JACLaP NEWS No. 62 p3 (2001)

若い臨床検査医をどう増やすか


 山梨医科大学検査部で勤務を始めて、14年になる。血液内科医としてしばらく臨床をやった後に、好中球の研究を数年して何とか好中球研究の嗅覚というか、どのような課題をやれば研究として面白いのかが分かりかけた頃、血小板研究で有名な山梨医大の久米教授から呼ばれた。“君が好きなことをやればよいから”との甘い言葉につられて来たのはよいが、いつしか血小板の研究が中心になってしまい、完全に久米教授の罠にはまった感がある。
 このような経過で、山梨医科大学では今も血小板、内皮細胞等血栓に関係した研究を続けているが、現在最も気がかりなのが、若い検査医、研究者の養成である。山梨医科大学で臨床検査医学が講座化されて9年になり、これまで幸いに9名の大学院生が入ってくれた。そのうち、4名は中国からの留学生であった。驚くほど優秀な学生も、また同様に驚くほどレベルの低い子もいたが、いずれにせよ皆真面目に仕事をしてくれた。山梨医科大学では大学院生の半数は外国からの留学生であり、特に基礎系では大多数が留学生で、日本人はほとんどいない。このような状態の中で、この9年間で臨床検査医学講座には5名の日本人学生が入局し、大学院生となった。4名は山梨医科大学の卒業生であり、あと1名は富山医科薬科大学の卒業生であった。皆、まず2年間は東京の関連病院で内科研修をした後、山梨医科大学に戻り血小板、内皮細胞機能の研究を開始してもらった。良い研究が次々と実ったのは、彼らの努力の証拠である。
 しかし、この数年新しい入局者が途絶えてしまった。私の学生に対するアピール等に問題があることは確かではあるが、このような現象は山梨医科大学のみではないらしい。学生たちは皆世の中の動向に敏感である。少子化の兆候があると、産婦人科、小児科を目指す学生は減る。臨床検査のパイが縮少の一途を辿る傾向は、当然臨床検査を一生の仕事とする意欲を当然削ぐものであろう。また、臨床検査を専門に習得した医師の勤務先は、現在のところほとんど臨床検査医学講座のある大学に限られ、ゆえにポストに限りがある。ある程度の規模の病院にはすべて専門の検査医を配置する制度は、まだ実現には時間がかかりそうであるし、積極的に多くの若い人を勧誘したくとも、将来のことを考慮すると躊躇してしまう。今でも臨床検査を生業とするMDにはかなり高齢化の兆しが見える。この上、若い戦力の供給がなければ臨床検査医会の未来はない。
 このような状況において、賢明な諸氏はいかなる方策を考えておられるのであろうか。是非、それぞれの先生方のご意見を伺いたいものである。私はこの頃、臨床検査医としての特徴を保持しながら、検査医が積極的に診療活動をするのが一法ではないかと感じている。山梨医科大学のみならず国立の単科医科大学はスタッフの数に限りがあり、3つの内科ですべての疾患をカバーするのは困難である。実際山梨医科大学には血液内科グループはないに等しい。そこで例えば私の場合は、血液内科学臨床の一環を担う形で臨床に参加し、若い医師たちに臨床検査医学をアピールするのである。臨床検査医学講座が臨床科として患者の治療に当たっている大学が既にあることは知っているが、どのような状況なのであろうか。これから十分に検討すべき課題と考えている。

(山梨医科大学臨床検査医学 尾崎由基男)



優秀なIT革命最前線


 JACLaP NEWSから6月頃にe-mailで原稿の依頼がきたが、スッポカシてしまった。私にとってはパソコン(PC)は得意ではない。まずPCの字が小さく、また薄い字体で良く見えない。さらデイスプレイを見ていると初光体の刺激で網膜が侵されるのだろう、元来目が悪い上に近眼と老眼が加わり若い人の4倍以上は疲れる。長い文は普通はプリントしてから見ることにしている。PCの前に長く座り続けることはまずない。5分も座っていれば、電話や事務連絡や外来者がくる。アポイントもなくくるので困る。文章等を書いているときは何を考えていたか忘れてしまう。中断すると、省エネ対策のため、画面は消えてしまう。満田先生からは題名は自由とのこと。つまり、なくても良いので、Yesと返事をしたらしい。テーマのない原稿も書きにくいものである。文筆家は何時も考えながらメモし、また、記憶力も良いらしく、余り苦にならないようである。何を書こうかと考えているうちにこのような文章で誤摩化すことにした。私の癖だろうが、学会、大学、病院、医学部、検査部、輸血部、県、市の行政、医師会、技師会の委員会や協議会等々日時順に依頼状を積んでおく。しかし、また、頻繁に日時の変更、延期、中止の通知がくる、それが、電話、FAX、e-メール、郵便と様々である。郵便が一番確実かもしれない。私の机の上のスケジュールに入っていないと、カレンダーにも手帳にも書き込まれないため、忘却の彼方となる。e-メールは2週間で自動的に消えるシステムにしている。二度目の催促のメールは字化けして、分からないよと返送した覚えがある。そのe-メールのコピーは取って置かなかったと思う。先月ぺンシルバニア大学の教授からのメールでも、彼のPCは古いからと言ってFAXも送ってきた。信用していないらしい。最近の郵便物は比較的速くはなつたが、大学では機能していない。FAXもどういう関係か分からないが関係のないところにもいくらしい。大学に何百台あるか分からないが、私宛てのFAXが他部局から親切にも転送してくれることがある。私の方では、発信人や受信人が不明の場合は没にしている。なにせ、紙屑が多すぎる。FAXやe-メールは不在の場合は電話同様役立たないが、後で処理できる。電話は最近DIとなり、私に繋がるのは稀である。こちらから掛けるときも同様で、何回掛けても繋がらないと、後回しで、忘れてしまう。流行りの携帯電話は持たないようにしている。IT革命は、医療の世界にも導入され有効利用されている。大学内の事務通信もメールで行われているが、ほとんどの教授は見ていないのに気付いたらしく受信確認のマークを付け、クリックするようになった。

(熊本大学臨床検査医学 岡部紘明)