオフ値:1.0未満
製品名:クラミジア・ダイナジーン
製造元:Abbott Laboratories. North Chicago, IL, U.S.A.
輸入・発売元:ダイナボット(株) TEL 03-3589-9580
測定法:LCR(Ligase Chain Reaction)法 96テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:3時間 自動化:可
検体:子宮頚部・尿道スワブ検体、尿
【特徴】 クラミジアトラコマチスのプラスミドDNAを、ハプテンで標識した標的DNAに相補的な塩基配列を持つ4種類のプローブと耐熱性リガーゼを用い、LCR法により増幅させた後、マイクロパーティクルを用いた全自動EIA法により増幅DNAを検出する。
 本法は、クラミジアトラコマチスに特異的なプラスミドDNAの一部をLCR法により増幅させ、EIA法により検出するため、感度・特異性の高い結果が得られる。本法では、増幅に必要な全ての試薬が一つのバイアルに封入されたユニットクローズドタイプの試薬を使用しているため、コンタミネーションによる偽陽性を防ぎ、特別な施設・設備を必要としない。また、検体の前処理操作を単純化し、全自動検出装置を用いるため、日常検査法として実施できる。男性尿検体と女性スワブ検体について本法とPCR法を比較すると、有病正診率では本法で97.7%と100%、PCR法で83.7%と76.1%、無病正診率では本法で100%と99.6%、PCR法で98.2%と97.3%である。このように本キットはPCR法に比較し、有病正診率および無病正診率が良好であった。
【保険請求上の注意】 クラミジアトラコマチス核酸増幅同定検査はPCR法又はLCR法による。
【文献】 熊澤浄一、他:Ligase Chain Reaction (LCR)法を用いたChlamydia trachomatis 及びNeisseria gonorrhoeae 検出用試薬の基礎的・臨床的検討.西日本泌尿器科、58:600〜610、1996

ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)精密測定(準用先区分D008-28)(区分D-1)

平成8年7月1日より保険適用の内分泌学的検査(1)
保険点数:400点
基準範囲:18.4pg/ml以下
直線性:4pg/ml〜2000pg/ml
製品名:シオノリアBNP
製造・発売元:塩野義製薬(株) TEL 06-381-7343
測定法:IRMA法 36テスト(18検体)/キット(ダブル測定)
結果がでるまでの時間:約24時間  自動化:不可
同時再現性:3.0〜7.6% 日差再現性:2.0〜3.7%
検体:血漿(EDTA)
【特徴】 2種類のモノクローナル抗体を用いたBNP抗体ビーズと125I標識抗体で,検体中のBNPをサンドイッチ様にはさんで反応させ,終了後,未反応の標識抗体を洗浄 ・除去し,ビーズの放射能を測定する。別途作成した標準曲線を用いて検体中のBNP量を求める。
 BNPは1988年に松尾らにより発見された心室ナトリウム利尿ペプチドで、心室で合成され、分泌される。BNPは強力なナトリウム利尿作用、血管拡張作用、レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系抑制作用を示し、血圧・循環体液量の調節にあずかるホルモンである。BNPの測定は心室機能を直接反映する血液検査で、急性心不全(急性心筋梗塞、急性心筋炎など)や慢性心不全の急性増悪(弁膜症、先天性心疾患、心筋症、高血圧性心疾患など)の心機能を評価する上でよい指標となる。
 類似した検査として、1981年に発見された心房から分泌される心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)があるが、現在は透析患者の至適体重、体液量、血圧管理の指標として用いられている。
【保険請求上の注意】 ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)精密測定は、入院中の患者に対し、急性心不全又は慢性心不全の急性増悪時の病態把握のために実施した場合に、区分「D008」内分泌学的検査の「28」に準じて算定する。
 ただし、同一週内に本検査を区分「D215」超音波検査の「3」UCGと併せて実施した場合は主たるもののみ算定する。BNP精密測定はIRMA法による。なお、本検査を実施した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に本検査(UCGを併せて実施した場合は、併せてUCGの実施日)の実施日を記載する。
【文献】 泰江弘文、他:健常者および心不全症例における血漿BNP濃度の検討.ホルモンと臨床、41:397〜403、1993

HCV特異抗体価測定による群別判定(準用区分D012-19)(区分D-1)

平成8年7月1日より保険適用の感染症血清反応(1)
保険点数:400点
製品名:イムチェック−HCV Gr「コクサイ」
製造発売元:国際試薬(株) TEL 078-231-4151
測定法:EIA法 96テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:2時間45分 自動化:可
同時再現性:2.80〜3.04% 日差再現性:3.65〜6.36%
検体:血清、血漿(抗凝固剤としてフッ化ナトリウム、ヘパリン、シュウ酸カリウム、EDTA・2ナトリウムおよびクエン酸ナトリウムが使用可)
【特徴】 EIA法の原理に基づいている。それぞれ別々のマイクロタイタープレートに感作したHCVのグループ1およびグループ2の各遺伝子に特異的な抗原であるC14-1およびC14-2抗原に検体中の各グループ特異抗体を反応させることにより、各グループ特異抗体価を測定し、両グループ抗体価を比較することにより、HCVの群別を行う。C型慢性肝炎に対するインターフェン(IFN)療法が数年来行われ、その経験によると、IFN治療効果の予測要因がHCVの遺伝子型およびウイルス量に関係することがわかった。即ち、HCVグループ2(C14−2抗原、遺伝子型2a,2b)ではHCVグループ1(C14−1抗原、遺伝子型1b)に比べ、IFNに有効例が多い。本キットはHCVをHCVグループ1(C14−1抗原、遺伝子型1b)とHCVグループ2(C14−2抗原、遺伝子型2a,2b)に分類するものである。HCVグループ1ではIFN治療に対して著効例が19.5%(256/1312)と無効例が多いのに対し、HCVグループ2は、著効例が59.2%(266/449)と有効例が多い。本法はPCR法による遺伝子型と比較して操作が簡便で、しかも短時間に測定することができる。本法とPCR法との一致率は、94.4%(1,253例中1,183例)と良好な相関を示す。このような見地からC型慢性肝炎を本キットによりHCVグループ1とHCVグループ2を鑑別し、INF治療に反映させることができる点で有用である。
【保険請求上の注意】 HCV特異抗体価測定による群別判定を行った場合は、区分「D012」感染症血清反応の「19」に準じて算定する。ただし、HCV特異抗体価測定による群別判定は、C型肝炎の診断が確定した患者に対し、C型肝炎の治療法の選択の目的で使用した場合に、患者1人につき1回に限り算定できる。また、患者から1回採取した血液を用いて、本検査を区分「D013」肝炎ウイルス関連検査の「5」から「13」までに掲げる検査と同時に行った場合であって、併せて3項目以上になる場合は、同区分の注に準じて算定する。HCV特異抗体価測定による群別判定はEIA法による。
【文献】 小原道法:HCV分子生物学の進歩とIFN療法への臨床応用、HCV関連抗体系の開発とHCVグループ分類、NS4領域特異抗体によるHCVのグループ分類(genotype1,2)とIFN反応性.日本臨床、52:1728〜1733、1994

