JACLaP NEWS No. 62 p6 (2001)

編集後記 〜編集主幹の情報戦略3〜


テキスト入力と録音のノウハウ

 最近、若者の視力の低下(近視の進行)・聴力の低下(騒音性難聴)が目立ってきていると言う。視力の低下は携帯メールのやりすぎで、近くを見つめすぎた結果である。駅やバス停で多くの人々が携帯電話の液晶画面にを目前 10〜20 cm の近距離に保持し、盛んに情報サービスやメールのチェックをしている。項垂れて手元の携帯を見つめる姿は、気がつくと身の回りの乗客ほぼ全員となることもあり、メール機能付き携帯を保持していない自分にとっては一種の疎外感すら感じるこの頃である。人々が黙々と液晶画面を見つめているため、静寂のひとときが訪れる異様な空間である。聴力の低下は、電車の中で騒音の音圧レベルに勝る音量でウオークマン式の音源を長時間聴取したことによる内耳有毛細胞の減少によるものである。大音量の内耳有毛細胞に対する可逆性の限界点は、約30分と言われている。アドベンチャー映画やロックコンサートの帰り道に耳がキンキンすることを体験することがあるが、実はあれは内耳有毛細胞が壊れている過程と考えて良い。検査医の先生方が若者同様のライフスタイルを持っているとは考えにくいが、激しい振動・騒音を繰り返す車内は生理的な範囲を超えて視覚・聴覚共に酷使していることは言わずと明らかである。大事に至る前にご注意戴きたい。
 著者は幸いにも車での通勤なので、これらで悩むことはないが、仕事中も結構メモ魔なので、あちらこちらでアイデアが思い浮かび、その時点ですぐにテキスト入力をしたい衝動に駆られる。PalmOSのPDAは 150 gr 程度のPDAと僅か 224 gr で4つ織りで畳んで持ち運べるターガス社(http://www.targus.co.jp/)製ストアウェイキーボードの組み合わせにより、僅か 400 gr 以下でフルサイズキーボードでテキスト入力処理が可能となった。しかし平たい場所を確保しにくく、あいにく使用は暗礁に乗り上げた。従って、小型軽量のWindows CEマシンが手放せない。NECのモバイルギアIIは最高である。電池もほとんど気にせず一日中使用できるのが良い。そして、OSがメモリー上に全てあるので、システム稼働にかかる時間は2〜3秒で済むのだ。WindowsやMacのように使い始めに待たなくて良い。一方、学会や会議などの録音に関しては、ペンサイズで僅か 60 gr の東芝製Voice Barなどの電子メモリー録音装置1台で17時間の録音が可能となり、議事録の速記の漏れを補うことが可能となった。録音内容はデジタルファイルでPC上のハードディスクにデジタル情報としてファイル管理ができる。テープもMDカセットも必要なく、必要に応じてCD-ROMに転記して配布可能だ。いやはや便利な世の中になったものである。

(横浜市立大学医学部臨床検査部 満田年宏)