HBe抗原精密測定(区分D013-6)(区分D-2)

平成8年7月1日より保険適用の肝炎ウイルス関連検査(1)
保険点数:200点
基準範囲:カットオフインデックスCOI 1.0未満 直線性:COI 200まで
製品名:エバテストHBeAg
製造元:ダイキン工業(株) TEL 06-373-7282
発売元:三共(株) TEL 03-3562-7506
測定法:エバネセント波蛍光免疫測定法(EV-FIA法) 60テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:8分  自動化:可
同時再現性:1.6〜5.3% 日差再現性:2.0〜4.8%
検体:血清及び血漿(クエン酸ナトリウム、EDTA、ヘパリン)
【特徴】 ビオチン-アビジン反応を利用したサンドイッチ法蛍光免疫測定を原理とし、固相表面に形成された抗体-抗原-ビオチン化抗体-蛍光標識アビジンをエバネセント波により選択的に励起し未結合(遊離)の蛍光標識アビジンを分離することなく抗原量に応じた蛍光強度が測定され抗原が迅速に検出される。
 本キットは操作が簡便で測定が迅速であり、EIA法と高い一致率を有している。HBe抗原陽性者は、無症候性キャリアで19.8%、慢性肝炎で52.0%、肝硬変で34.1%、肝細胞癌で35.8%である。B型肝炎ウイルス感染後の経過は一過性感染では70〜80%が不顕性感染で治癒し、20〜30%の急性肝炎になり、そのうち2%が劇症肝炎になる。急性肝炎は通常治癒するが、劇症肝炎の80%は死亡し、一部は肝硬変症に移行し、肝細胞癌になる。持続性感染では大部分が無症候性キャリアとなるが、一部は慢性肝炎から肝細胞癌になり死亡する場合もある。
【保険請求上の注意】 HBe抗原精密測定は、区分「D013」肝炎ウイルス関連検査の「6」として算定する。HBe抗原精密測定にあっては、EV-FIA法を含む。
【文献】 佐藤 研、他:エバネセント波を用いた蛍光免疫測定法エバネットEV20によるHBe抗原およびHBe抗体測定法の基礎的検討.医学と薬学、35:213〜222、1996

HBe抗体精密測定(区分D013-6)(区分D-2)

平成8年7月1日より保険適用の肝炎ウイルス関連検査(2)
保険点数:200点
基準範囲:阻止率%INH 50%未満 直線性:%INH 10〜90%
製品名:エバテストHBeAb
製造元:ダイキン工業(株) TEL 06-373-7282
発売元:三共(株) TEL 03-3562-7506
測定法:エバネセント波蛍光免疫測定法(EV-FIA) 60テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:8分 自動化:可
同時再現性:0.4〜4.1% 日差再現性:0.7〜3.4%
検体:血清及び血漿(クエン酸ナトリウム、EDTA、ヘパリン)
【特徴】 競合法による蛍光免疫測定を原理とし、固相表面に形成された抗体-抗原-蛍光標識抗体をエバネセント波により選択的に励起し未結合(遊離)の蛍光標識抗体を分離することなく抗体量に応じて蛍光強度が阻害され検体中の抗体が検出される。
 本キットは操作が簡便で測定が迅速であり、EIA法と高い一致率を有している。HBe抗体陽性者は、無症候性キャリアで77.5%、慢性肝炎で39.8%、肝硬変で54.9%、肝細胞癌で44.2%である。
【保険請求上の注意】 HBe抗体価精密測定は、区分「D013」肝炎ウイルス関連検査の「6」として算定する。HBe抗体価精密測定にあっては、EV-FIA法を含む。
【文献】 島 英明、他:全自動免疫装置「エバネットEV20」によるHBe抗原・抗体測定の検討.機器・試薬、19:125〜134、1996

TSH刺激性レセプター抗体精密測定(準用先区分D014-16)(区分D-1)

平成8年7月1日より保険適用の自己抗体検査(1)
保険点数:500点
基準範囲:180%未満
製品名:TSAbキット「ヤマサ」
製造・発売元:ヤマサ醤油(株) TEL 0479-22-9840
測定法:RIA法 48テスト/キット(46検体シングル測定)
結果が出るまでの時間:30時間 自動化:不可
同時再現性:2.7〜14.2% 日差再現性:9.5〜12.8%
検体:血清
【特徴】 被検血清をポリエチレングリコール処理して得られたイムノグロブリン分画とブタ甲状腺細胞を反応させ、産生されcAMP濃度をラジオイムノアッセイにより測定し、コントロール血清とのcAMP産生量の比率からTSAb活性(TSAb%)として表す方法である。
 バセドウ病は自己免疫疾患の1つとして考えられており、甲状腺細胞上のTSH(Thyroid Stimulating Hormone)レセプターに甲状腺刺激性自己抗体(Thyroid Stimulating Antibody:TSAb)が結合し、慢性的に甲状腺を刺激するため、甲状腺ホルモンの産生・分泌が亢進し、おこる。バセドウ病ではT3, T4, フリーT3, フリーT4が増加し、TSHが減少している。またTSAb抗体はバセドウ病で90%以上陽性になるので、診断上きわめて重要なマーカーである。これまでのTSAb抗体の測定では継代培養を行っているラット培養細胞やブタ培養甲状腺細胞などを用いているため細菌やかびの汚染、細胞の形質転換などの問題があった。本キットでは継代培養を行っていない新鮮なブタ甲状腺細胞を用いているため、組織培養操作を必要としない。このため細菌やかびの汚染、細胞の形質転換などの問題が起こらず安定した成績が得られる。本キットにおけるバセドウ病の有病正診率は92.02%、無病正診率は97.16%、診断効率は93.90%と良好であった。
【保険請求上の注意】 TSH刺激性レセプター抗体(TSAb)精密測定は、区分「D014」 自己抗体検査の「16」に準じて算定する。ただし、同区分の「16」のTSHレセプター抗体精密測定と同時に行った場合は、いずれか一方のみ算定する。TSAb精密測定は、RIA法による。
【文献】 吉村 弘、他:TSAb(thyroid stimulating antibody)測定キット「ヤマサ」を用いた臨的検討.ホルモンと臨床、42:81〜86、1994

抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)抗体価精密測定(準用区分D008-10)(区分D-1)

平成8年5月1日より保険適用の内分泌学的検査(1)
保険点数:245点
基準範囲:5U/ml未満
直線性:4〜256U/ml
製品名:リップ Anti−GAD ヘキスト
製造元:ヤマサ醤油(株) TEL 03-3668-8558
発売元:ヘキストジャパン(株) TEL 03-3479-7539
測定法:RIA法 100テスト/キット(43検体/ダブル測定)
結果がでるまでの時間:5時間 自動化:不可
同時再現性:1.4〜4.9% 日差再現性:2.8〜6.8%
検体:血清
【特徴】 ブタ脳由来のグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)を125I標識抗原としたRIA法である。検体中の抗GAD抗体を125I標識GADと反応させて生じた抗原抗体複合物を抗ヒトIgG血清で沈殿させる。沈査の放射能を測定し、標準曲線より検体中の抗GAD抗体価を読み取る。
 糖尿病にはIDDM(インスリン依存型糖尿病)とNIDDM(インスリン非依存型糖尿病)の2つに大別される。IDDMは若年者で発病し、発症様式が急激でケトアシドーシスを起こすが、その頻度は全糖尿病患者の5%と少ない。治療法はインスリン注射による血糖値のコントロールが行われている。この2つのIDDMかNIDDMかの鑑別困難な糖尿病が20〜30%存在する。現在までのところIDDMの診断にIRI(Immunoreactive Insulin)やCPR(C-Peptide Immunoreacivty)の低値、膵自己抗体の証明、HLA(DR4、DR9の確認)などを用いてきたが、良い指標となる検査ではなかった。
 1982年にBaekkeskovらは、IDDM患者血中に膵β細胞にある分子量64kDの蛋白に対する自己抗体があるのを発見し、これが後に抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)抗体であることが証明された。本キットはブタ脳より精製したGADを用いたRIA法で、IDDMの診断に有用である。GAD抗体研究会の治験結果では、抗GAD抗体の出現率は発症1年未満の日本人IDDMで58.1%(43/74)、NIDDMで5.3%(16/306)、健常者2.4%(11/461)であった。また他施設でのIDDMの発症初期においての抗GAD抗体の出現率は、国内では春日らが80%、赤沢らが89.5%、国外ではClare-Salzlerらが96%、Chenらが74%と高い出現率を報告している。このように抗GAD抗体を測定することによって糖尿病の早期にIDDMと診断し、適切なインスリン治療を開始することで、膵β細胞の破壊と糖尿病合併症を少なくすることができる。
【保険請求上の注意】 抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)抗体価精密測定は、「D008」内分泌学的検査の「10」に準じて算定する。ただし、GAD抗体価精密測定は、すでに糖尿病の診断が確定した患者に対し、インスリン依存型糖尿病(IDDM)の診断に用いた場合に算定できる。GAD抗体価精密測定はRIA法による。
【文献】 松葉育朗、他:IDDM、NIDDMおよび健常者における抗GAD抗体の測定−多施設における検討−.プラクティス、11:274〜278、1994

AFPのレクチン反応による分画比(AFP-L3%)(準用区分D009-15)(区分D-1)

平成8年5月1日より保険適用の腫瘍マーカー(1)
保険点数:300点
基準範囲:15%未満
直線性:総AFP値で20〜200ng/ml
製品名:AFP−LCA分画テストワコー
製造発売元:和光純薬工業(株) TEL 06-203-3741
測定法:レクチン親和電気泳動法と抗体親和転写法の組合せ
    10テスト/キット シングル測定
結果がでるまでの時間:5時間 自動化:不可
同時再現性:3.7〜7.7% 日差再現性:3.2〜7.1%
検体:血清
【特徴】 試料中のAFPをレンズマメレクチンA(LCA−A)を含むアガロースゲル中で、電気泳動してLCA−Aとの反応性により分画した後、抗AFP抗体結合膜に転写し、それを酵素免疫法で染色し、染色された分画をデンシトメータで測定し、AFP-L3%を測定する。
 AFPの検出方法としては、免疫電気泳動法、免疫拡散法、赤血球凝集反応などが使用されてきたが、さらに測定感度の高いRIA法とEIA法が導入されてきた。しかし測定感度が高くなるに従って慢性肝炎、肝硬変においても疑陽性を示す。本キットは、糖鎖に親和性のあるレクチンを利用してレクチン親和性による分画測定を可能とし、AFPをL1、L2、L3分画に分離が可能となった。肝細胞癌におけるAFP-L3%と総AFP値の有病正診率、無病正診率、診断効率はそれぞれ56%、94.9%、75.1%と58.7%、66.7%、62.6%となり、無病正診率と診断効率でAFP-L3%が良好であった。慢性肝炎と肝硬変におけるAFP-L3%と総AFP値の偽陽性率は比較すると、慢性肝炎で3.8%と42.3%、肝硬変で5.6%と29.6%となり、AFP-L3%では肝細胞癌に対する偽陽性率が低い(特異性が高い)。慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌の鑑別、肝細胞癌の早期診断、肝細胞癌の治療効果判定と予後の管理に有用であることが示された。
【保険請求上の注意】 AFP-L3%は、区分「D009」腫瘍マーカーの「15」に準じて算定する。なお、同一月内に本検査を同区分の「4」に掲げるα−フェトプロテイン精密測定又は同区分の「13」に掲げるPIVKA IIと併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。AFP-L3%は、電気泳動法及び抗体親和性転写法による。
【文献】 Kazuhisa Taketa, et al:A collaborative study for the evaluation of Lectin-reactive α-fetoproteins in early detection of hepatocellular carcinoma . Cancer Res, 53: 5419〜5423, 1993

ガストリン放出ペプチド前駆体(ProGRP)精密測定(準用区分D009-16)(区分D-1)

平成8年5月1日より保険適用の腫瘍マーカー(2)
保険点数:320点
カットオフ値:46.0pg/ml未満 直線性:0〜1000pg/ml
製品名(製品1):イムチェック−ProGRP
 製造元:東燃(株) TEL 03-3286-5090
 発売元:国際試薬(株) TEL 078-231-4151
製品名(製品2):セラムラボProGRP測定キット
 製造・発売元(B):テルモ(株) TEL 03-3374-8111
測定法:EIA法 96テスト/キット(シングル測定)
結果がでるまでの時間:2時間 自動化:可
同時再現性:2.7〜5.1% 日差再現性:2.3〜2.9%
検体:血清
【特徴】 本キットはマイクロプレートウェルに固定したProGRPに対するモノクローナル抗体により、検体中のProGRPを捕捉し、ついでペルオキシダーゼ標識抗体の添加により、抗原抗体複合体を形成させる。これに酵素基質を加え、発色させてその吸光度を測定する。得られる検量線よりProGRP濃度を算出する。
 ガストリン放出ペプチド(GRP:Gastrin-Releasing Peptide)は、1978年Mc Donaldらが発見したガストリン分泌促進作用を有する脳腸ペプチドである。1983年、国立がんセンターの山口らが肺小細胞癌でGRPが高頻度、高濃度に検出されることを証明し、肺小細胞癌患者における優れた腫瘍マーカーであることを発見した。しかし、GRPは不安定で測定が困難であったため、ガストリン放出ペプチド前駆体(ProGRP)に注目したところ、安定な物質で肺小細胞癌の腫瘍マーカーとして有用であることが確認された。
 肺癌は組織型別では扁平上皮癌、腺癌、小細胞癌、大細胞癌に分類されるが、小細胞癌は肺癌の約15%を占めている。肺小細胞癌は他の肺癌に比較して増殖が早く、早期に遠隔転移を起こすため、進行癌(進展型)で発見されることが多い。ProGRPとNSEを比較すると、臨床的有病率は65.2%と57.6%、臨床的無病率は96.0%と92.2%、診断効率は88.8%と84.1%と本キットの方が良好で、またROC解析でも有意差が認められている。
 全国16施設での臨床試験により、ProGRPは肺小細胞癌で非常に特異的(特異性96%)に上昇し、その平均値はカットオフ値(46.0pg/ml)の34倍に達した。肺小細胞癌の早期の限局型についてのみに注目してみると有病正診率はProGRPで59.5%とNSEで40.3%となりProGRPが良好で早期発見に有用である。また肺小細胞癌の各ステージ別陽性率においてもProGRPとNSEについてみると肺小細胞癌のI期、II期、IIIA期値の早期肺癌の有病診断率はそれぞれ35.5%と15.4%、50.0%と17.6%、58.3%と29.2%とProGRPが高い。
 再発についてはProGRPは画像診断を用いた臨床的再発確認時よりも数ヵ月早く高値を示す。早期発見された限局型肺小細胞癌に対する、多剤抗癌剤を用いたCAV-PVP療法では限局型で著効38.6%、有効41.4%、不変20.2%と奏効率も高い。
【保険請求上の注意】 ガストリン放出ペプチド前駆体(ProGRP)精密測定は「D009」腫瘍マーカーの「16」に準じて算定する。ただし、本検査を同区分の「16」に掲げる神経特異エノラーゼ精密測定と併せて実施した場合には主たるもののみ算定する。ProGRP精密測定は、EIA法による。
【文献】 児玉哲郎、他:ELISA法による血清ProGRP測定の臨床的意義.医学と薬学、32:87-97、1994

HCV核酸定量検査(準用区分D012-17)(区分D-2)

平成8年5月1日より保険適用の感染症血清反応(1)
保険点数:750点
直線性:103コピー/ml〜107コピー/ml
製品名:アンプリコアHCVモニター
製造元:Roche Diagnostic Systems Inc.Buranchburg, NJ, USA
輸入・販売元:日本ロシュ株式会社 TEL 03-5443-7045
測定方法:PCR法 24テスト/キット(シングル測定)
結果がでるまでの時間:約6時間 自動化:半自動化
同時再現性:2.0〜5.7% 日差再現性:1.5〜3.6%
検体:血清及び血漿(ACD、EDTA)
【特徴】 HCV RNAの5'非翻訳領域の遺伝子を鋳型として、定量用内部標準RNAを検体に添加し核酸抽出を行い、逆転写PCRとマイクロプレートウェル・核酸ハイブリダイゼーションおよび酵素発色反応を用いて血中のHCV-RNA量を測定する。
 検出感度が103コピー/mlと高く、C型肝炎において低濃度から高濃度の広い範囲でHCV-RNA量を測定できる。酵素による増幅DNAのコンタミネーション防止技術が装備されており、精度の高い定量測定が可能である。
【保険請求上の注意】 HCV核酸定量検査は、C型肝炎の治療法の選択及び治療経過の観察に用いた場合にのみ算定できる。なお、治療経過の観察の場合において、本検査と同区分の「2」に掲げるHCV核酸同定検査と併せて実施した場合には、主たるもののみ算定するものとする。HCV核酸定量検査は、分岐DNAプローブ法又はPCR法による。
【文献】 玉造 滋、他:アンプリコアHCVモニターの基礎検討.医学と薬学、23:1341〜1347、1994

グリコアルブミン測定(準用区分D007-17)(区分D-2)

平成8年2月1日より保険適用の血液化学検査(1)
保険点数:100点
基準範囲:13〜21% 直線性:2〜64%
製品名:リケット・G-Alb
製造・発売元:日本ケミファ(株) TEL 03-3851-2974
測定法:アフィニティークロマトグラフィー法・免疫比濁法
    50テスト/キット(シングル測定)
結果がでるまでの時間:1時間30分 自動化:一部可
同時再現性:5%以下 日差再現性:5%以下
検体:血清、血漿、尿(ヘパリン、NaF、EDTA)
【特徴】 ホウ酸アフィニティーミニカラムにより、検体中の糖化アルブミンと非糖化アルブミンに分画する。分画したアルブミンは抗ヒトアルブミン抗体と反応させ生じた抗原抗体複合物の濁度を測定し、検体中のグリコアルブミンの割合を求める。
 糖尿病の診断において過去1〜3カ月の血糖コントロールの指標としてグリコヘモグロビンの測定、さらに短期的な過去1〜2週間の血糖コントロールの指標としてグリコアルブミン及びフルクトサミンが用いられている。フルクトサミンとグリコアルブミンの測定を比較すると、共存物質の影響を受けにくい点で、グリコアルブミンがすぐれている。本キットはホウ酸アフィニティーカラムを用いて特異的にグリコアルブミンを分離し、グリコアルブミンの測定に免疫比濁法を用いる。また、特異性が高く、自動分析装置への適用も可能である。本キットでの健常人、糖尿病患者、境界型患者(IGT)における測定値を比較した結果、健常人、糖尿病患者、境界型患者(IGT)の間で各々、有意差が認められ、血糖コントロール状況の把握のみならず、耐糖能障害を判断するうえで有用である。また、HPLC(1カラム及び2カラム)法との相関係数は各々r=0.938及びr=0.991で良好である。
【保険請求上の注意】 グリコアルブミンは、HPLC(2カラム)またはHPLC(1カラム)−発色法またはアフィニティークロマトグラフィー・免疫比濁法によるグリコアルブミン装置を用いて測定した場合またはEIA法により測定した場合に算定する。ただし、フルクトサミンを同時に測定した場合には、一方の所定点数のみ算定する。
【文献】 福澤尚子、他:アフィニティークロマトグラフィー法による血清糖化アルブミン測定の基礎的並びに臨床的検討.医学検査、42:1933〜1938、1993

前立腺酸性フォスファターゼ精密測定(準用区分D009-9)(区分D-2)

平成8年2月1日より保険適用の腫瘍マーカー(1)
保険点数:285点
基準範囲:0.04〜1.0 IU/l
直線性:130IU/lまで
製品名:N-アッセイPAPニットーボー
製造元:日東紡績(株) TEL 03-3660-8591
発売元:ニットーボーメディカル(株) TEL 03-3660-8595
測定法:免疫阻害法 140テスト(70検体)/キット(ダブル測定)
結果が出るまでの時間:10分 自動化:可
同時再現性:0.67〜5.25% 日差再現性:1.05〜4.50%
検体:血清
【特徴】 前立腺酸性フォスファターゼ(PAP)活性を特異的に阻害するモノクローナル抗体を用い、PAP活性を阻害した残存活性と同時に求めておいた総酸性フォスファターゼ活性との差からPAP活性を算出する。酵素活性は基質2,6-ジクロロ-4-アセチルフェニルリン酸を用い、酵素反応により遊離した2,6-ジクロロ-4-アセチルフェノールの吸光度増加速度を340nmで測定し求める。
 前立腺性酸性フォスファターゼ(PAP)、前立腺特異抗原(PSA)およびγ-セミノプロテイン(γSM)は、前立腺癌の診断および経過観察に用いられている。PAPは肝、骨、血球などからも酸性フォスファターゼが流出するため、特異性に難点があった。本キットは、総酸性フォスファターゼ値より抗ヒトPAPモノクローナル抗体を入れて測定された非前立腺酸性フォスファターゼ値を引いてPAPを求める。本法とPAPのEIAアボットとの比較で、高活性領域でも低活性領域でも良好な相関をみている。前立腺癌の未治療35、既治療40、前立腺肥大症47、その他を測定した結果、PAPのEIAアボットとほぼ一致した。非前立腺疾患(良性、悪性)での陽性はなかった。本法はモノクローナル抗体を用いた阻害反応を溶液中で行なうため、初速度法によって測定可能である。従って従来のEIA,RIA法等と比べ、専用の分析機器、特別の施設等を必要とせず操作も簡便であり、生化学自動分析装置にも適用可能で、測定時間も1検体あたり約10分間と従来法より迅速である。なお、PAP測定においてEIA法との相関(R=0.996〜0.999)も良好である。
【保険請求上の注意点】 腫瘍マーカーにおける精密測定とは、RIA、EIA、ELISA、TR-FIA、IRMA、LA(測定機器を用いるもの)、LPIA、PAMIA、CLIAおよびネフェロメトリーの各法による測定をいう。
 ただし、前立腺酸性フォスファターゼ精密測定にあっては、免疫阻害法を含み、サイトケラチン19フラグメント精密測定にあっては、IRMA法またはEIA法によるものをいう。
【文献】 坂本善郎、他:免疫阻害法による前立腺由来酸性フォスファターゼ(PAP)測定法の検討,医学と薬学、30:349〜355、1993

HBs抗体価精密測定(準用区分D013-4)(区分D-2)

平成8年2月1日より保険適用の肝炎ウイルス関連検査(1)
保険点数:185点
基準範囲:5mIU/ml未満
直線性:1500mIU/mlまで
製品名:エバテストHBsAb
製造元:ダイキン工業(株) TEL 06-373-7282
発売元:三共(株) TEL 03-3562-7506
測定法:エバネセント波蛍光免疫測定法 60テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:8分 自動化:可
同時再現性:2.9〜8.1% 日差再現性:1.9〜7.3%
検体:血清、血漿・全血(クエン酸ナトリウム及びヘパリン)
【特徴】 ビオチン-アビジン反応を利用したサンドイッチ法による蛍光免疫測定法を原理とする試薬である。固相担体内を全反射するように励起光を照射し全反射点で外にしみ出るエバネセント波を発生させることにより、固相表面に形成された抗原-抗体-ビオチン化抗原-蛍光標識アビジンを選択的に励起し未結合(遊離)の蛍光標識アビジンを分離することなく抗原量に応じた蛍光強度が測定され抗原が迅速に検出される。
 HBs抗体の測定法にはRIA、EIA、LA、LPIAなど多数あるが、本キットはサンドイッチ法による蛍光免疫測定法を原理とした新しい方法である。本法によるHBs抗原精密測定は既に保険の適用になっている。
 本法は測定時間も短く、測定範囲も従来法に比べレンジが広い。EIA法との一致率は97.4%と良好である。本キットは全血、血漿、血清での測定が可能であり、簡便性および迅速性の点で優れている。
【保険請求上の注意】 HCV抗体価精密測定(構造蛋白および非構造蛋白抗原)にあってはPHA法を、HBs抗体価精密測定にあってはEV-FIA法を含み、HBs抗原精密測定にあっては、EV-FIA法を含み、HBV核酸同定精密測定にあっては核酸ハイブリダイゼーション法によるものである。
【文献】 島英明、他:全自動免疫装置「エバネットEV20」によるHBs抗原・抗体測定の検討.機器・試薬、18:713〜722、1995

HBV核酸定量測定(準用区分D013-11)(区分D-1)

平成8年2月1日より保険適用の肝炎ウイルス関連検査(2)
保険点数:500点
カットオフ値:0.7Meq/ml未満
直線性:0.7-6000Meq/ml
製品名:クォンティプレックスHBV-DNA
製造元:Chiron Corp. Emeryville, California, U.S.A.
輸入・発売元:第一化学薬品(株) TEL 03-3272-0671
測定法:分岐DNAプローブ法 84テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:19時間 自動化:不可
同時再現性:2.8〜19.5% 日差再現性:9.6〜19.8%
検体:血清
【特徴】 血清中のB型肝炎ウイルス遺伝子(HBV-DNA)をプレートに固定したそれと相補的な配列を持つ合成DNAで固定し、さらに枝分かれしたDNA鎖を有する合成DNA(分岐DNA)をシグナルの増幅に用い、検出系に化学発光を用いる。
 本キットは検出感度が高く、HBウイルスを低濃度領域まで定量測定が可能である。またHBVサブタイプ間の定量値の差が認められないため、正確なHBV定量ができる。その他HAV、HCVなどの類似ウイルスとの交差反応性は認められず、特異性が高い。本キットはB型肝炎患者の病態把握および経過観察、B型慢性肝炎の急性憎悪期の把握、B型慢性肝炎の抗ウイルス剤の適応判定および治療モニター、HBVキャリアの経過観察などに有用であり、従来B型慢性活動性肝炎に対するインターフェロンの適用基準として用いられているDNAポリメラーゼおよびHBV核酸同定精密測定と同等以上の意義があると思われる。またインターフェロン療法とB型慢性肝炎、活動性肝炎の適応について本キットの測定キットも選択基準の中に加えることが望まれる。
【保険請求上の注意】 HBV核酸定量測定は分岐DNAプローブ法による。HBV核酸同定精密測定、DNAポリメラーゼ及びHBV核酸定量検査を同時に測定した場合は、主たるもののみを算定する。
【文献】 細坪秀夫、他:化学発光を用いた分岐DNAプローブ法による血清中B肝炎ウイルスDNA(HBV-DNA)の定量.医学と薬学、31:743〜751、1994

(1→3)-β-D-グルカン(点数区分D012-14)(区分D-1)

平成7年12月1日より保険適用の感染症血清反応(1)
保険点数:400点
cut-off値:20pg/ml以下
直線性:1.9〜60pg/ml
製品名:ファンギテックGテスト
製造発売元:生化学工業(株)TEL 03-3270-0536
測定法:発色合成基質法18テスト/キット(ダブル測定)
結果がでるまでの時間:1時間30分以内 自動化:不可
同時再現性:7%以下 日差再現性:1.25〜2.85%
検体:血清,血漿(ヘバリン)
【特徴】 真菌由来の(1→3)-β-D-グルカンに,カブトガニのG因子系血液凝固因子(血球抽出成分)を加えると,血液凝固因子が活性化し一連の反応の後,発色合成基質が加水分解し発色する.この反応を利用し血清又は血漿中の(1→3)-β-D-グルカンを測定する.
 深在性真菌症は内臓,血液,リンパを介する真菌感染で全身の免疫低下を来す疾患や内分泌疾患などで抵抗力の減弱した患者に見られる日和見感染である.深在性真菌症は,白血病や悪性リンパ種,各種癌,エイズなどの基礎疾患を有する患者において,カンジダ菌,アスペルキルス菌,ムコール菌などによる真菌性敗血症,肺カンジダ症,肺ムコール症,真菌性髄膜炎,真菌性心外膜炎などの重篤な疾患を来すので,早期発見,早期治療(フルシトン,フルコナゾール,ミコナゾールなど)が重要である.本キットは真菌全般に共通して存在する抗原〔(1→3)-β-D-グルカン〕を測定するもので,深在性真菌症患者を一括して短時間かつ高感度にスクリーニングし,他のグラム陽性菌,グラム陰性菌とは全く反応しない.深在性真菌症の早期診断は,従来から実施されている血液培養検査では48〜72時間,個々の真菌に対する抗体検査で4〜5時間かかるのに対し,ファンギテックGテストは90分で全ての真菌をまとめて診断することができる点で優れている.本検査のカットオフ値を20pg/mlとすると,有症正診率90.2%(37/41),無症正診率100%(85/85),診断効率96.8%(122/126)と他キットに比べて高い.本キットにより細菌と真菌の混合感染,複数の真菌感染例での真菌感染の診断,抗真菌剤,抗生物質等を併用する抗真菌剤療法の効果判定にも出来る.
【保険請求上の注意】 ただし,(1→3)-β-D-グルカンは,深在性真菌感染症が疑われる患者に対する治療法の選択または深在性真菌感染症に対する治療効果の判定に使用した場合に算定できる.なお,本検査を同区分の「11」に掲げるカンジダ抗原もしくはD-アラビニトール,同区分の「12」に掲げるクリプトコックス・ネオフォルマンス抗原または同区分の「12」に準じて算定するアスペルギルス抗原と併せて実施した場合は,主たるもののみ算定する.(1→3)-β-D-グルカンは,発色合成基質法による.
【文献】 T. Obayashi et al : Plasma (1→3)-β-D-glucan measurement in diagnosis of invasive deep mycosis and fungal febrile episodes. Lancet 345, 8941: 17〜20, 1995

血清アミロイドA(SAA)蛋白精密測定(点数区分D015-3)(区分D-1)

平成7年12月1日より保険適用の血漿蛋白免疫学的検査(1)
保険点数:50点
基準範囲:8μg/ml以下
直線性:30.0μg/mlまで
製品名:LX試薬“栄研”SAA
製造・発売元:栄研化学(株) TEL 03-3813-5401
測定法:ラテックス凝集法100テスト/キット(シングル測定)
結果がでるまでの時間:約10分 自動化:可
同時再現性:2.12〜6.38% 日差再現性:4.26〜4.99%
検体:血清
【特徴】 ラテックス粒子に感作させた抗ヒトSAA抗体と検体中の血清アミロイドA(SAA)が起こすラテックス凝集反応を波長660nmの濁度(散乱光強度)変化としてとらえる.この原理により,標準液から検量線を求め,検体中のSAAをレート的に定量する.
 急性炎症に対するマーカーとして,CRP(C反応性蛋白),AAG(α1-酸性糖蛋白),HPT(ハプトグロビン),AAT(α1-アンチトリプシン)などがあるが,これだけでは十分とはいえない.今回,分子量約12万ダルトンの蛋白で続発性アミロイドーシスで種々の臓器に沈着する血清アミロイドA(SAA)蛋白が新しい炎症マーカーとして開発された.
 SAA蛋白は,ラテックス粒子に感作させた抗ヒトSAA抗体と検体中のSAAが起こす抗原抗体反応をラテックス凝集法により精密測定する.ROC曲線によりSAA, CRP, AAG, HPT, AATについて診断効率を比較検討したところ、炎症と非炎症の鑑別および炎症疾患の急性期と回復期の鑑別について,SAAが他の炎症マーカーに比べ最も優れていた.また,炎症疾患でCRPが陰性症例においてもSAAの陽性率は65.6%となり,特にRSウイルスによる急性気管支炎や急性肺炎,風疹,エコーウイルス性髄炎などでは高い陽性率が認められた.SAAとCRPを比較してみると,有病診断率は94.6%と88.7%,無病診断率は98.6%と84.9%とCRPに比べSAAが良好であった.このようにSAAは炎症疾患の変化を鋭敏に反映し,炎症疾患の診断・経過観察の指標として優れており,また微量測定が可能であるため小児患者にも利用できる.
【保険請求上の注意】 血清アミロイドA(SAA)蛋白精密測定は,区分「D015」血漿蛋白免疫学的検査の「3」に準じて算定する.ただし,本検査を同区分の「1」に掲げるC反応性蛋白(定性)または同区分の「2」に掲げるC反応性蛋白(定量)と併せて測定した場合には,主たるもののみ算定する.
【文献】 香坂隆夫、他:ラテックス凝集免疫測定法による血清アミロイA(SAA)測定の臨床的検討.医学と薬学、31(5):1191〜1210、1994

D-Dダイマー精密測定(点数区分D006-12)(区分D-2)

平成7年11月1日より保険適用の出血・凝固検査(1)
保険点数:300点
基準範囲:0.5μg/ml以下
直線性:100μg/mlまで
製品名:エバテストDダイマー
製造元:ダイキン工業(株)TEL 06-373-7282
発売元:三共(株)TEL 03-3562-7506
測定法:エバネセント波蛍光免疫測定法 60テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:8分 自動化:可
同時再現性:3.6〜6.3% 日差再現性:1.9〜6.2%
検体:血清、血漿及び全血(抗凝固剤の種類:クエン酸ナトリウム及びヘパリン)
【特徴】 サンドイッチ法による蛍光免疫測定法を原理とする試薬である。固相担体内を全反射するように励起光を照射し全反射点で外にしみ出るエバネセント波を発生させることにより、固相表面に形成された抗体-抗原-蛍光標識抗体を選択的に励起し未結合(遊離)の蛍光標識抗体を分離することなく抗原量に応じた蛍光強度が検出され抗原濃度が迅速に続き測定される。
 D-Dダイマー精密測定のキットは既にEIA法によるものが3品目、ラテックス凝集法によるものが2品目すでに承認され販売されている。今回のキットはサンドイッチ法による蛍光免疫測定法を原理とした新しい方法で、固相担体内を全反射するように励起光を照射し、全反射点で外にしみ出るエバネセント波を測定し、抗体-抗原-蛍光標識抗体の蛍光強度が抗原量に比例して増加することを原理としている。本法は測定時間においてEIA法の40〜140分に比べ8分と早く、測定範囲も従来法に比べレンジが広く、EIA法との相関もr=0.991と良好である。また全血での測定が可能であることなど簡便性および迅速性の点で優れている。
【文献】 小池克昌、他:エバテストDダイマーによる安定化フィブリン分解産物の測定.医学と薬学、33:997〜1002、1995

HBs抗原精密測定(点数区分D013-4)(区分D-2)

平成7年11月1日より保険適用の肝炎ウイルス関連検査(1)
保険点数:185点
基準範囲:1U/ml未満
直線性:1000U/mlまで
製品名:エバテストHBsAg
製造元:ダイキン工業(株)TEL 06-373-7282
発売元:三共(株)TEL 03-3562-7506
測定法:エバネセント波蛍光免疫測定法 60テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:8分 自動化:可
同時再現性:2.2〜6.2% 日差再現性:1.4〜3.1%
検体:血清、血漿及び全血(抗凝固剤の種類:クエン酸ナトリウム及びヘパリン)
【特徴】 ビオチン-アビジン反応を利用したサンドイッチ法による蛍光免疫測定法を原理とする試薬である。固相担体内を全反射するように励起光を照射し全反射点で外にしみ出るエバネセント波を発生させることにより、固相表面に形成された抗体-抗原-ビオチン化抗体蛍光標識アビジンを選択的に励起し未結合(遊離)の蛍光標識アビジンを分離することなく抗原量に応じた蛍光強度が測定され抗原が迅速に検出される。
 HBs抗原の測定法にはRIA, IRMA, EIA, ELISA, LA, LPIAなど多数ある。今回のキットはサンドイッチ法による蛍光免疫測定法を原理とした新しい方法で、固相担体内を全反射するように励起光を照射し全反射点で外にしみ出るエバネセント波を測定し、抗体-抗原-蛍光標識抗体の蛍光高度が抗原量に比例して増加することを原理としている。本法は測定時間においてEIA法の30〜120分に比べ8分と早く、測定範囲も従来法に比べレンジが広く、EIA法との一致率も99.7%と良好である。また全血での測定が可能であることなど簡便性および迅速性の点で優れている。
【文献】 島 英明、他:全自動免疫装置「エバネットEV20」によるHBs抗原・抗体測定の検討.機器と試薬、18:713〜722、1995

ヒアルロン酸(区分D007-32)(区分D-2)

平成7年10月1日より保険適用の血液化学検査(1)
保険点数:350点
カットオフ値:肝硬変で130μg/l
直線性:10〜500μg/l
製品名:ファルマシアHAテスト
製造元:Pharmacia AB Uppsala,Sweden
輸入・発売元:ファルマシア(株)03-5402-8750
測定法:バインディングプロテインアッセイ法 50テスト/キット(ダブル測定)
結果がでるまでの時間:2時間  自動化:可
同時再現性:4.1〜5.8% 日差再現性:4.5〜6.4%
検体:血清および血漿(ヘパリン)
【特徴】 ラジオアッセイ法の原理に基づき、ヒアルロン酸と特異的に結合する性質をもつウシ由来のヒアルロン酸結合蛋白を利用したバインディングプロテインアッセイ法である。慢性肝炎で肝繊維化が進展すると伊東細胞などによるヒアルロン酸産生が亢進し、血清中のヒアルロン酸濃度が上昇することから、肝繊維化の程度を推定し病態の経過観察に有用である。特に慢性活動性肝炎の確定診断として肝生検を実施する前に血清ヒアルロン酸を測定してインターフェロン療法適応外の肝硬変を除外診断することが可能である。ROC曲線を用いて慢性肝炎と肝硬変を鑑別するとヒアルロン酸測定は有病正診率97.1%、無病正診率90.1%、診断効率89.5%と良好である。本品と従来品である「ヒアルロン酸中外」の比較検討では相関系数はR=0.971、回帰式Y=0.934X+7.94と良好な相関が確認されている。本法では洗浄などの操作がなく簡便で、反応時間も1時間45分と従来より短縮されている。
【保険請求上の注意】 本検査は慢性肝炎の経過観察及び肝生検の適応の確認を行う場合に算定できる。ヒアルロン酸はサンドイッチバインディングプロテインアッセイ法または、125Iによる競合法を用いたバインディングプロテインアッセイ法による。
【文献】 藤代政浩、他:バインディングプロティンアッセイ法の原理に基づく「ファルマシアHAテスト」の基礎的検討.医学と薬学、34:599〜604、1995

フィブリンモノマー複合体精密測定(区分D006-14)(区分D-1)

平成7年7月1日より保険適用の出血・凝固検査(1)
保険点数:400点
基準範囲:6.6μg/ml以下
製品名:エンチムンテスト FM
製造元:Boehringer Mannheim GmbH, Manngeim, Germany
輸入・発売元:ベーリンガー・マンハイム株式会社 03-3432-3162
測定法:EIA法 110テスト/キット(シングル測定) 自動化:可
同時再現性:0.97〜1.44% 日差再現性:4.30〜9.93%
結果が出るまでの時間:3時間 検体:血漿(クエン酸ナトリウム)
【特徴】 検体中のフィブリンモノマー複合体をチオシアン酸カリウムで解離させてフィブリンモノマーのエピトープを表出させ、これをモノクローナル抗体を用いた2ステップサンドイッチEIA法により測定する。
 DICや血栓症のような血液凝固亢進をとらえる検査として、フィブリンモノマー複合体、FPA(フィブリノペプチドA)、TAT(トロンビン-アンチトロンビンIII複合体)、PF1+2(ブロトロンビンフラグメント1+2)などがある。顕性DICと診断された患者について検討した報告では、フィブリンモノマー複合体の精密測定、TAT, PF1+2における有病診断率はそれぞれ93.9%,84.8%,78.8%,無病診断率はそれぞれ95.0%、85.0%、75.0%とフィブリンモノマー複合体の精密測定が最も良好であった。本検査の精密測定は、フィブリン形成の直接的な指標として、微小血栓の検出に有用で、DICの早期診断と治療のモニタリングに適している。
【保険請求上の注意】 フィブリンモノマー複合体(定量)精密測定は、DICの診断および治療経過の観察のために測定した場合に、区分「D006」出血・凝固検査の14(400点)に準じて算定する。ただし、本検査、トロンビン・アンチトロンビンIII複合体(TAT)精密測定およびプロトロンビンフラグメントF1+2精密測定のうち、いずれか2つ以上を同時に測定した場合には、主たるもののみ算定する。フィブリンモノマー複合体(定量)の精密測定にあってはEIA法によるものをいう。
【文献】 Okajima, K., et al.: Determination of plasma fibrin monomers by newly developed ELISA method in patients with disseminated intravascular coagulation; DIC: Pathogenesis. Diagn. Ther. Dissem. Intravasc. Coagul., 99〜109, 1993

尿中硫酸抱合型胆汁酸(区分D007-15)(区分D-1)

平成7年7月1日より保険適用の血液化学検査(1)
保険点数:87点 
基準範囲:成人8μmol/g. cr. 以下、新生児30μmol/g. cr. 以下
直線性:0〜200μmol/l
製品名:ユーバステック
製造元:丸金醤油(株) 0774-22-0934
発売元:第一化学薬品(株) 03-3272-0671
測定法:比色法 95テスト/キット(シングル測定) 自動化:可
同時再現性:0.4〜3.6% 日差再現性:1.1〜4.5%
結果がでるまでの時間:約20分 検体:随時尿及び蓄尿(但し、要クレアチニン補正)
【特徴】 尿中の硫酸抱合型胆汁酸(USBA)は、血清総胆汁濃度(STBA)とよく相関するのでSTBAと同様に肝疾患あるいは胆汁うっ滞の有無のスクリーニング、ことに新生児黄疽、先天性胆道閉鎖の経過観察に有用と考えられる。しかし、肝疾患群内での変動幅が大きくオーバーラップもあるため鑑別診断に用いるのには臨床的意義は乏しい。本法と他法を比較すると臨床的感度は75.5%と74.0%,臨床的特異性は98.3%と100.0%とほぼ同じである。
【保険請求上の注意】 ただし、本測定と胆汁酸を同時に測定した場合には、いずれか一方のみの点数を算定する。本検査は酵素法による。
【文献】 G. Meng, et al.: Measurement of sulfated bile acids in urine and its usefulness as a liver function test. Jpn. J. Clin. Chem., 23(2): 150〜157, 1994

頸管膣分泌中癌胎児性フィブロネクチン精密測定(区分D007-32)(区分D-2)

平成7年7月1日より保険適用の血液化学検査(2)
保険点数:350点 カットオフ値:50ng/ml
製品名:PTDチェック
製造元:Adeza Biomedical Co., Sunnyvale, California, U.S.A.
輸入・発売元:第一化学薬品(株) 03-3272-0671
測定法:ELISA法 96テスト/キット(ダブル測定) 自動化:不可
結果が出るまでの時間:2時間30分 検体の種類:頸管膣分泌液
【特徴】 抗ヒト癌胎児性フィブロネクチンマウスモノクローナル抗体をマイクロプレートに固定し、アルカリホスファターゼ標識抗ヒトフィブロネクチンヤギ抗体を用いたサンドイッチELISA法により、頸管膣分泌中のヒト癌胎児性フィブロネクチンを検出する。癌胎児性フィブロネクチンは、胎児膜の細胞外マトリックス構成部分であり、絨毛膜トロホブラスト細胞で産生される。羊水や絨毛-脱落膜の接触面に特異的に存在し、正常な妊婦状態では妊婦の膣分泌液中には検出されない。何らかの原因で、卵膜が破綻して羊水が漏出したり、損傷または脆弱化すると組織中の癌胎児性フィブロネクチンが膣へ漏出し、膣分泌中に検出される。
 早産は妊婦22週以降37週未満の出産と定義され、すべての出産の5〜10%に起こり、新生児死亡および羅患の第一の原因になっている。そのため早産の危険を予知し、特に切迫早産の予後を知ることは重要である。本キット(陽性の場合)は、早産スコアの7日以内での分娩の予知診断率の感度を50%から71.4%に上昇させる。また陰性の場合には切迫早産群および正常群共に正常産の可能性を約90%で予測することが可能である。これにより早産が原因で起こる新生児の色々な羅患や後遺症発生の減少に役立つ。
【保険請求上の注意】 ただし、切迫早産の診断のために妊婦満22週以上満33週未満の者を対象として測定した場合のみ算定する。金コロイド着色法による頸管膣分泌液中癌胎児性フィブロネクチンは、区分「D007」血液化学検査の30に準じて算定する(300点)。ただし、破水の診断のために妊婦満22週以上満37週未満の者を対象として測定した場合のみ算定する。
【文献】 一條元彦、他:早産リスクファクターとしての生化学マーカー癌胎児性フィブロネクチンの臨床的意義.産婦治療、67:212〜218、1993

ヘパリン負荷リポ蛋白リパーゼ(区分D007-33 区分D-2)

平成7年7月1日より保険適用の血液化学検査(3)
保険点数:400点
基準範囲:30Uヘパリン/kg体重投与では164〜284ng/ml製品名:LPLエライザ「第一」
製造・発売元:第一化学薬品(株) 03-3272-0671
測定法:ELISA法 96テスト/キット(シングル測定) 自動化:不可
同時再現性:1.3〜4.1% 日差再現性:4.3〜9.4%
結果がでるまでの時間:4時間15分 検体の種類:ヘパリン負荷血漿
【特徴】 テストプレートに固相した抗ウシミルクリポ蛋白リパーゼマウスモノクローナル抗体および抗ウシミルクリポ蛋白リパーゼニワトリ血清、西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼ標識抗ニワトリGヤギ血清を用いたサンドイッチ酵素免疫測定法(ELISA)により血漿中のリポ蛋白リパーゼを検出する。
 リポ蛋白リパーゼ(LPL)は、分子量は61kDaの糖蛋白で、末梢毛細血管内皮細胞表面に係留し、カイロミクロンやVLDLのトリグリセライドを加水分解する酵素である。このLPLの欠損や機能異常はそれぞれI型高脂血症やIV型・V型の高脂血症で認められ、LPLの低下は高トリグリセライド血症の原因の一つと考えられている。LPLのELISA法はモノクローナル抗体を使用した酵素免疫測定法で、EIA法の「マーキットF LPL」との相関も良く(r=0.986)、臨床的有用性も確立している。本キットは高い感度を有し、共存物質の影響を受けない。
【保険請求上の注意】 高トリグリセライド血漿及びLPL欠損症が疑われる場合の鑑別診断のために測定した場合のみ算定できる。また、前処置として投与しヘパリンは、区分「D500」の薬剤として算定できるが注射料は算定できない。ヘパリン負荷リポ蛋白リパーゼは、EIA法またはELISA法による。
【文献】 Kobayashi, J., et al.: Lipoprotein lipase mass and activity in severe hypertriglyceridemia. Clin. Chim. Acta, 216: 113〜123, 1993

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